海外生活で気付いた、私の中のアンコンシャスバイアス
みなさんこんにちは。
Lean In Tokyo のマユです。
LITには今年の5月からメンバー入りさせてもらい、現在はカナダのトロント大学に通っています。
そして今回は、私がカナダで普段生活する中で経験したことをもとに、アンコンシャスバイアスや、それを減らすために私たちにどんなことができるのか、私が日々考えていることを皆さんにシェアさせていただきたいと思います。
カナダでの生活
私は、現在カナダ在住4年目で、高校卒業後すぐにカナダに来ました。
生まれも育ちも日本の田舎町で、家庭もジェンダーバイアスがごりごりの環境で育った私は、政治的な意見が進歩的なカナダに移り住んだ当初、私の中での「当たり前」と、西洋の国の「当たり前」のギャップにとても戸惑いを覚えました。
カナダは、LGBTQIについても寛容で、様々な多様性を重要視した政策が多く、国民の皆さんも一般的には女性の社会進出や、LGBTに関して、進歩的な意見を持っている人が多いです。
日本では、まだまだジェンダーバイアスは「当たり前」だと捉えられている気がします。「男性が家で家事を手伝わないのは仕方のないことだ、なぜなら、外で働いて、疲れているのだから。必然的に女性が家事をするのが当たり前だ」と。特に、私が育ったような地方では、こういう考えがまだまだ根強い気がします。
私は共働きの両親のもと、育ちました。
家庭では、母がすべての家事をし、父が家事を手伝っている光景をみるのは稀でした。
わたしは、この状況に、高校生になった頃から、矛盾を感じていました。
「なぜ、父と母は同じくらい外で働いているのに、家の中の仕事は全部女性任せなのだろう?それってすごく不公平じゃない?」と、モヤモヤを感じつつも、周りを見渡せば、友達の家族も同じような環境だったし、テレビドラマでみる家族も皆そうなので、「あ、これが当たり前なのか。女性だから家事を担うのは仕方のないことなのか。」と自分を納得させていました。
Double shift ~フルタイムワンオペ~
そんな中、私はカナダの大学に進学し、女性・ジェンダー学を専攻しました。大学一年生の時に、履修した授業で、『women’s double shift』という言葉を学び、私はハッと、目が覚めたような気づきの瞬間がありました。
”Double shift” は日本語に直訳すると、母親の2交代制。
もっと身近な言葉を使うと、「フルタイムワンオペ」にあたると思います。
母親や、女性が、家庭外でフルタイムの仕事を持ちつつも、その仕事(シフト)が終わり、家に帰るともう一つのシフト/仕事(家事)があるということで、double shift と呼ばれています。
授業中のディスカッションでは、
・「家事をやっても給料発生しないって、ノンセンスだ!家事は重労働なのに!」
・「家庭内の仕事=無給=女性の経済的立場の弱さに繋がる」
・「家庭内のことを女性がやらなかったら、男性たちは仕事にいけない訳でしょ?だったら、もっと家事をやってくれている女性の経済的・社会的な立場が上になるのが普通じゃない?」
・「女性はナチュラルに家事が上手っていうステレオタイプは、壊さないといけない。この考えは、女性の社会進出を妨げるための、社会が作ったデタラメだ!」
などなど、様々な意見が飛び交い、日本から来たばかりの18歳の小娘であった私にとって、同世代の学生がこういう意見交換をしているのに衝撃を覚えたと同時に、とても啓発的な意味をもたらした授業になりました。
アンコンシャスバイアス
四年前に受けた授業が私の記憶に鮮明に残っているのも、この授業で、私の中の「当たり前」が揺るがされたからです。
今まで、家事も仕事も両方とも完璧にこなす母親の大変さを、「どの母親もやっているし、それが当たり前だから」、と思い見過ごしていました。でも、それは決して当たり前ではなく、相当な時間と体力を費やす、立派な「仕事」であるな、と思いました。
そして、この授業を終え、どれだけ私の中でジェンダーバイアスが確立されているのかに気付かされ、この考えを念頭から振り払っていかないといけないな、と思いました。
もう一つ、私の中のアンコンシャスバイアスに気付かされた出来事がありました。
カナダ人の友人とホームパーティーをしていた時に、女性の友人の手料理がすごく美味しくて、「あなたは、将来良いお嫁さんになるね!」と彼女の手料理を褒めました。
そうしたら、この私の発言に、「まゆのその発言は、女性に対してのジェンダーバイアスを押し付けていることにつながるよ」とカナダ人の友人に注意されました。
私は無意識にその発言をしてしまった自分が恥ずかしくなったと同時に、同世代の友人たちが、そのようなことを当たり前の知識として持っていることに感心しました。
この出来事をきっかけに、私の中に根づいている、アンコンシャスバイアスに向き合わねば、社会はいつまでも変わらぬ、と思い、まずは日々の「当たり前」に疑問をもち、本当にこれって当たり前なのかな?社会が作り上げたことではないのかな?と一つひとつのことに疑問をもつことから始めました。
「女性が家事をするのは当たり前。育児の負担を負うのも、女性だから仕方ない」という、社会に浸透しているジェンダーバイアスを変えるためには、私達の頭の中にある無意識にある感情を振り払う努力をすること、〔unlearning || 身についた知識をなくすこと〕が大切だな、と日々感じています。
まず、みなさんの日常に潜む「当たり前」をもう一回考え直し、周りの人と会話してみませんか:) 人と意見交換をする事で、様々な気付きがあると思います。
Lean In Tokyo の活動
Lean In Tokyo では、女性や、あらゆる性自認、性的指向、性表現を持つ方が、アンコンシャスバイアスに気付き、個人や社会の行動変化を促す活動、また、それら人が一歩踏み出し、自分らしく挑戦することを後押しする活動をしています。
日々のモヤモヤ、会社でのモヤモヤなどをシェアする会なども定期的に開催しているので、ぜひ私たちのinstagram やFacebookをフォローして最新のイベント情報を受け取れるようにしましょう!
では、また次回!