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「差異」を探すのではなく「同じ」を探す

職業柄、要件分析等でクライアントの現状を調査するわけですが、多くのクライアントは「当社は他と違うから」とよく言われます。
さてさて、何か大きな違いがあるかと思えば、実は外見を除けばほとんど一緒で…

多くの場合、考古学的歴史年代(嫌味ですが)の中で、かつての合理化の掛け声の下、コンピュータシステムを導入し、システム側の整流化されたプロセスを少し変えた(普通、カスタマイズと言います)、または、高効率にチューニングされた業務側をシステム側に合わすようにしました(普通、業務のシステムへの適合と言います)。

これだけならば、あまり大きな問題にはならないのですが、この時、整流化された基本との距離を考えずに、力ずくで変更した(DNAの転写ミスみたいなものですね)部分もあった。
これが経営環境の変化や事業セグメント、業務プロセスの変化を重ねていく中で繰り返され(よってDNAの転写ミスも発生)、累積され、最終的にはキメラ:ライオンの頭、蛇の尾、ヤギの胴をもち、口から火を吐くギリシャ神話の怪獣みたいになったシステムを使っているところが多いです。

確かに個々の企業でのシステム進化の歴史は違うので、キメラシステムの外見は違うわけですが、しかしキメラも生き物なので、呼吸器系、循環器系、神経系、血液系、腎臓系、内分泌系があり、各々が程度の差はありながらも機能しているがゆえに稼働している=業務は回っている(DNAの転写ミスの蓄積が生命維持の根幹で起こると生物は発生途中で死にます)。なので、業務は回っているため、基本からは大きく離れているわけではない。ただ、全体のバランスが悪く、流れが滞っているか、切れて別の仕組みでブリッジされている状態と言えます。

ですから、「口から火を吐く」といった目立つ差異からではなく、派手ではない「何が業務の基本と同じだから業務は回っている」かを地道に調べ知った上で、差異を調査するスタンスが必要になります。
調査の結果、もしかしたら、DNAの転写ミスの蓄積で生まれた「口から火を吐く」なんてことは不要で、基本要素だけで業務が回ることに気づくかもしれませ。

何事もそうですが、地道に基本の理解、そして基本からの距離を知ることが第一歩になります。
ちなみに、人に関しても、個性、個性と言いますが、人の95%以上は他人と同じと言います。
ですので、「同じ」を知って、「差異」(基本からの距離を)を知るスタンスが大切です。

いちど、思考の道具として「同じ」から探る手法を試してみてください。

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