○○活
昨今、よく耳にする「○○活」という言葉。
就活、婚活といった既に生活に馴染んでいるものから、推し活、腸活などさまざまな「○○活」が存在している、らしい。
2000年頃からこうした「○○活」という言葉は急速に増え始めたとされる。その年代ならもう僕はこの世にいたわけだが、あまり記憶にない。就活に関してはよく耳にしたな、といった程度。
さて、現在使われている「○○活」の言葉の中から、僕がやや理解に苦しんだものをピックアップしたい。なお、この記事の中では「○○活」という言葉を勝手に○活語と呼ばせていただく。ちなみに「活語」だけだと「死語」の対義語となる。現在使われている言葉、活語。活語も死語も、あまり普段聞かない気がする。
ヌン活
「アフタヌーンティーを楽しむ活動」のことらしい。アフタヌーンティー自体は(ぼんやりと)知っているわけだが、
そんな活動として盛り上がってんの?
と思ったのが最初である。僕は流行に疎い。「実は戦前の生まれなのでは」と馬鹿にされたこともあるが、最近本当にそうなんじゃないかと自分でも思い始めた。平成や令和など知らぬ。我が心は明治の維新に在るのだ。また適当なことを言ってみた。
次に思ったのは、「ヌンチャクを楽しむ活動」や「力を入れるときヌンって言う活動」が流行った場合、どうするのだろう、ということ。ヌンチャクは「チャク活」でいいとして、後者はどうするのだろう。
誰もそんな活動しない?
いや、世の中とはわからない。事実は小説より奇なり。たまに理解不能なものが流行るじゃないか。
涙活
「映画などを見て意識的に泣いて、ストレス解消を図る活動」らしい。
ストレス解消になるのはいいと思う。僕もときどき泣きたくなる。理由さえない涙をはらはらと流している。美しい、かどうかは知らない。
個人的な疑問としては、
わざわざ泣こうとしなくても勝手に涙出てくるやん・・・。
これに尽きる。
精神的に参っている?
答えはイエスだ。だが問題ない。かのスサノオノミコトでさえ大泣きをしたと古事記にあるじゃないか。人は泣いて成長するのだ。
じゃあ涙活、素晴らしいんじゃない?と書いてて気付いた。いいね!
書いていくために調べるうちに、だんだん理解できるようになったので、稚拙な批判はもうよそう。○活語にしてしまえば、気軽に取り組めたり、話題にしたりできるのだろう。「妊活」と言えば、妊娠、出産の準備について話しやすくなる。タブー視されずに済む。それは素晴らしいことじゃないか。いいね、○活語。
ならば、今僕がしている「○○活」はなんだろう?
ふと考えてみる。推し活(特定のアイドルやキャラクターを応援する「推す」活動)はしている。もはや生きる希望と言ってもいい。
あとは、就活。noteを書くようになって、もっと近い場所でたくさんの人を見たくなった。新しい仕事を探そう。田舎の仕事の少なさは致命的ではあるが。
あとは、病気の治療である。
治活?
療活?
もしかして僕も新たな○活語を今ここに生み出そうとしているのか。
流行に乗るのではなく、生み出せばいいのだ。
そう思いながら検索したところ、見事に二つともヒットした。
療活でヒットしたのは「療法士活性化委員会」。
○活語ではなかったが、略称が療活らしい。先方に迷惑はかけられない。この言葉の採用はあきらめる。
続いて、治活。
大人気漫画「NARUTO」より、「治活再生の術」が検索にひっかかる。どうやら治療系の忍術らしい。
あながち意味として、遠くないのでは。
これは、「病気の治療に専念すること」イコール「治活」でもいいのでは。僕の胸はやや高鳴る。それを提唱したら一躍時の人になるのではないか。妄想はいつだってたくましい。そのたくましさが体力に繋がってほしいものだ。
次にひっかかったのは、
「治活」は「はるかつ」と読んで、男の子の名前に用いられる
ここにきてまさかの人名!失念していた。「就活」くんや「推し活」くんなど存在するわけもないだろうが、「治活」くんはこの世に存在するかもしれないのだ。名前をもてあそんではいけない。そして全国の治活くんに迷惑はかけられない。
僕はそっと検索をやめた。新しい流行は僕には生み出せない。やはり戦前生まれには令和の世はわからぬ。
そうだ、そもそも皆がこぞって「○○活」なぞと新しい語を生み出すほうがいかんのだ!と八つ当たりをしてみたりする。
○活語が悪いわけではない。僕にセンスがないのだ。言葉を生み出す活動は、他のセンスのある人間に任せよう。生み出す活動、「生活」を。
おあとがよろしいようで。
よろしくない?まあまあ、そう言わないで。落第寸前のオチなのはわかっています。
○○活も頑張りながら、それで括れない多くの活動をしながら、僕たちは生きていくのでしょう。
推し活と就活をしながら、病気の治療。
ヌン活や涙活でストレス解消しながら、仕事をがんばる。
すべて、それでいいはず。
ジャンルで区別したりできるものが、全てじゃないよね。
○○活では言い表せない人生の楽しみもあっていい。
言葉は大切だけど、それに縛られないように生きていきたい。
強くそう思ったのでした。
とはいえ、「力を入れるときヌンっていう活動」は、流行らせたいと思っている。何か重いものを持つとき、今日からあなたも「ヌン」って言いませんか?
そんな嫌がらずに。気付いたら言ってるかもしれませんよ。
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