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モネの描いた世界
≪ パリ滞在記・その34≫
〜Musée d’Orsay オルセー美術館・⑤ 〜
パリに来てモネの作品をたくさん見ました。オルセー美術館の一室にも彼が描いた世界が広がっていました。
特に大好き!という画家ではなかったのですが、やはり凄いです。
積みわらを描き始めた頃、モネが友人に当てた書簡(1890年10月7日付)には
「この時期の太陽はすぐに沈んでしまうので、とても追いつけません。私が求めるもの、それは瞬間性、とりわけ〈包み込むもの〉、すなわちあらゆるところに広がる同じ光です」とあります。
自然の光をとらえることの大切さを最初に教えたのは、風景画の師匠ブータンであったといいます。
それからは
光と影の効果や水面に映る影を描き、
戸外に立つ人物を風景画のように描いたり、
季節や天候によって千変万化するモチーフを連作として描いたり…。
生涯 光を求めて描き続けます。
以前モネの絵を見ているとき、ふとiPhoneの写真撮影・LIVEモードのようだなぁと思ったことがあります。一瞬を切り取った それまでの絵画と異なり、数秒の揺らめきを見て取れるような気がしたからです。
ここオルセー美術館。
モネの作品で囲まれた展示室に立つと、彼がとらえた 移ろいやすい瞬間の光景=「印象」を、私たちはその調和に満ちた色彩から感じる取ることができます。
ですから私は何も考えずに、光に彩られた世界を眺めるだけ。
そのうち、自分がモネの絵画に感動しているのか、作品を通して 光に満ちた景色をずっと見ていたいと思っているのかわからなくなります。
とても優しい気持ちになれました。
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<その34>終わり