三大認知症と音楽
超高齢社会の日本では健康寿命、介護予防など長い寿命をいかに健康で過ごすか、に注目が集まってきています。
介護保険制度もスタートし、様々な対策などがとられていますが、高齢化にともない介護を必要とする方は増加傾向にあります。
「要介護」や「要支援」となった人は、どんなきっかけでケアが必要になったのでしょうか?
新型コロナウイルスの影響で2019年が最新のデータになるのですが、
2019年の国民生活基礎調査では介護が必要になった主な原因が記されています。
1位…認知症(17.6%)
2位…脳血管疾患(脳卒中)(16.1%)
3位…高齢による衰弱(12.8%)
2016年度の調査で初めて認知症が1位になり、今では要介護度すべての原因1位から3位に必ず認知症が入るようになりました。
認知症と診断された人の約85%は三大認知症に分類されます。
三大認知症は何かというと
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症
です。
それぞれの特徴をみていきましょう。
アルツハイマー型認知症は
三大認知症の中で最も多く、全体の半数以上を占めています。発症する原因としてはたんぱく質が異常に増加することによる神経細胞の死により、脳が委縮することが挙げられます。
発症すると認知機能の低下により記憶障害、見当識障害がみられ、食事をしたかわからなくなったり、日付がわからなくなります。
他にも精神状態が不安、うつ状態などになり、反対に急に笑顔が増え「多幸状態」になるのも特徴です。
脳血管性認知症は
脳梗塞や脳出血が原因でおき、血管が詰まり脳の一部に血が流れなくなることでその部分の脳の働きが消えてしまいます。
特徴としては障害を受けていない部位の機能は保たれるのでまだら認知症とも呼ばれ、症状の変動が大きいことなどが挙げられます。
レビー小体型認知症も
原因として異常にたんぱく質が増加しますが、それが脳の神経細胞であるレビー小体に増えることから名前が付きました。
特徴としては夕方頃に悪化する場合が多いと言われ、転びやすくなるなどパーキンソン症状や幻視がみられます。
それぞれの認知症で共通される症状は記憶などの認知機能障害、行動異常、精神異常です。
認知症の治療には薬物療法と非薬物療法があります。
非薬物療法として音楽療法は効果が認められていますが、音楽療法も薬と同じで人によって相性があります。
1つの流行歌にしてもAさんは10歳、Bさんにとっては18歳の時の曲だと聞いた回数や思い入れも違いますし、人により育った環境や好みの音楽が違うためです。
そしてどのような症状をお持ちなのか等によって身体活動や楽器活動の内容も変わりますので、
対象者のアセスメント、つまり情報収集が大変必要になります。
私たちが病院で薬を処方してもらうように、音楽療法も対象の方に合わせて音楽を処方しなくてはいけないのですね。