映画「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」を見て
頑張るお兄ちゃんは妹の手を離さずにいられるか――
原作ゲームは、プレイしたことこそないが実況動画をいくつも視聴している。
AIが暴走、殺人AI、等々SF的理由ではなく、心霊的理由で動くロボット(アニマトロニクス)と廃業した店という組み合わせは私にとってたまらない設定である。
オープニングのドット絵によるアニメーションがレトロ感と子どもの頃染み付いた悪夢のような不気味さを醸し出す。
子どもが喜ぶ存在(少なくとも表向きは)のはずのマスコットが、人を襲う。親しむ相手が邪悪に転じる恐怖は、どこか懐かしさを覚える。
ただ邪悪なだけではないところがストーリーの良いところである。この映画は「子ども」をキーワードに、主人公の過去の謎解きや家族の物語も組み込まれている。
主人公は幼い頃目の前で弟を誘拐され、両親が相次いで亡くなる。たった一人残された家族であり年の離れた妹・アビーとはコミュニケーションが上手く取れない。叔母は金欲しさに主人公からアビーを取り上げようとしつこく、主人公自身も行く先々で問題を起こしては仕事をクビになりアビーとの生活を維持できるか怪しい。
やがてフレディーたちのピザ屋での仕事が過去(弟)と現在(妹)を結びつけ、主人公は「兄」としてある選択を迫られる。
そして主人公たち以外にも、実はある家族の物語が進行している。私は思わず「お前かよ?!」とつっこんだ。この家族が辿った結末は主人公たちと真逆ともいえる。この映画の続編が来年公開予定らしいが、結末が引き継がれるのか少し気になる。
怖いかと問われれば、私は怖くなかった。ただ、生きている人間の狂気が一番タチが悪いと思った。
レトロなピザ屋の内装にはとても心惹かれたし、あのフレディーたちが立体化していることに感動した。レトロなネオンや火花を背負って動く不気味なロボットは浪漫である。
どこかテーマパークを楽しむような感覚で見ることができたのは、テーマパークを舞台にしたホラーも大好物だからかもしれない。某テーマパークでコラボレーションしたら面白そうだなと思う。