三遠ネオフェニックスvsアルバルク東京が震えるくらい面白いゲームだった
今季のアルバルクvs三遠はリーグ屈指の好カード
RS開幕前の時点でこんな風に書いたけど、この期待が的中した。
というか、あの、予想以上でした。
三遠のホーム開幕戦2日間とも観に行ったけど、各試合は勿論のこと2日間通してお互いの戦略や対応力にも大いに唸った名試合だった。
試合の感想と、あと三遠での吉井くんについていい加減にオタク特有のクソデカ感情が爆発しそうなのでガス抜き用に書き殴っていきたい。
□10月19日 GAME1(●59三遠-アルバルク66〇)
GAME 1 は総じて守り合い、我慢のし合い、といった展開で。
それでもDFの強度と「どれだけシュートが入らなくてもDFで崩れず我慢する」ということにメンタル面がより慣れてるアルバルクが最後まで集中力を切らさず我慢しきった上で勝ちを手繰り寄せたような試合だったと思う。
アルバルクのDFは恐らくだけど「とにかくスリーを(特に佐々木・大浦・津屋辺りには)気持ちよく打たせてはならない」という部分を徹底していた。
佐々木くんが不運なアクシデントでほとんど試合に出られなかったけど、ハンドラーとなる佐々木・大浦に対して小酒部くんを付け、佐々木くんのスピード及び大浦くんの理不尽スリーを封じながら、PnRに対してハードショウを見せながら、アルバルクらしい重厚なDFで中への侵入に対してもタフショットを何度も落とさせていた。
そして三遠のDFにインサイドでの決定率の点でやや苦しめられたものの、今季はスリーを打つことに対してチーム単位で何ら躊躇いがなくなってきているのでそこで打開する場面もあったのが勝因の1つかな、と。
全体的にザックのDFが気ぃ狂いそうなくらい良くてメロった。あぁやっぱりこの人はアルバルクのCAPだな、と。
三遠も同様に、アルバルクの強いインサイドに対してタフショットを落とさせ耐え忍ぶDFは披露していたんだけど、「耐え切る」という部分ではアルバルクの遂行力の方が上だった。
せっかくインサイドで互角に戦ってシュートを落とさせたのにORを拾われる回数が多かったのは敗因の1つだった。
あと試合後のコメントで触れられていた通り、試合の頭での強度はずっと課題だったと思う。負けた試合、琉球戦のGAME 2もアルバルク戦GAME 1も、1Qでの点差がそのまま響いている。
あとフリースローが入らなすぎる。
琉球戦はアウェーの地で、バスライで見てるだけでも分かるくらい、地鳴りみたいなブースターDFがあったからまぁアレだとしても、ホームに帰ってきても全体で5割切ってたら駄目っスよ。
※天皇杯2次ラウンド辺りから薄々気づいてはいたけど、ヌワバくん実はあんまりフリースロー上手くないよね(笑)
□10月20日 GAME2(〇90三遠-アルバルク82●)
連日となる試合においての面白さが色濃く現れた試合だったと個人的に思う。
例えばアルバルクは前日のGAMEで海にペイントへ侵入させそのままミドルのタフショットを打たせる三遠の守り方(キックアウトの候補がいても海が半ば強引に打ってる場面が散見された)に対し、海が自分のシュートをきちんと決めきった上でボールを散らし、連携で点を取っていっていた(この日の海は18得点8AS。前日2/11だったシュート率を8/14まで大幅修正していた)。
あと、これは前日からやってたけどインサイド分厚めに守ろうとしてくる三遠に対してスリーを迷わず打っていたように感じる。
特に小酒部くんとレオ様はそれぞれ三本ずつヒットさせててすごかった。
小酒部くんはDFでの貢献もさることながら(すげー普通にダジさんとのインサイドでの1on1に勝ってたのおかしいって)特に今季はOF面でも「気持ち」が強く現れてて素晴らしいと思う。
ただやはり、連日のGAMEとなるとライアンを筆頭にスターターへの負担が大きすぎる。
昨シーズンからずっと、特にRS終盤〜CSにおいてこの傾向がより顕著になっていると私は感じているんだけど、負けられない試合において結果的にPTが偏るのは仕方ないのは分かっているんだけど、申し訳ないが昨シーズンの終盤戦を見ていた時のやきもきした感情と同じものを抱えてしまった。
接戦を勝ちきれなきゃ意味がない、こういう試合はPTが偏るのは当たり前、というのも間違ってはないんだけど。
でも、昨シーズンの終盤からずっと「地区優勝の芽が潰えていない以上は負けられない試合」が続き、CSという「勝たなければならない試合」に向けてチーム単位での調整が施せないまま臨んでしまい、結果的に3試合とも8人(ほぼ7人)でしか挑むことができなかったことが昨シーズンの敗因なんじゃないの?
