ルノワールの黒
≪ パリ滞在記・その35≫
〜Musée d’Orsay オルセー美術館・⑥ 〜
最初は あまり好きな作家ではありませんでした。
西洋絵画に興味を持った頃に、裸婦を描いたルノワール晩年の作品を続けて見て “どれもよく似ているなぁ” と思ったことが原因かもしれません(失礼をお許しください)。
しかし<ビュールレ・コレクション展>で『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』を見たときに “少女をとても可愛らしく描く人だなぁ” と思いました。
それからも いくつかの風景画を見て “優しくぼかした筆致と明るい色合いで、柔らかい絵を描く人だなぁ” と。← いずれも薄い感想ですみません💦。
今回、オルセー美術館の印象派ギャラリーで出会った一枚『劇場の桟敷席(音楽会にて)』1880年。
とても魅力的な若い女性の黒い瞳に見つめられて、しばらく動けませんでした。
キャンバス上部の落ち着いた深緋色(?)と、白を基調とした画面下部。その真ん中に黒いイヴニングドレスを着た女性が座っています。首から胸元のやわらかな黒いファーが包み込む女性の肌は、透き通るようになめらか!なんとも美しい白、そして黒色でしょう。大好きな絵になりました😊。
ちなみにこの作品はクラーク美術館が所蔵しているらしく、たまたまオルセー美術館に来ていたようです。お会いできて良かった!光栄です✨
『シャルパンティエ夫人』のカンバス全体に使われた黒色も良かったです。
そして実物を見るまで本当の素晴らしさがわかっていなかった『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』。
とても、とても素敵でした。大きな画面いっぱい、明るくやわらかく美しく、そして生命や愛情に溢れています。女性のドレスについている黒色のリボンや 帽子の黒色が絵を引き締めているような気がしました、勝手な解釈ですが😅
ちなみに帰国後に<コートールド展>の『桟敷席』も見てきました。
男性のシャツ、女性の袖口にあしらわれたレース、手袋や真珠の白色と ハッキリした黒色のコントラストが全体を引き締めています。ストライプの黒い縦ラインが女性のキリリとした美しい顔に視線を誘います。こちらも素敵でした。
宣言させて下さい「私はルノワールの黒色が好きです!」
おっ! ルノワール(Renoir)の中には黒(noir)が入っていました☺️
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<その35>終わり