見出し画像

「アートで生きるためのバックオフィスづくり」について考えています

文化活動を行っているフリーランスのアーティストやプロデューサー、また法人や団体職員や役員など働き方や立場、抱えているミッションやプロジェクトは違えど「総務」という表には見えない仕事は個人でもどの組織でも抱えている共通のものだと思います。
ぼく自身は障害福祉サービス事業の管理者をしています。組織の運営管理とそこで行われているケアや障害のある人の活動のサポートが業務です。また創作活動や移動販売などを、施設に通う利用メンバーの仕事としてサポートすることも事業内で行っています。そこで日々のプロジェクトに伴う出来事の記録からメンバーのケアやプログラムの管理、そしてそれをサポートとしているスタッフ労務に関するフォローや事務処理と、様々な「総務」が規模が小さい法人であればあるほど個人のマンパワーに依存しなければなりません。リーダーやマネジャー、または主任や部長など、役務を分けられるような事業規模の法人であれば解消することも多いのだと思いますが、それでも何をどう活用できるかという知識や、どういう環境が必要で課題は何かを整理するには客観的な視点が必要だったりもするでしょう。
では個人の場合はどうでしょう。フリーランスでも、プレイヤーとプロデューサーと連携して事業や制作を行えれば越したことはありません。主としてはどちらかの役割を担っているとしても、実は両方の役割を担わないとプロジェクトが動かないということは、多いのではないかと感じています。

例えば画家が1枚の絵画作品を制作し、その後の記録をどう残し管理するのか。データベースとなった資料を共有し販売や展示会に活かす方法を考える。制作以外の「管理や運用」について検討し実行に移すためはどうしたらいいかと、頭を悩ませることは少なくないのではないでしょうか。作品を展示会への出すときはどうでしょう。広報では、できたチラシを配送する、またはメーリングに流す。ギャラリーに作品リストを出すためまとめるリストには、価格や条件、作品の名前や素材などが載っていなければなりません。そうした個人で作業しているものも、もしかしたら既存のウェブや書類管理・データベースのサービスを使えば(導入時にはそれなりの苦労はあるとして)、いざプロジェクトが始まったというときに一瞬で解決することもあるかもしれません。しかし、サービスの導入を作家個人が、または作品や事業をマネージメントとしている組織の代表が行う場合、時間や資金について考えなければなりません。

問題は、そのとき、まだ事業が走り出したばかりの人、または手弁当で集まり自分の生活するための仕事を抱えながら並行して制作や事業を行っている人、複数の事業や団体・役職を行ったり来たりしながら自分の秘書を自分が行っているような人にそれだけにかける時間や余裕がないかもしれないということです。委託するような資金や、総務・バックオフィスを導入する時間が少ないという共通の課題はないでしょうか?制作やプロジェクト、人や団体を維持し運営することや資金と、文化芸術においても起こる問題の中で「プロジェクトの運営」ではなく「組織の運営や事務処理」の部分で消耗してしまう。お金や評価が申請した助成金や実施したプロジェクトで得られても、実現するために「見えない」部分で消耗している状況はどれぐらいあるのでしょうか?その一当事者として、そのことが「団体や個人」の能力や資質の問題だけではなく、解決すべき文化芸術関係者だれしもが抱えている社会的課題として捉えることはできないか、と考えるに至りました。

今、新型コロナウィルス蔓延により文化芸術の分野では非常に深刻な状況が起こっています。公的な支援金やネットワークによる共助が立ち上がるなどしています。公的・民間の助成を受けた団体や、共助ネットワークによるクラウドファウンドも、その「中の人」の人たちはどのように、プロジェクトを管理しているのでしょうか。公的なプロジェクト自体への支援はありますが、例えば、中小企業への「中小企業デジタル化応援隊」や「IT導入補助金」のような文化芸術団体への助成はあるのでしょうか。非営利団体へのデジタル・IT支援を行っているTechSoup(テックスープ)のような取り組みをアーティストに向けて行っている団体はあるのでしょうか。制度を組み合わせている団体もその導入と組織への共有や周知は誰がどのようにしているでしょうか。自分の組織を顧みれば、個人個人のマンパワーに依存している状況を想像していまいます。

今年は、新型コロナウィルスの影響もあり障害福祉サービス事業としては売上が落ちている状況ですが、融資を受けたりして、「責任者」の労務環境を整える仕組みづくりを考えています。バックオフィスを整えてることをしているのですが、それをしようとするとするほど、小さな組織ほどリーダーの仕事や新しい仕組みやサービスの周知をするなど役割が増えて行きます。であれば、「自分がする」のではなく「自分もほしい」サービスを「自分の外がわ」につくることができないかと。総務という業務としては範疇の広いものをただやるようなサービスではなく、NPO支援のような支援した個人や組織がそのノウハウやサービスを駆使して、今までの負担を減らして、本来の制作やプロジェクトに時間やマンパワーを向けられるようなことができないかと思っています。

色んな文化事業をしている小さな団体や個人のお話で苦労をお聞きしたい(たぶん自分も愚痴りたい・・・)し、きっとその中で共通の課題や工夫が見えてくると思う。またそれは公的・民間の「支援団体」とはまた違う伴走型支援をミニマムに行う仕組みになるんじゃないかって、勝手に想像しています。役割分担としてそういう小さなサービス?事業者がいても良いんじゃないかな。もしそうしたケースあれば、知りたいとも思っています。集まれ、「総務」でモヤモヤしている人!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?