登校拒否、じゃない | 母とのこと #2
わたしは、朝、起きられない子だった。
なかなか寝つけなくて、そしていったん寝ると、朝になっても起こされてもなかなか目が覚めなかった。起こされても最初の何度かは聞こえてさえいなかったと思う。
中学だか高校だかの頃は、自分が昼寝していた横の部屋で、壁に穴を開ける工事をしていたのにも気づかず寝ていたことさえあった。わたしが昼寝している間に出かけた家族が鍵を忘れて、何度も何度もドアをたたいたり呼び鈴をならしたりしても起きなかったりもした。弟が集合住宅の外壁をつたって3階まで登ってきて、3階の窓から家に入らなければならなかった。
目覚まし時計をかけたくらいでは起きられなかったので、毎朝何度も何度も起こしてもらって、やっと起きていた。
***
中学一年のころ、クラスのある女子に何かの理由で嫌われた。
その子はその子なりの理由があったんだとは思う。
だけど、その子がその周りの子たちにそのことを話すと、関係のない子たちにまで、無視されたり陰口を言われたりするようになった。わたしの教科書だかノートだかのページの間に糊を塗られて、ページを開いたら破れたこともあった。
学校がとても居心地の悪い場所になった。
経緯は忘れたが、母がある日、そのことを知った。
すると母は、わたしには何も言わず、突然わたしを起こすのをやめた。
わたしは学校に行かないなんて一度もひとことも言っていない。
「学校がイヤなら行かなければええわ、と思って。」
わたしは、行かないなんて一度もひとことも言ってない。
朝起きないのは、起きたくないからじゃない。
ただ単純に、目が覚めないからだ。
ひとりで起きられるようになる練習も何もなく
突然ある日、起こすのをやめられても、起きられない。
学校に行かないなんて言ってないのに、勝手に行かないと決めて、勝手に起こさないと決められたら
わたしのことを、いつも、そんな風に勝手に決められたら、
わたしは、いつ、自分のことを自分で決められるようになるの?
お母さんは、
わたしが自分のことを自分で決められるようになってほしくなかったの?
わたしが自分の人生を自分で自信を持って選べるように、なってほしくなかったの?