そういう試合が続いて連戦の中で更にレオ様やライアンへの負担が増え、依存度が大きくなり、““それでも負けた試合””からの修正点が無かったのが去年からの課題じゃなかったの?
アルバルクにとって、三遠という中地区で優勝争いになる可能性が高いチームに対し初戦で緩く入るわけには絶対にいかないから「勝つための運用」をしたのは分かってる。少なくともこの2試合におけるチーム運用は、色んな観点から考えて納得してる。
ただ、この戦い方(起用される選手とPTの偏りが大きいのがデフォで“対戦相手次第”とか“点差が開いたシチュエーション”でしかリザーブ陣を試さない)は今シーズン更に過酷になると思う。
それくらい、今季のB1は拮抗してる。
FE名古屋はドルフィンズと1-1で星を分けているし、仙台や京都は結果的に負けたとはいえそれぞれ宇都宮・千葉Jと連日の熱戦を繰り広げ、滋賀は琉球から白星を勝ち取った。越谷もアルバルクは連勝した相手だけど、現時点で西地区トップの島根に唯一黒星を付けてるチームなわけで。
正直「このチームには勝てると思うけど〜」とかいう感覚や何となく漂ってるパワーランクみたいなのは当てにならないと思う。天皇杯2次ラウンドの茨城戦は記憶に新しい。
「リザーブ陣を入れてのローテを仮に試してみても結果として負けたら意味がない」という見方は間違ってないと思うけど、一方で「戦える選手を絞って運用して勝ってもチーム単位の成長とは言えない」という感覚もある。
大事な場面で使ってもらったり、責任を継続的に与えられ使われることで促される成長というのは確かにあるはずで。
できるorできないではなく“やらなきゃチームが負けてしまう”という危機感の中に放り込んでやる機会は選手に必要だと私は思う。
とはいえ、あくまでこれはクソ素人の感覚に過ぎないし、このやり方がアルバルクらしいのかと問われると首を縦には振れないとも思う。
クラブ側が選手のために矜恃に似たものを煮崩す必要もないと思ったりもするし。
だからこの辺りの問題ってめちゃくちゃシビアだから答えが出ないなぁといつも感情を持て余している。
一方の三遠は課題だった試合の入りの部分を修正し吉井くんと津屋くんの連続スリーで流れを作った。
途中小酒部くんやレオ様のスリーで点差を開けられたけど、耐えるべきポイントを耐えてアルバルク相手にリバウンド争いを勝ちきったのは素晴らしかったと思う。
実は試合前、ヌワバがものすごく入念にスリーの練習をしてて。距離感やシュートタッチをかなりの時間使って調整していた(山内さんが付きっきりでパス出ししながらコミュニケーション取ってた)。
前日の試合でヌワバのことはドライブ最警戒で最悪スリーは打たせていい、という守り方をしてきたアルバルクに対して今日の彼は打つ気なんだとドキドキした。
結果としてスリーのアテンプトそのものは1本だけだったけど、試合序盤でその1本目を綺麗に射抜いたのめちゃくちゃかっこよかった。
その“1本目”がいい脅しになったのか、以降は気持ちよく得意のドライブで暴れていた。
津屋くんのDF面における信頼のされ方がエグい。
アルバルクがファウルゲームに持ち込んできた時に佐々木・大浦(OFシフト)⇔津屋・ニカ(DF及びリバウンドシフト)で細かく入れ替える戦法を採用していた大野さんは間違いなく津屋くんのことを優秀な3&Dとして送り出していた。
ていうかGAME2の津屋くんは総PT22分の中でも前半16分、後半6分とかいうめちゃくちゃ特殊な使われ方してたけどコートに入る度に集中力を切らさずスリー2本射抜いて器用なアシストも披露して、かっこよかったです。
この人も試合ごとに“三遠の選手”としてチームに馴染みつつあるなぁと思う。
あとvsアルバルクの見どころは佐々木・大浦のWガードが鉄壁にどう戦うのかだと思っていたんだけど、やはりこの2人は脅威だった。
GAME1はアクシデントで佐々木くんが出場できず披露される機会はなかったけど。
GAME2に関しては間違いなくこの2人がコートインした時からハッキリ流れが三遠へ引き寄せられたように思う。
そしてこの試合での終盤の姿が、三遠が最終的に目指していきたい形なのかもしれないなーとぼんやり思った。
佐々木・大浦のWガードが盤面を崩し、インサイド陣との連携で中を攻めてみたり、コーナーに待ち受ける吉井くんで外から攻略してみたり。
もちろんWガードは自らプルアップも平気で打てる。お互いとのホットラインも持ってるからキャッチアップもお手のもの。
アルバルクは初見でも上手く守るべきところを守っていたからこの2人が得点した場面は少ないもののWガードの時間帯はマジでスピードが違いすぎてヤバかった。
アルバルクの強みは対応力と修正力だから、今回の対戦を踏まえて12月の代々木でどんな対策を施してくるのかが既に楽しみで仕方ない。
あ、あと余談だけど4Q6:55〜の佐々木くんのDFがめちゃめちゃに良かったのと、同6:03〜の大浦くんの動きがいい意味でイカレ散らかしてて好きだったから気になった人は見てほしい。
あとはもう、とにもかくにも吉井くんが素晴らしかった。
前節の三河戦にて2日間でスリーを5/6ヒットさせてたのマジでヤバいと思ってたけど、アルバルク相手にも2日間で同じ数ヒットさせてるんだからこれは“上振れ”ではなく“本物”になりかけてるなと思った。
ほんっっっっっとにスリー上手くなったね吉井くんは!!!!
