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tanagokoro_1608
飛べ。飛んでいけ。お願いだから飛んでください。
ぼごん。
今朝響いた重い音。一同、慌てて中庭を覗き込む。
「鳥だ!」
鳥が硝子にぶつかった音だ。ぶつかった鳥は中庭に落ちてしまうことが多い。そうすると、大抵の鳥は脱出するのにだいぶ苦労する。中庭を囲む高い壁を越えられないのだ。
我が家の中庭は動物の事故が多い。特に飛ぶ練習中の雛鳥は、そのまま命を落としてしまう可能性が高い。親鳥を呼ぶ声と、雛鳥を呼ぶ声がいつまでも聞こえるのはこちらも胸と胃がギリギリ痛む。正直バッと捕まえてポイっと外に出してしまいたいのだが、逃げ回る雛鳥を捕まえるのは容易ではないし弱らせてしまうし、下手に人間の臭いをつけたら親鳥に避けられてしまう。我々にできることは、「頼むから飛んでくれ。無事脱出してくれ」と祈り見守ることだけだ。我が家は全員動物好きなのでとても辛い。
だから、もう「ぼごん」なんて聞こえようものなら肝が冷えるのだ。幸い今朝の鳥は中庭から逸れたようで姿が見えなかった。夏場は事故が増えるので気が気でない。頼むから我が家上空で飛ぶ練習をしてくれるなと祈るばかりだ。
余談だが、鳥の次に多いのがアゲハ蝶である。特にクロアゲハが毎年毎年迷い込み、しばらくフラフラ飛んだのち脱出していく。お盆の時期に特に多いので、還ってきた人たちが迷子になっているように見える。