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僕のいない世界が来るとして

死にたいと思わない日は、殆どなかった。

僕が最初にそう思ったのは、小学校低学年の頃だった。上級生の暴言を間に受け、掃除用の手拭で自分の首を絞めた。同級生や先生が何かを言っていたのは覚えているけど、もう記憶もおぼろげだ。
それから、ちょっとした問題があるたびに、僕の『小さな自殺未遂』は決行された。勿論、失敗に終わった。だから僕はここにいる。


大学に進学したあたりで、その傾向は顕著になった。
当時の交際相手はおそらく、自分と交際してから僕のこういう傾向が始まったと思っていたのだろうな、と今になって考える。だけど、違う。僕はそれ以前に自分を傷つけていた。目に見える方法ではなかっただけだ。いわゆる過剰服用という手段を用いていた。

死にたくないと思ったのは、2011年3月11日からの数日だけだ。
14時46分。僕は大学のある盛岡ではなく、実家にいた。精神状態が極めて悪く、一日中だらだらとしていた。そんな中で、あの聞きたくもない緊急地震速報が鳴り響いて、地震が来た。
正直に言うと、我が実家は殆ど被災していない。ライフラインが少しの期間停まっただけだ。
それとは別の事情―友人や恋人の安否―を考えている期間だけ、僕の希死念慮は消えた。あの数日だけ僕は、『生きて』いた。


それからの日々は、決して暗い出来事ばかりではなかった。それでもずっと、僕は死にたかった。そうしなかったのは、震災で亡くなった人々への申し訳なさが理由だった。


コロナ禍に突入した世の中で、僕は日向坂46と運命的な出会いを果たした。それは本当に、紛れもない奇跡だった。
それでも、三浦春馬さんや芦名星さん、竹内結子さんらが亡くなった際には、『小さな自殺未遂』を引き起こした。うっすらと残る傷跡を見ると、彼らを思い出す。
夜の山林を駆けたことがある。熊や猪に出会えればいいと思っていた。そうすれば否応なしに死ねると思っていた。なぜだか、彼らには巡り会えなかった。神様は見ているのだろうな、と思った。罪無き彼らに、僕という欠陥品の処理をさせるつもりはないのだろうな、と思った。


仕事をしていても、ずっと死にたかった。
日照を浴びると元気になるだとか、体を動かせば憂鬱さが消えるだとか、あんなしょうもないことを言った人間については、僕はほんの少し恨んでいる。そんなことで消えるならば、なぜ僕はずっと消えたいと思い続けているのだろうか。
正直に言えば、僕は仕事場の空間が苦手だった。
悪い人たちではなかった。それでも、僕はそこからいなくなりたかった。死にたいという気持ちは、震災前よりずっと強くなっていた。

例年に無いくらいに体調を崩した僕は、ぼんやりとネットを見ていた。そこで、このnoteを見つけた。
それからの日々は、まあ、ご存知の通りだ。
自称変態・奇人、および日向坂46オタク(現在は櫻坂46も)として、日々文章を綴ってきた。今は、言葉について思い悩み、休筆中の身である。
それでも、皆さんの記事を読むことは楽しい。
幸せになってほしい人たちばかりの『この世界』は、僕にとって居心地がいい。やりとりのある人たちみんなに盛岡銘菓を送り付けたいくらいだし、許してくれるなら、たくさんのありがとうを伝えたい。三陸の魚介でもてなしたいし、もう何なら全員抱きしめたい(冗談)


死にたさが消える瞬間がある。
大好きな人たちの文章を読んだとき。
闘病されている中でも希望を捨てない方々、短い言葉で世界を綴る方々、独自の世界を展開する方々、音楽でご自身の世界を生み出す方々、いろんな作品に触れている間は、僕は死を忘れる。
そして、そうした『友人』たち(そう思うのは僕だけだろうか)との関わりは、僕の心を癒してきてくれた。
日向坂や櫻坂を推している間も、『死にたい』は少しだけ遠くの方に行ってくれた。
僕が僕でいられたのは、好きなものや、好きな人たちのおかげだった。


それでも、それでもなお僕は『死にたい』と思ってしまう。
本当におかしいのだと思う。狂っているのだと思う。
実行には移さない。だって、そうしたら日向坂や櫻坂のみんなに迷惑がかかる(かもしれない)し
何より、皆さんが泣くかもしれないのが怖い。
そんなわけないと思ってもいる。でも、もし泣いてくれる誰かがいるのなら、僕は消えてはいけない。

だから、僕は問いたい。
僕がいなくなるとして、あなたは泣きますか。
浅ましい、醜い質問で申し訳が無い。ただ、どうしても訊いてみたかった。僕がいない世界はきっと美しいと、僕は思っている。それでも、訊いてみたかった。

なんと無様な文章だろうな。
もう暫く休もうか。

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ナル
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