去年からシュートフォームの改良に着手して、アルバルクでじっくりと練習して安定感が出て結果に繋がりだしたタイミングと、今夏の代表活動で得た経験と自信に三遠での環境が見事なまでにハマりきった末の成果だと思うから、この人は“持ってる”なぁと感じる。
言うてもまだたったの6試合じゃん?
そう言う人も出ると思って調べましたよ。
ちょうど6月の代表戦から10月20日までの直近20試合での確率。
代表戦(強化試合・オリンピック本戦)9試合で8/12
三遠に合流してからのプレシーズン(ACC・天皇杯2次ラウンド)5試合で5/11
RS開幕してからの6試合で11/15
私のカウントが間違っていなければ、この数ヶ月にスパンを広げても24/38=63.1%
三遠の吉井としての数字に絞ると11試合で16/26=61.5%
RSだけでなく、実は夏以降の吉井くんは基本ずっとシュートタッチも安定しているのである。
生粋のシューター陣と比べると試投数こそ物足りないけど、それでも三遠に来てからは毎試合スリーを打ってるし、少しずつではあるけど1試合あたりの試投数も増えつつある。
彼自身がどう考えているかは分かんないけど、どうやら大野さんには「あれくらい(=1試合あたり4本くらい)打っていってほしい」と言われているらしいので、もしもこれから先1試合あたりのアテンプトが増えていくんだとしたら、確率がどうなっていくのかを見届けるのが本当に楽しみ。
□三遠での吉井くんについて
何せ三遠が吉井くんに対して手厚すぎる。
三遠が、というか、正確には大野さんが、だけど。
吉井くんの使い方が引くくらい上手い。
「どうしても欲しかった」「4年越しにようやく獲得した」と公言するだけのことはあると言うべきか。
吉井裕鷹という男の特性を上手く使いこなしすぎている。
私は、彼の1番の魅力ってあのサイズ感に対して奇跡的な比率と高水準で機動力とフィジカルが両立されているところだと思っていて。
だからこそDF面でアレだけポジションレスに重宝されているんだと思っていた。
それをOF面で活かすとあんなヤバいことになるんだなって驚いてる。
吉井くんは大体の相手とマッチアップした時、サイズ(=フィジカル)とスピードのどちらかでは必ず相手を上回れるポイントが出る。三遠においては、OFの時には適宜それを見極めて攻めるようにしている。
要は、自分より小さい相手にはフィジカルの強みを活かしてポストプレー等でゴール下を攻める。
自分より大きい外国籍選手を前にした時は機動力を活かしてドライブでちぎる。
三遠に合流した時点で、吉井くんは大野さんから「自分の体の特性を活かすこと」を指示されたと話していたけど、いやもう、最適解すぎると思う。
何て言うんだろうな、吉井裕鷹を活かしていくという確固たる意思を感じるというか。
移籍してからPTが昨シーズンと比べて約3倍に増えていると言われるけど。
ACC〜天皇杯2次ラウンドの時も、大体平均25分くらいのPTは(たとえ点差が離れたりしてスターターの皆さんがベンチモードに入っても)与えられていた。
これに関してはHCからの信頼と言うよりは(勿論それもあるけど)もう少し意図的なものも感じていた。
それが確信に変わったのは、開幕節の琉球戦後のコメントを読んだ時のこと。
吉井くんの移籍が発表された時、これからはアルバルクで積み上げた研鑽を代表以外で経験に替えられるチームであることを強く願った。
DF面だけでなく、OF面も。
彼はまだまだこれからの選手だけど、それでも代表でのプレーを見ればリーグの中でもトップレベルに到達しうるポテンシャルを持っているのは明白で。
では現在リーグやチームの“顔”と呼ばれる選手たちと比べて彼には何が足りてないって、圧倒的に“経験”が足りなくて。
PTそのものもそうだけど、試合でしか培うことができない“波”“流れ”“空気”の読み方、それを自分たち側へ引き寄せるプレーの作り方。どこで前へ出て、どこで引いて“次”に焦点を当てるべきかの咄嗟の判断。シュートの感触の、試合中での微調整や打つことそのものへの躊躇わなさ。
