初めての読書体験
前回の自己紹介で、ちらっと読書のことについて触れた。
そこでふと思ったことがある。
「私って、一体いつ頃から本を読み始めたのだろう?」
* * *
最初は、ほとんどの人がそうだったように、絵本の世界からスタートした。
色んな絵本を手に取るよりも、同じ本をボロボロになるまで繰り返し読んでいた記憶がある。(ねずみの家族が登場する14ひきシリーズや、はじめてのおつかい、こんとあき、など。今でも大好きな絵本たちです)
小学生高学年くらいになると、図書館にある児童書などを借りて読んでいた。
同じ頃、漏れなく少女マンガにハマり「将来漫画家になりたいなー」と思ったこともある。
そんなある日、私はひょんなことから初めて
"小説"を手に取った。
灰谷健次郎さんの「兎の眼」だった。
親が教師だったこともあり、たまたま家の本棚にあったのだ。
「この見るからに難しそうな本、読めたらかっこいいのでは…!」
そんな、単純な動機で読み進めた。
しかし、内容がよくわからない。
まず出てくる言葉の意味がよくわからない。
ヤジを飛ばす?ストライキ?って何?
そんな部分でいちいち躓いた。
それでも、わからないなりに読んでいると、新米教師である小谷先生の心境が徐々に変化していくのを感じたり、普段は豪気な足立先生が自身の過去を語るところにしんみりしたりした。
そうこうしているうちに、どうにか最後まで読み終えることができた。
このときの手応えのような、達成感のような感覚が、今でも忘れられない。
「初めてちゃんと読書をした」
そう感じた瞬間だった。
* * *
それから、私は色んな小説を読み始めた。
もちろん、全部が全部完読できたわけじゃない。
内容が難しくて、途中で挫折してしまった小説も何冊かある。
でも、
「兎の眼を読めたんだし、これもいけるでしょ!」
といった感じで、小説を手に取るときのハードルは下がったように思う。
そんなふうにして手当り次第面白そうな小説にアタックし、素敵な物語にたくさん出会うことができた。
だからあのとき、背伸びをして難しい小説に挑戦してみてよかったと思う。
* * *
今回、初めての読書体験を振り返ってみたが、なんだかくすぐったいような、新鮮な気持ちになった。
読書好きの皆さん、一度自分の読書体験を振り返ってみると、面白い発見があるかもしれません!