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コツコツの先には。 #cakesnotefes

とってもとても勇気が出た。

昨日お邪魔させてもらった「cakes note フェス」のことである。

渋谷、東京。午前10時前なのに外はとろけそうに暑く、少しぽーっとしながら会場に着いた。その会場を出る数時間後には、「東京って(日本って)おもしろいなぁ」とあらためて、深い実感に包まれることになる。

* * *

東京で暮らし始めて4年。「もう」4年とも言えるけれど、人生を考えるとやっぱり短い。この街に4年しか住んでいない私は、まだまだ勉強中なことばかりだ。(東京の前はニューヨークに住んでいて、その前は沖縄にいて、その前は、子供の頃から24歳までロサンゼルスにいた。)

東京という面白い街で暮らし始めて、毎日びっくりすることばかりで、いつからか、その驚きや気づきのようなことを言葉にしたいと思うようになった。無謀だけれど、やっぱり日本にいるからには日本語で。

日々「書きたいなぁ」という思いだけが加速していく。焦る。誰にどのように伝えていいかわからず、ずっと模索オンリーの人だった。

もしかすると、昨日の「cakes note フェス」までは。

* * *

毎日、「書く」というところから少し離れたところで、「言葉」には触れている。

テレビの台本を毎週英訳したり、ロケ先やスタジオで英語MCやナレーションのチェックをしたり、いろいろな企業やアーティストに英語のコピーを提案したり、沖縄時代にエンターテイメントスクールで教えていたことから、モデルエージェンシーなどで「表現」のワークショップを行ったり、様々な言葉に...触れてはいる。

でも、なんというか。「本当のところ」が語れていない気がする。

顔も名前も日本人で、中身がアメリカ人というわかりにくさとか、居場所探しのことだとか、アメリカと日本で仕事をすることだとか。

「本当はこういうこと思ってるー!」と、書きたいことが溜まってきているのだけれど、それをどう...こう...「ためになる情報」に変換できるのか、わからずにいた。

noteでは、「読んでよかったスマートになった気がする」文章が次々と読めて、読めば読むほど勉強になり、同時に、あぁこういうのは私には書けないかもと思っていたりした。それは「日本」というコンテクスト、日本の心が理解しきれていないから...自信がない。もちろん自分の日本語力の問題もある。

でも心の中ではやっぱり何かが書きたくて。だから「note」という場所をもっと知りたい、この場を作っている人たちに会ってみたい、書いている人たちの話が聞きたくて、思い切ってイベントに行ってみた。

知り合いはひとりもいない...。会場まで辿り着くも、一瞬引き返そうかなと思う。

なんとか勢いで中に入ると、アウェイ感にすぐ負けそうになり早めにビールを飲んだら目が回った。

それでも。

「知りたいことが知れるイベント」に遭遇する確率はなかなか低い中で、cakes note フェスは次から次へと「(知りたいのは)こういうことでしょ?」と(やさしく)投げかけてくれた。

* * *

『コミュニティ運営の秘訣』について話された最所あさみさんとチャーリーさんは、それぞれ「小売」と「図解」というテーマをとことん極める例を通して「(やりたいのは)こういうことでしょ?」と教えてくれた。

まるでカフェで相談に乗ってくれているかのように。

満面の笑みで「コミュニティもゆるい感じで進めていきたい」と話す最所さんだけれど、実際には何年も、毎日、とてつもない密度のnoteを更新し続けている。

一方でチャーリーさんは、「一発目からホームラン」と最所さんに拍手を送られていたけれど、そのホームランというものの正体は、ディテールとわかりやすさのバランスが絶妙で、読者への「ひらめきのプレゼント」にスタンディングオベーションを送りたくなるほど、とことん相手を考えての発信である。

とことんまで追求するおふたりの話を聞いていて、ふと考えた。

自分にも、永遠に話せそうな、どこまで細かく分析しても、話が尽きないテーマはあるだろうか?

自分にとっての「尽きないテーマ」について書き続けたら、少しずつ方向性が見えてくるかもしれない。

その景色が見えてくるまでは、ただ、コツコツと書き続ける。やっぱり答えはそこにしかなかった。

でも最所さんのチャーミングでシャープすぎる「読み」と、チャーリーさんのチーム作りの充実ぶり(天才ですか...)に、コツコツ続けるプロセスにこそ輝く何かが見つけられるのだろうと、そういう希望が会場を包んだ気がした。もっともっとお話が聞きたかった。

               * * *

もっと聞きたいと言えばこちら。

私の「書きたい」→「書こう」に変えてくれたのが、『はたらきながら、書いて、生きること』について笑いと本音とインスピレーション溢れるトークをさらっと届けるおふたり、サクちゃんさんと林伸次さんだった。

林伸次さんは、お店を経営しながら毎日必ず書く時間を確保し、スマホも持たず、メールやSNSのチェックは時間を決め、以前は「毎週金曜日には必ず超短編小説を書く。内容がつまらなくても絶対に投稿する」というルールを作り、それを守り抜いたお話を。(今月出版される小説、読みます。)

一方でサクちゃんさんは、お店を経営しながらという共通点はありながらも、ルールは一切作らない、と言う。書きたくなったら、書く。

noteを書き始めた頃は「誰も見ていないから」「自分の記録として」、例えば中学時代に考えていたこと、仕事することについて、今まであったことを日々綴っていた、と言う。「誰も読んでいないから、何を書いてもいい」という心が、自由にしてくれていた、と。

そして気づくと、それまで書いてきたことが「長い自己紹介」になっていた。

長い時間をかけて、じっくりと自分を知ってもらう。じっくりと時間をかけて書き続ける秘訣は?

やっぱり「自分のために書く」。心から。

だからおふたりの文章を読むとこちらの心もぶるっとなり、なんだかじっとしていられなくなる。

ここでコロンと、私の「書きたいけど書けない」が、「書いてみよう。書こう」に変わった気がした。

少しずつでいい。知ってもらえたら、嬉しい。30秒のエレベーターピッチにまとめる必要なんてない。

それが、note。という気がした。

noteはやさしい、と言う言葉を何度も聞いたり目にした数日間だった。「声を持ちたい」けれどまだ見つけきれていない私のような人間に、遊んでみなよ、とフィールドを用意してくれている。そのフィールドでは、「勝手に遊べば」とほったらかしにするのではなく、「練習したらこうなれるよ」「こういうつながりが生まれるよ」という心強い(そしてちゃんと厳しさも持つ)コーチがたくさん見守ってくれている。

それが理解できたcakes note フェスでした。あとは、自分との約束を守るだけ...。私は多少ルールがあったほうがよさそうだ。

素敵なイベントを開催いただき、スタッフのみなさま、ありがとうございます。そして、お疲れ様でした!





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