万国旗。オリンピックとシニャックの場合
招致には大反対していたのですが、決まったからには応援せねば…と臨んだ私の2020東京オリンピック。
開催にはいろいろな問題があり、手放しに賛成できないことを知っていました。しかし、この17日間を目標にして 毎日毎日苦しい練習と努力を重ねて勝負に臨んだ選手たちの涙と笑顔に嘘はありません。テレビに釘付けになって試合を観戦し、何度もハイライト・シーンを見て胸を熱くしておりました。
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7月23日(金)開会式。
聖火を矢で放ったり、007が登場することもなかったのですが、我が家では “選手入場” シーンで勝手に盛り上がっていました。
普通であれば[JAPAN]選手団が登場するのはアルファベット【J】。
私 「【 I 】の国が出てきたら呼んでね」
と家事や翌日の準備のため テレビの前から離れるのですが、今回は違います。
なぜなら馴染み深い[カタカナ読み]の国々が【アイウエオ順】に登場してくるから。
まずは、[ギリシャ]登場。オリンピック発祥の地だからね。ふむふむ。
そして【ア】行のスタート。
[アイスランド]、[アイルランド]、[アゼルバイジャン]。
おっ。ギリシャが[ギリシャ🇬🇷]であって[Greece]ではないのであれば、登場順が予測できるじゃないの!
そこから 《次に登場する国を予想して相手より早くコールする》 ゲームが始まりました。
悲しいかな、知っている国が少ない旦那さんと私。コールするより考えている時間の方が長いのですが、自分の予想した国が登場してきたときには得意顔(笑)。
[アフガニスタン]、[アラブ首長国連邦]、[アルジェリア]が登場。
他に【ア】から始まる国は…
旦那さん 「アルゼンチン🇦🇷!」
正解!
以前バティステュータを応援していた私としては[アルゼンチン]はコールしたかった…。悔しい。
気持ちを入れ替えて、と。「アル」まで来たら、【ア】はもう無いでしょう。
よし【イ】は…。
私 「イギリス🇬🇧!」
と自信を持ってコール。
しかし、そこから【ア】が出てくる出てくる。
[アルバ]、[アルバニア]、[アルメニア]、[アンゴラ]、[アンティグア・バーブーダ]、[アンドラ]。
「おいおい、どんだけあるんや。一生終わらんでぇ」と変な関西弁でツッコミ。
[イエメン]が登場。
いよいよ【イ】に突入です。よし、次こそ。
私 「今度こそ、イギリス🇬🇧!」
と思ったら[イスラエル]登場。あれ?イギリスは…???
私 「そうか、正式名称がグレート・ブリテン…だからイギリスは【グ】で登場だよ」
としたり顔。
旦那さん 「さすが、うちの奥さんはわかってますよ」と煽てながら、すかさず「イタリア🇮🇹!」
うーーーっ、イタリアを取られた(涙)。
負けじと[イラク🇮🇶]、[インド🇮🇳]とコール✌️。
続いて【ウ】で始まる国[ウルグアイ🇺🇾]登場。
そしてそれに続いて出てきた【エ】の国のプラカードにはなんと、
[英国](エイコク)!
英国って⁈ あのイギリスだよね。
うわーーっ、ここにきて突然【漢字表記】って、この変な感覚がたまらない。とツボにハマっていました(笑)。
私 「じゃあ、アメリカはベイコクだよ!【べ】の米国!」
日本人の私でも予想しきれない順番。海外の人は、自国選手の登場がいつになるのか、皆目検討がつかないのではないかしら。
“ヨーロッパを取ったらポイント2倍!”
【ク】で[クック諸島]が登場してからは、
“諸島を当てたらポイント10倍!”
