インドを編む山荘【毎週ショートショートnote】
その山荘を訪れたものは、二度と帰らないという。
そんな都市伝説に魅かれ、僕はI県に来ていた。ライターとして活動して2年。この記事の出来が、僕の将来を左右しかねない。
能杜山の8合目。僕は、山荘『ニューデリー』の扉を開けた。
そこは、編み物をしている男女であふれていた。奥から、外国人風の男が顔を出す。
「ハイ。」
毛糸玉を手渡される。
「あの…これは…」
「カレー編ンデ、見本コレ。」
指差すには、毛糸で製作された『食品サンプル』があった。ところどころ解れている。
「一番上手イ