それでも水は漏ってくる
序章
「なんかさ、パイプから水が若干漏ってるみたいなんだよね。調べてくれない」
と、ヤッシーから言われた。
僕がオヤジから引き継いだ、築45年のアパートの地下室での話。
この地下室は、昔オヤジが事務所兼倉庫で使っていた場所。ずっと、我が家のガラクタ倉庫になっていたが、友達のヤッシーがここでバーを経営したいと言ったので、1年前から店舗として、格安で貸している。
見ると、天井の角を平行して這っているダクトボックスから、少しだけ水が漏っている。
「まあでもさ、古いし、特に今まで問