そういうものも含めて、自分のプレーの善し悪しが試合の流れや、場合によっては結果そのものに直結してしまうような経験をたくさんしてほしいと思っていた。
それを、させてもらえる新天地の環境だったら、と。
だから、琉球戦後の大野さんのコメントで少しだけ泣いてしまった。
あぁ本当に、本当に吉井くんは奇跡みたいに磐石に整えられた彼のための環境に迎え入れられたんだな、と。
「ゲームに出て経験をして成長する部分がたくさんある」
「僕の中で彼はエンド・オブ・ゲームに出ているイメージの選手」
「ここ一番での力の発揮の仕方、何にフォーカスするかなどで成長できるようサポートしていきたい」
全部、私が新天地での吉井くんに得てほしいと願っていたものばかりだった。
自分が一ファンとして推し選手に望んでいる未来とそこへ至るプロセスで必須になると思っていることが、最終的にチームとHCが導こうとしている展開そのままであるのが、幸せ以外の何だろうか。
アルバルクで中々試合に出る機会を得られなくて、「勝っても(※多分メンタル的に)しんどい時が多かった」「それでも負けるより勝つ方がよかった」と話した吉井くんが。
開幕戦でOTにもつれ込んだ熱戦を制した時に素直に喜びを露わにしていたのを見て涙が出た。
あくまで私の見立てだけど、吉井くんって生粋のハードワーカーで。「試合に出たい」とか「PTが欲しい」というよりは、もっとこう、「チームプレーの循環の中に居たい」という感覚が強いんじゃないかと思っていて。
アルバルクではその“役割”を与えられず、不甲斐なさや悔しさもあって。
三遠ではそれがたくさん与えられていて、自分の役割を全うできることやその渦中にいると実感できるのが楽しいんだと思う。
責任と役割を与えられ、覚悟を背負い、自分のなすべきことをこなすことに喜びを感じる。
そんな姿を見られることが、ファンとして堪らなく嬉しい。
ホーム初勝利に喜ぶ輪の中でチームメイトに揉みくちゃにされているのを見て、目が潤んだ。
ヒーローインタビューでマイクを握った時、第一声が充実感に満ちたハッキリとした声量で心臓を揺さぶられた。
「三遠でプレーして如何ですか?」と問われ、少し言葉を考えながら「楽しいです」と答えた時。
フェニックスブースターさん達をはじめ会場内は「微笑ましいな…☺️」みたいな空気感の笑いが起こってたけど、多分あの時吉井くんのファンはみんな感極まってたと思う。
アルバルクでたくさん悩みながら、それでも懸命に努力して研鑽を積んできたのを知ってる。
私はたった1年だけど、それでも彼がいつだって準備を怠らず愚直に頑張っているのを見てきた。
「え、何か考えすぎてドツボに嵌ってないか?悪循環に陥ってないか、なぁ大丈夫か!?」と心配したことも何度もある(実際、無限に考えて悪循環に陥ったことはあったらしい)。
「楽しいです」って。
その言葉が聞きたかった。
あぁ彼はこれから、此処で、生きていくんだなぁと。
その事実がストンと胸に落ちてきた。
彼に手を引かれるようにしてアルバルクのブースターになった身としては、やっぱりほんの少しだけ寂しい気持ちもあるんだけど。
【歩みを止めなければ自分は成長し続けられると信じてる】
これはアルバルクを出る時に彼が残したコメントで。
今の彼の活躍が、アルバルクでの研鑽の日々の地続きにあることは分かっているから。
だから本音を言えば少しだけ寂しいけれど。
でもやっと、やっと悲しい類いの未練が消えてくれたように思う。
三遠を選んでくれてよかった。
大野さんが4年も変わらず求め続けてくれて本当によかった。
役割を果たせるという充実感の中で彼がこれからどれだけの成長を遂げるのか。
それを見届けられることが堪らなく嬉しくて。
彼がどこまでいけるのか、本当にワクワクしてる。
あ、大野さんは早急に何らかの形で【ほしい物リスト】を公開してください。
差し入れ検討しますので。