【楽しみ方は無限大!】初心者さんにもおすすめの世界の美術館・博物館
みなさんは美術館や博物館には行きますか?
私は美術館も博物館も、訪れたときに感じる、映画を観る前のようなわくわく感と館内の独特の雰囲気が大好きで、時間ができた時や企画展が開催される時にはよく足を運んでいます。
残念ながら最近は、新型コロナウイルスの流行による長期間の臨時休館や、チケットが完全予約制になってしまい、あまり行けていませんが・・・。
さて、日本国内にも多くの美術館や博物館がありますが、「そもそも美術館や博物館の面白さがいまいちわからない・・・」「そういえばあんまり行ったことないかも・・・」という人も少なくないはず。
そこで今回は、世界の美術館・博物館、特にヨーロッパのものに目を向けてみて、その魅力を探っていきましょう!
王道の有名なところから、ちょっと変わったところまで、プチヨーロッパ旅行に出発です!
イギリス:ロンドン・ナショナル・ギャラリー
まずはじめはこちら。
イギリス ロンドンにあるロンドン・ナショナル・ギャラリー。
1824年に設立された美術館で、レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメール、ゴッホなどの数々の名作が所蔵されており、今なお多くの人を魅了し続けています。
今年は設立以来初めて国外での企画展が開催されましたが、その開催地はなんと日本!
新型コロナウイルスの影響で会期の変更や完全予約制になるなど、予想外の事態が起こりましたが、東京展ではかなりの賑わいを見せました(2020年11月現在、東京展は終了、大阪展は開催中)。
日本での開催が終わった後は、オーストラリアにも巡回するようです。
イギリスの美術館・博物館では珍しくないのですが、この美術館はなんと入場料が無料。
企画展は有料のところがほとんどなのだそうですが、常設展も素晴らしい作品ばかりなので、ありがたいことです。
日本の国立美術館が大学生でも1,000円以上するところがあることを考えると、なんだか「本当に無料で見てもいいのか・・・?」なんて気持ちになってしまいますね。
この美術館は決まったテーマで展示をしているわけではないので、人物画から風景画まで、さまざまな時代の作品をさまざまな見方で楽しむことができます。
「美術鑑賞ってよくわからない・・・」という方にもおすすめの楽しみ方の一例を、この美術館に所蔵されている作品を例にとってご紹介しましょう!
まず、何か風景を描いた作品を一つ選びます。
そして絵の前に立ったら、スマホを取り出し、Googleマップを開きましょう。
風景画にはたいていその絵に描かれている場所の名前や地名がタイトルに入っていることが多く、解説でもどこを描いているのかを説明していることが多いので、その名前を検索してみます。
そしてストリートビューでその場所を探索!
たとえばこの、カナレットという画家が描いた、「大運河のレガッタ」という作品(イギリス ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵)。
こちらはイタリアのヴェネツィアにある、大運河という場所。
この大運河をストリートビューで見てみると・・・
こんな感じ!
ここがまさに、この絵に描かれた場所です。
視点は少し低めですが、左側手前にある建物を見ると、絵と同じものであることがわかります。
さらに、絵に描かれた運河の一番奥を見ると、少し見えづらいですが大きな白い橋がかかっています。
これはリアルト橋といって、現在でも同じ場所に残っており、ヴェネツィアの観光名所の一つです。
ヨーロッパは昔の街並みがそのまま残っているところが多いので、このように現代の風景と見比べて楽しむことができるんですよ!
実際に行ったつもりになってバーチャル世界で散歩してみるのも面白そうですね。
もしかしたら当時の人も、あなたと同じ景色を見ていたかも。
そう考えると、なんだかちょっとわくわくしませんか?
ドイツ:中世犯罪博物館
続いては、すこし変わったテーマの博物館です。
ここはドイツのローテンブルク・オプ・デア・タウバーという都市(以下ローテンブルク)にある中世犯罪博物館。
中世ドイツの刑事訴訟や法律、処刑の仕方など、犯罪に関すること全般について学ぶことができる博物館です。
ローテンブルクには中世の街並みが残っていて、おとぎ話に出てくるようなかわいらしい木組みの家が見られる場所として日本人観光客にも人気の都市。
中世ヨーロッパの都市に特徴的な、市壁と呼ばれる都市一帯をぐるりと囲んだ大きな壁も残っていて、なんと壁の上を歩くこともできるんです!
私は実際にこの博物館を訪れたことがあるのですが、展示室に入るとさまざまな形・大きさの拷問器具や処刑道具がずらり・・・。
中世の拷問・処刑方法について記された数々の文献も展示されています。
また、政治において使われた書簡や条約の締結に使われた文書など、ドイツの政治史・軍事史においても重要な資料も数多く展示されていて、ドイツ史について幅広く知ることができるんです。
日本人の観光客が多いためなのか、各展示物の解説にはなんと日本語もあります!
そして個人的なこの博物館での一番の見どころと言えばこちら・・・
アイアンメイデン!!
写真で見ても「ばばーん!!」という効果音が聞こえそう。
女性の姿をかたどった形をしていて、中には無数の棘がある・・・という拷問器具。
受付のカウンターの前に堂々と鎮座しています。
さすがにレプリカとはいえ目の前で見るとすごい迫力です。
迫力というかもはや「圧」を感じますね・・・。
このように、世界には「ウケる人にはウケる!」というニッチな展示をしている博物館もあるんですよ!
ローテンブルクには他にも、クリスマス博物館という一年中クリスマスの気分を味わえる博物館もあります。
新型コロナウイルスの流行が収まり、ドイツに行くことができるようになった際には、ぜひ行ってみてくださいね!
イタリア:ウフィツィ美術館
最後はルネサンス芸術の中心地だったイタリア フィレンツェにあるウフィツィ美術館。
ここにも私は実際に訪れたことがあるのですが、もうとにかく広い。
一日中居られるくらい広い。
私は研修で行ったので、主要な作品をかいつまんで観ることしかできなかったのが本当に口惜しいです・・・。
この美術館の建物はもともと行政機関の事務所だったもので、「ウフィツィ(伊:Uffizi)」は英語で言うとOffice、つまり「事務所、官庁」という意味。
ヨーロッパには役所の庁舎や宮殿などの歴史ある建物を再利用している美術館や博物館が多く、このような場所は展示品だけでなく建物の内装も美しく、長い歴史を感じさせてくれます。
ウフィツィ美術館は、まさに美術館全体が一つの作品であるかのよう。
展示物の配置にもこだわりが感じられ、フィレンツェが「芸術の都」であったことを改めて痛感します。(写真がブレてしまっています、すみません・・・)
このように、もともと別の目的で使われていた美術館や博物館は、作品や展示物を見て楽しむだけではなく、建物自体を見てその魅力に浸ることもできるんですよ!
日本には現代的なデザインの建築を使った美術館・博物館が多いですが、東京にある東京都庭園美術館や京都にあるアサヒビール大山崎山荘美術館などは、もともとは皇族の邸宅や実業家の別荘として使われていた由緒ある建物を使った美術館として知られています。
このような空間ごと楽しめる美術館・博物館は、初心者さんにもおすすめです!
今回のプチヨーロッパ旅行はここで終わり。
世界には数えきれないほどの美術館や博物館があり、全部を紹介することはできませんが、その魅力やさまざまな楽しみ方があるんだよ、ということが伝わっていたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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