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音楽療法×介護#1「口腔体操」
―音楽療法×介護ー
特に介護職、在宅介護をしている人に介護ケアで活用してもらいたい音楽の活用方法をご紹介。
音楽療法では様々な音楽の特性を活かし、実施していきますが、日常生活や介護現場でもその特性を利用することができます。
「生活の中で活用できる音楽」
音楽療法士の上田です。
私は普段、老人ホームに伺って、入居されてる方の心と体が活性化して、元気になれる音楽療法を提供しているのですが、実際にデイサービスの介護スタッフとしても働いています。
そもそも音楽療法ってなにって話ですが、簡単に言うと「音楽を健康のために意図的、計画的に目的を持って使っていきましょう」というもので、音楽の特性や性質を理解して、活動をプログラム、実施できる人のことが音楽療法士と呼ばれています。(詳しくは下記の記事をご覧ください。)
ただ、音楽を使った活動は世の中にたくさんありふれてますし、音楽療法士として、もっと生活の中で音楽が使えたらいいなと思って、施設でも、在宅でも介護をしている方みなさんが活用できるだろう音楽の利用方法を紹介していきます。
「パタカラを使った口腔体操」
第1弾は、音楽療法でもよく使われる口腔体操です!
多くの介護施設では、ご飯が食べやすくなるように口周りの体操を食事前にします。
その体操を音楽を使って行います。
まず、口周りの体操で必ずといっていいほど使うのが「パ・タ・カ・ラ」この4文字。
順番にパ・タ・カ・ラと言うことで口の中の色んな場所を刺激できる言葉です。
「パ」口を閉じてから発声・・・食べこぼしの予防
「タ」舌を上顎につけて発声・・・食べ物を飲み込みやすくする
「カ」喉を閉めて発音・・・喉から食道へ食べ物を送る動きの練習になる。
「ラ」舌を使う動作・・・舌で食べ物を喉の奥に送り込む練習になる。
今回は例として「鉄道唱歌」という歌に合わせてやってみましょう。
♪ 汽笛一声新橋を → パパパパ・・・
♪ はや我汽車は離れたり → タタタタ・・・
♪ 愛宕の山に入り残る → カカカカ・・・
♪ 月を旅路の友として → ララララ・・・
(ゲーム感覚で取り組める工夫)
① 歌う文字を、職員さんが指さしてあげます。(実践)
② 少し慣れてきたら、順番を入れ替えると一気にゲーム性が出てきます。
このようにゲーム感覚で歌うことと、楽しみながらより意欲的に口腔体操をすることができます。
曲は今回「鉄道唱歌」にしましたが、何でも大丈夫です。
その他オススメの曲
① 歌いやすい曲 ② テンポのいい曲
※注意したい曲
節が難しい曲、たとえば演歌などコブシを利かせた歌は声を出すこと自体が難しくなる。
なるべく簡単な童謡、戦後すぐくらいの単純なメロディの流行歌がおすすめです。
テンポのいい曲は、例えば「あめあめふれふれ♪」「まぁるいみどりの♪」など、楽しげで跳ねるようなリズムの曲のことです。
ゆっくりとした曲よりもリズムに乗りやすく体操を楽しめると思います。
「青い山脈」「高原列車は行く」などもおすすめです。
ぜひ入居されてる方の好みにも合わせて、色々な曲を試してみてください。
もし余裕があったら、こんなアイテムを用意するともっとやりやすくなります。
パ・タ・カ・ラと1文字ずつカードに書き出して出していきます。
A4の紙に文字を書いて、クリアファイルに入れるだけ!
こうすると文字が見やすくなり、参加しやすくなります。
【ご利用者様との楽しみ方アイディア】
縁取りだけ職員さんが書いて、中はご入居者さんに黒いペンで塗り潰してもらうのもいいですね。
さて、今日は口腔体操で使える音楽をご紹介してきました。
私の施設ではこんな使い方をしてます、とかこんな場面で音楽はどう使えますか、などご意見ありましたらぜひコメント寄せてください!
最後までご覧いただきありがとうございました。
【 音活研究部 ― 投稿者 】
Leaf音楽療法センター
音楽療法士 上田 将来
シンガーソングライター/音楽療法士として音楽活動の傍ら、介護職員としてデイサービスに勤務。幅広く音楽を届けるために活動しながら、シニアの毎日を介護ケアという面からもサポートしている。