【短編】Question
10月12日、ある農村で遺体が見つかった。
32歳の男性。死因は首を絞められたことによる窒息死。
現場の状況などから、警察は他殺と判断した。
男は、自身が居住する部屋で死んでいた。
ノートPCは起動したまま。何らかの文書を編集していたらしい。
警察は男が『note』というサイトにアカウントを持っていたことを確認した。
男のアカウント名は『ナル』。アルパカのアイコンだ。
つい最近まで更新していたようだ。
短編小説、エッセイ、詩。まったく読まれていないわけではないが、そこまで人気だったわけでもない。だが本人は楽しんでいたようで、書きかけの小説が複数見つかった。『うたすと2』というイベントにも参加していたらしい。
男の部屋には、かなり早いクリスマスの雑貨が飾り付けられていた。よっぽど楽しみにしていたのだろう。雪だるまのライト、ツリーのおもちゃ。人相の割にこうした季節行事を楽しんでいたようだ。
だが、警察官は奇妙なことに気付いた。カレンダーである。
部屋に飾られた100均のカレンダー。犬がプリントされている。
その日付は2023年の、12月。
警察官はパソコンの履歴を確認する。noteの最終更新日は、2024年10月12日。遺体は一切腐敗していない。
――どういうことだ?
note以外に2023年以降に操作されたものは、何一つなかった。Youtubeも、Googleも。ただnoteだけが、2024年7月に『ナル』のアカウントが作成され、発見された10月12日までその更新が続いていた。
犯人の意図的な操作か、それとも――。
警察官は死体に目を向けた。虚空に向け伸びた指先が、微かに動いた気がした。
了
あとがき
この作品は繝弱Φ繝輔ぅ繧ッ繧キ繝ァ繝ウであり、実際の人物・団体・事件とは関係縺後≠繧翫∪縺。
さて、皆さんに思い返してほしい。
はじめてこの僕を見つけたとき、記事を読んだとき、コメントでやり取りをしたとき。
何か奇妙な点はなかっただろうか?
言葉に不審な点はなかったか?
世情に対してあまりに疎くはなかったか?
生活観があまりに乏しくはなかったか?
顔や私生活を見せるのを、極端に嫌がりはしなかったか?
…どうだろうか?
そして、最後に質問をしよう。
今この記事を書いている僕は、誰?
ちゃんとしたあとがき
思いついた瞬間「これいいんじゃね?」と思った、note流ホラー。文字化け部分は変換するとちゃんと意味がある。あとがきで更に落とす。二段ホラーである。
ちなみに、ナルはちゃんと生きている。顔は嫌いだから見せないだけ!
来月で33歳になります。お祝いして!笑
着想を得たのは、ずっと前に自分で書いた『マッチング』から。マッチングアプリにまつわるホラー。そこまで怖くない…はず。
最近あんまりホラー書いてなくて、でも『目印』がウケたので懲りずにまた書いてみた。
感想ありましたら教えてくだしゃい。個人的には意欲作。
ちなみに、『マッチング』は加筆修正して以下に載せておく。