勝手に愉しむ❗️<その7> 〜画家たちの関係を学ぼう!〜
The NATIONAL GALLERY, LONDON
<ロンドン・ナショナル・ギャラリー展>
開催が延期されている<ロンドン・ナショナル・ギャラリー展>。
入手できる情報をもとに予習しながら一人で勝手に愉しんでいます!
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【第5章 スペイン絵画の発見】ー The Discovery of Spain ー
来ました!スペイン🇪🇸へ。
公開されている画像(冒頭の写真)を見ると、少しオレンジ色が入った赤ベースの壁でしょうか。作品に描かれた鮮やかな赤色が映えていますね。
「こんな配置になっているんだ!」と与えられたわずかな情報だけで、ワクワクが止まりません。浮かれすぎないように少し落ち着かねば…😤。
ここには、ベラスケス、ゴヤ、スルバラン、ムリーリョ、そして大好きなエル・グレコもあります。
私はスペイン絵画が好きなんだ … と、最近まで 絵画の国籍を考えたことがなかった初心者は改めて気づかされます。
本展の監修者でもある国立西洋美術館の川瀬佑介先生は スペイン絵画もご専門ということで、雑誌やWEBそして「ぶらぶら美術館」で熱く語っています。
▶︎ ムリーリョ『窓枠に身を乗り出した農民の少年』の微笑みの先に女の子がいた! 〜 対(つい)になる作品を大公開!(「芸術新潮4月号」より)
▶︎ ゴヤ『ウェリントン公爵』はロンドン・ナショナル・ギャラリーで公開後すぐに盗難にあった! 〜 盗んだバス運転手の要求とは⁈(「ぶらぶら美術館」より)
▶︎ 若干19歳のベラスケスが描く聖書の教訓とは⁈
ご覧になった方もいらっしゃると思うので、ここでは見出し風のコメントだけにしておきます。
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私が注目するのは、出展されているスペイン黄金期を支えたの画家たちの関係です。
🟥 ベラスケスとマーソ そしてジョルダーノ
ディエゴ・ベラスケス(1599−1660年)は17世紀スペイン絵画黄金時代における最も偉大な画家!です。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、ベラスケス『ヴィーナスの化粧』も所蔵しています。ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』に影響を受けて描き、のちに『裸のマハ』をゴヤに描かせた作品(注:今回 出展されていません)。
私の《いつかこの目で観たい作品》リストに入っています😆
そんなベラスケスの一番弟子にして義理の息子がファン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソ。
今年1月まで開催されていた<ハプスブルク展>では、
ベラスケスの『青いドレスの王女 マルガリー・テレサ』とマーソ『緑のドレスの王女 マルガリータ・テレサ』が並べて展示されていましたね。
今回は模写ではないマーソの作品『喪服姿のスペイン王妃マリアナ』が見られます。
そして『ベラスケス礼賛』を描いたのがルカ・ジョルダーノ(1634−1705年)。
“ 早描きのルカ ” と呼ばれたジョルダーノが晩年に描いたベラスケスをオマージュした作品です。
礼賛画といえば、昨年10月 オルセー美術館で アンリ・ファンタン=ラトゥール『ドラクロワ礼賛』を観ました。
ドッシリした画面の中で ラトゥール本人、マネ、ホイッスラーやボードレールら若き芸術家や批評家たちがこちらを向いています。そして彼らが称賛していたドラクロワの肖像画が画面中央に掲げられるように置かれています。ドラクロワに対する尊敬、信頼といった真摯な態度がひしひしと伝わってきます。
礼賛画というジャンルがあるかどうか知りませんが、興味深いですね。交友関係・師弟関係、また その人に対する想いの深さまで感じることができるような気がします。
礼賛画にはこんな作品があるようです。
アングル『ホメロス礼賛』(左)、セザンヌ『ドラクロワ礼賛』(中央)、モーリス・ドニ『セザンヌ礼賛』(右)。
『セザンヌ礼賛』の対象がセザンヌ本人ではなく、彼の作品であるのも面白いです。
さて、ルカ・ショルダーが何をどう描いているのか … ベラスケスに対する想いを、展示会場で観て しっかり感じたいと思います。
🟥 スルバランとムリーリョ
フランシスコ・デ・スルバラン(1598−1664年)は、ベラスケスと同時代に活動した17世紀スペインの偉大な宗教画家の一人です。手持ちの図鑑を読むと、
“ 晩年マドリードに移住したが、この頃にはそのキャリアは下降気味だった。(中略)ムリーリョがスルバランにとって代わったのである ” との記述がありました。ほーっ🤔。
教会の注文に職人的に応える「修道士たちの画家」と呼ばれたスルバランは、衣装などの細部にオリジナリティとテクニックを発揮し、聖書の教えを視覚的な表現で民衆に伝えました。
描かれる聖人たちの表情は堅く、厳格で緊張感あふれる禁欲的な画面にマッチしています。
◉出展番号「38」フランシスコ・デ・スルバラン『アンティオキアの聖マルガリータ』(1630−34年)(写真・左)
◉出展番号「39」バルトロメ・エステバン・ムリーリョ『幼い洗礼者聖ヨハネと子羊』(1660−65年)(写真・右)
さて、スルバランより30年あとに生まれた ムリーリョ(1617−1682年)も 多くの宗教画を残しています。
民衆の感情に訴えることに主眼を置いたムリーリョは、庶民的なマリア様などを描き、優しく甘美な宗教画を描きました。
今回の展示作品を画像で見ると、幼い聖ヨハネの姿がなんとも純粋で愛くるしいこと!当時のスペインではこんな聖人見たことなかったはずです。
また1640年代はペストが大流行していたこともあり、人々は厳格な宗教画より癒しを求めていたのでしょう。ムリーリョに人気が集まったこと 納得しました🤓。
展示会場で自分がどう感じるのか…楽しみです。
🟥 エル・グレコ
注目ポイント(画家たちの関係)から外れますが、大好きな画家なので特別出演です。
◉出展番号「34」エル・グレコ『神殿から商人を追い払うキリスト』(1600年頃)
ここでは エル・グレコが描いた ”神殿の浄め“ のエピソードの理解に留めておきます。
この場面を記述したヨハネの福音書から。
「ユダヤ人の過越(すぎこし)の祭りが近づき、イエスはエルサレムにのぼられた。そして、宮のなかに、牛や羊や鳩を売る者たちと両替人がすわっているのをご覧になり、細なわでむちを作って、羊も牛もみな、宮から追い出し、両替人の金を散らし、その台を倒し、また、鳩を売る者に言われた。「それをここから持って行け。わたしの家を商売の家としてはならない」
さてこのエピソードを、エル・グレコはどのように描いているのか…。楽しみで仕方ありません😊
<その7・終わり>
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