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【5分で学ぶ】KYNEの作品が人気な理由(誰かに似てるけど、誰でもない)

どこか物憂げで、クールにすました女の子。「何を考えているんだろう?」とその不思議な雰囲気に惹かれませんか?

作品の作者は、KYNE(キネ)。いま人気急上昇中のアーティストです。

この記事では、KYNEの作品のルーツや魅力を紹介し、なぜこのような作品スタイルになったのかを解説します。

KYNEは今、人気急上昇中のアーティストなので、その作品背景を知ることで、アートのトレンドをキャッチアップできます。

それでは、さっそく掘り下げていきましょう!


1. 日本画をベースにストリートへと昇華


KYNE(キネ)は1988年生まれ、福岡を拠点に活動するアーティストです。

大学時代は日本画を学び、その後地元で描いていたストリートアートが話題となったことをきっかけに、2006年頃から本格的にアーティスト活動を開始。

日本画を学んだ影響もあり、平面にモノクロの人物画を描く、余計な要素を削ぎ落としたシンプルかつミニマムな表現が特徴です。

なぜ日本画を学んでいたのかというと、過去のインタビューでは、

もともと油絵をやっていたんですが、絵の具を重ねて立体的に描くところが合わないなと思ったんです。

もうひとつの理由が、高校もデザイン科専攻だったんですが、高校の同級生にすごく写実が上手な油絵を描く友だちがいて、いまその友だちはプロの画家になっているんですが、それもあって油絵だと絶対勝てないから別のことを勉強しようと思って、たまたま選んだのが日本画でした。
ーーKYNE×NONCHELEEE 人気イラストレーター2人のルーツをたどる

と、語っています。


作品の主なモチーフは女の子

作品の主なモチーフとなる女の子は、いつもクールでどこか物憂げな表情を浮かべています。

2010年頃に確立したこのポートレート画は「KYNE girl」と呼ばれ、ステッカーを福岡の電柱やビルの壁などあらゆる場所に貼っていくなかで、ストリート界隈での認知度が上がっていきました。

シティポップな雰囲気と、リアルなストリートカルチャーの世界からそのまま飛び出してきそうな女の子は、時代を反映するアイコン的な身近さを感じさせます。


2. 80年代カルチャーから多大な影響を受ける


絵を描く際には、シャープペンシルでスケッチブックに下絵を描くところから始めるそうです。

それをスキャンしてPCに取り込み、徐々に線を減らしながら洗練させていく。

下図をきっちりつくってから原寸大に落とし込む日本画をベースとしたプロセスとのことですが、まさに引き算の美学ですね。


作品の中で描かれる女性について、過去のインタビューで以下のように語っています。

ネットで見つけた素材、実際の人物などの髪型やポーズを参考にすることはありますが、顔を似せることはないですね。

喜んだり、悲しんだりといった感情がこもらないようにもしています。

見る人がその時々でいろんな感情を汲み取れるようにしたいので。
――Casa BRUTUS

あえて特定の表情を感じさないように描き、まるで光の当たり具合で表情が変わる能面のごとく、鑑賞者の心に感情を想像させるのが、KYNEスタイル。

一目見れば「KYNEだ!」と分かることも、アーティストとしては作品の印象を強くする重要な要素です。

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