と次々と新ルールを決めながら二人で叫び続けたのでありました。
[米国]は【へ】の順番では登場せず、「ユナイテッド」の【ユ】にもいませんでした。あれっ???。
あとでわかったのですが、開催国のみならず、開催予定都市も最後に登場。
2028年 開催都市ロサンジェルス[アメリカ合衆国🇺🇸]
2024年 開催都市パリ[フランス🇫🇷]
2020年 開催国の[日本🇯🇵]
だったのです。2028年がロサンジェルス開催なんて忘れてました。でも[ベイコク]でしょ、[ベイコク]!と最後までツッコミを入れて大笑い。
私 「次のオリンピック開会式では、事前にきちんとルールを決めてポイント制で勝負しようね!」
と意気込んでみたものの、【アイウエオ順】で登場することもなければ[カタカナ読み]の国名で登場することもないのです。おそらく私が生きている間には。
思い返せば 我が家のオリンピックの戦いは、この時から始まったのですね。
それからの17日間は 日本人選手の活躍と頑張りに心震わせて、あっという間に終わってしまいました。
感動を与えてくれた全ての人に感謝しかありません。
私 「今からオリンピックを目指すとしたら、何の競技に挑む?」
姉 「アーチェリーかな」
旦那さん 「アーチェリーかな」
なるほど。体力の衰えや根気の減退を考えざるを得ない年代ですからね。
私は…。高飛び込みかな(笑)。
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オリンピックに参加した 206の国と地域。
それは地球上のどこにあるの?人口は?言語は?。知らないことだらけ。
「世界は広いなぁ、オリンピックって凄いなぁ…」と1964年の東京オリンピックで当時の小学生が感じたであろう、そして今となっては当たり前のことを真剣に呟いていました。
そういえば、小学校の運動会。運動場に<万国旗>が張り巡らされていました。
青空に はためく色とりどりの四角い布を見上げて、何だかよくわからないけどおめでたくてワクワクしたのを覚えています。
あの<万国旗>は、オリンピックを真似していたのかも知れません。
世界は広いよ。肌の色や髪の色 プロポーションといった見た目、話す言葉や考え方が違う人たちがこんなにたくさんいる。でも、努力を重ねて真剣に勝負に挑み、泣いて笑う姿は みんな同じ地球に生きる仲間じゃない。自分と違う人たちのことも理解し尊重して助け合っていこうよ。
願いは世界平和。皆んなで力を合わせて困難を乗り越えよう!
当たり前だけど忘れてしまいがちな大切な精神を取り戻したい、そう思えた2020東京オリンピックは、私を小学生ような純粋な気持ちに引き戻してくれました。
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<万国旗>といえば、国立西洋美術館の常設展で観た港の風景を思い出します。
『サン=トロペの港』(1901-1902年)
ポール・シニャック(1863-1935年)
135×161.5cmと大きなサイズの作品は、常設展のスペースで鮮やかな色を放っています。明るく美しい色に吸い寄せられ近づくと、まるで色紙を細かく刻んで貼り合わせたような筆致に驚かされるのです。
移ろいゆく光とそこに揺らめく色彩をどう表現するのか?。
それを細長い筆触で直感的に描いた印象派に対し、スーラは色彩を科学的な理論に基づいて規則化しようと企て、点描技法を考察しました。新印象主義ですね。
スーラの急逝後、新印象派のリーダーとなったシニャックは この作品で、
「青・オレンジという補色の組み合わせを基調に、モザイクのような筆触によって光と影の効果を色鮮やかに」表現している(村上博哉 先生)のです。
大好きな作品。
今まで何回も、たっぷり時間をかけて細部まで観ています。
ある時、画面右上に描かれた万国旗の中に、日の丸(らしき旗)を見つけました!
見えますか?
絵画作品に隠された秘密に自分だけが気がついた⁈。
嬉しくて小躍りしました。
1901年 フランス南部の町、サン=トロペ。
柔らかな光とやさしい彩りに囲まれた港に立ち、地中海の潮風に吹かれる日の丸を見上げていると、小学生の自分に戻ってワクワクするのです。
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最後に「オリンピックの3大ビジョン」を勝手に引用し、自分ごとにして解釈。
「全員が自己ベスト」… 自分ができることに真摯に取り組みます!
「多様性と調和」… “思いやり” のために視野を広げます!
「未来への継承」… 想像力を養い、創造力を身につけます!
信念には世界と未来を変える力があるのです。
<終わり>
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