歴史・文化を守り続けるお城
≪ パリ滞在記・その19 ≫
〜Château de Chantilly シャンティイ城 ・②〜 コンデ美術館
さて感動のシャンティイ城について。
最後の城主となったオーマル公(アンリ・ドレアン)は、フランス最後の王ルイ=フィリップの5番目の息子で、わずか8歳でこの城を相続しました。
フランス革命で城を追われ、20年近く亡命している間に城は破壊され、内部のコレクションも失ってしまいます。フランスに帰国したオーマル公は、城を修復し亡命中に収集した珠玉のコレクションを飾り、シャンティイ城を蘇らせたのです。
川の水をひいて作られた人工池(←湖ではない)の上に浮かぶ美しい城館は、“グラン・シャトー” と “プティ・シャトー” があります。
私が最初に入ったのは “プティ・シャトー” の一室。
狭い入り口から部屋に入るとそこは一面の本棚に古書が並べられた図書室。
足を踏み入れた瞬間、思わず息を呑んでしまったので、静かに漂っていた室内の空気が少し乱れました💦
約1万3000冊の古書が、広すぎず豪華すぎない落ち着いた一室にビッシリ納められています。ここは間違いなく個人の ‘学び’ のために造られた場所。オーマル公が丁寧に知識を深めていったことがわかるような気がします。この静謐な空間に立てた幸せたるや…、うまく言葉にできません😭
図書室に続く城内の各スペースからは美しい庭園が見えます。
また西や南の窓からは広大な競馬場と大厩舎が望めます。
室内の家具や装飾は豪華にして繊細、煌びやかにして品がありとてもセンスが良いのです。
オーマル様、素敵です。
続いて“グラン・シャトー”。
ここには、オーマル公が集めた数々の素晴らしいコレクションが展示されているコンデ美術館があります。
晩年のオーマル公は、シャンティイ城と領地、所有していたすべてのコレクションをフランス学士院に寄贈したのですが、その際に条件をつけました。
「展示品の配置を絶対に変えてはならない。コレクションの貸し出しを禁止する」と。
彼が眺めていた景色、そのままの状態が保存されているのです。
世紀を越えて、同じ景色を見られるという喜び。そして何世紀も後の人達が同じ景色を見られることができるなら、こんなに幸せなことはないと強く感じました。
歴史や文化を学び発展していくと同時に、しっかり守り 受け継いでいく仕事に従事したい!
と、15歳の時に決意できれば良かった💦
さて美術館内を歩いていきます。
アンジェリコ、コジモ、プッサン…。おっ!プッサンの『嬰児虐殺』は先日見たプティ・パレの作品の別バージョンです。
これはまたリアルな…😅
そしてラファエロ。
ずっと複写された一枚だと考えられていた『ロレットの聖母』。これがラファエロが描いた “本物” だと判明したのは、最近のことだそうです。
そういえば、コンデ美術館にある『裸のモナリザ』が、レオナルド・ダ・ビンチの描いた “本物” の可能性があるとして、現在ルーヴル美術館との共同調査が行われているそうです。
左の写真がコンデ美術館『裸のモナリザ』、右の写真はダヴィンチの弟子が描いたとされる作品(エルミタージュ美術館)だそうです。もしかしたら、もしかしますね。ワクワクします😊
他にも、フーケ、ヴァトー、アングル、ドラクロワ、コロー…。
所狭しと並べられている素晴らしい作品にため息。
知らない作家の作品も多かったので、もっと美術のことを勉強せねば!と決意を新たにしました😊
観光客も少なかったので、誰もいない美術館の一室を独り占め。中央のソファに座ってオーマル公の気持ちになって至福の時間を味わうのでした。
その他、厨房にはかつてのメニューや使用されていた食器やグラスが残されています。
「ご自由に棚を開けて見てください」的な(?)パネルがあったので、食器棚に納められた品々を覗き見して来ました。さわれます👋太っ腹な展示✨
ここも美しい!大理石と鉄の芸術品・螺旋階段を降りてショップで買い物へ。
全てのグッズを買ってしまいそうな気持ちを必死に抑えて、最小限のお土産を購入しました。
まだまだご紹介したい 庭園とクレーム・シャンティイについては次回につづく。
・ <その19>終わり