アンリ・シャルパンティエ と フランス絵画史
美味しいナポレオン・パイが食べたくなって、アンリ・シャルパンティエの銀座店(銀座メゾン)に行ったところ、その入り口シャッターに有名な絵画を発見!。「どうしてこの絵画?」とアンリ・シャルパンティエの HP・問合せ欄に質問を送った・・・と、前回の記事に書きました。
この絵画(画像・右)に描かれている 向かって右側の女性が、アンリ4世の愛妾=ガブリエル・デストレなので「アンリ」繋がりかしら?と疑問を抱いて送った、私の質問がこちらです。
ケーキとは全く関係のない質問で申し訳ない と思ったのですが、いつの日か回答が聞けたら良いなぁ・・・と。
なんと!。質問を送ったその日に返信メールをいただいたのでご紹介させて下さい。
私の勝手な深読みに、なんとも迅速で親切丁寧なご回答をいただき感激しております。
銀座店が銀座メゾンという名称であること、
その素敵な建物が、フランス人デザイナー、ジャン・フィリップ・ニュエル氏がパリのアパルトマンをイメージして設計したものであること
を知り、ふむふむ。もっとしっかり調べてから質問すべきだった💦と反省しつつも、
ニュエル氏が、銀座メゾンの建物デザインをプレゼンするシーンを想像してドキドキわくわくするのです。
私たちが愛するナポレオン・パイにはそんな夢がいっぱい詰まっていたのですね。
また食べたくなりました✨。
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そしてジャン・フィリップ・ニュエル氏がシャッターの絵柄に選んだ絵画がこちら『ガブリエル・デストレとその妹』。
すべすべ肌の裸婦二人が、何とも怪しげなポーズをとっています。
このちょっと恥ずかしい(個人的な感想です)作品がフランス絵画史に残る重要な作品なの⁈ と、何も知らなかったときの私は思ったものです。
画家の名前でなく【フォンテーヌブロー派】とされているのも不思議でした。
この作品を題材にして、フランス絵画史をちょっと復習させて下さい。
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16世紀、ルネサンスが隆起していたイタリア🇮🇹に 文化芸術面で遅れをとっていたフランス🇫🇷。
そこに現れたのが強力な文化芸術の庇護者=フランソワ1世です。
フォンテーヌブロー宮殿を建設して そこにイタリアから芸術家を招いたことでフランスにルネサンス文化・【マニエリスム】が伝わります。そしてフランス宮廷風に洗練された様式が【フォンテーヌブロー派】。フォンテーヌブロー宮で活躍した芸術家たちは【フォンテーヌブロー派】と総称され、作品を共同で制作することが多かったため、名前の伝わらなかった画家も多いのですね。
フランソワ1世のコレクションがルーヴル美術館収蔵品の礎となり、彼がレオナルド・ダ・ヴィンチを招聘したことで『モナ・リザ』がフランスのルーヴル美術館にある!!!。ワオーっ、凄いことです。
16世紀末、そんな【フォンテーヌブロー派】に北方絵画の影響が加わり、アンリ4世のもとで発展したのが【第2次・フォンテーヌブロー派】。そしてその代表作品が『ガブリエル・デストレとその妹』というわけなのですね。
・官能的な裸体=イタリアルネサンス【マニエリスム】
・カーテンを用いた騙し絵的手法や、画中画・細部の描き込み=北方絵画
・洗練された宮廷風=フランス好み
この作品がまさに【第2次・フォンテーヌブロー派】なのです。
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このカンヴァス向かって右側に描かれたガブリエル・デストレは、アンリ4世より20歳年下の絶世の美女。カトリックへの改宗をアンリ4世に進言するなど知的な彼女をこよなく愛した王は、妻との結婚を無効にしてガブリエルを正妻として迎えようとしました。
しかし結婚承認の前日、ガブリエルは死去、暗殺されたのではないか?との説もあるそうです。
そしてガブリエルの死後、アンリ4世が妻として迎えたのがあの
マリー・ド・メディシスなのですね。
おーーーー。
自らの人生を題材にして、あのルーベンスに24枚の連作を描かせた、あのマリー・ド・メディシス。
4年前、ルーヴル美術館で立ち寄ったマリー・ド・メディシスの間。
その巨大サイズ(約4m×約3m)・24枚に描かれたルーベンス作品の迫力、そしてマリーの自己顕示のエネルギーに圧倒されたものでした。
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「いやぁ〜、歴史って繋がっているのね」
と当たり前のことに気づかされて感動✨。
「もう少し歴史の知識を増やせば、もっと芸術作品が楽しめるんだよ」
と教えられるのです。
そして、王家と芸術、権力と愛欲。。。脈々と連なるフランス美術史を語る上で欠かせない作品が、本日の『ガブリエル・デストレとその妹』なのですね。
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アンリ・シャルパンティエ(銀座メゾン)のプレゼンテーションを行うジャン・フィリップ・ニュエル氏が、
「シャッターにはこの作品を採用しようと思います」
とパワポの画面を切り替えると、そこには『ガブリエル・デストレとその妹』が映し出されたのでしょうか。。。
想像するとドキドキ・わくわく、そしてさらにウキウキしてきたのです。
<終わり>
ちなみにヘッダーの写真は肖像画です。
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