【プラネタリーヘルス②】医療機関・医療従事者向けのツールキット(Climate and Health編)
プラネタリーヘルスのうち、特に世間からの注目が高い気候変動と健康の分野において、医療従事者・医療機関向けの様々な教育リソース・ツールキットが提供されています。今回は、これらのリソースのうち、筆者がリサーチして見つけたものをいくつかご紹介いたします。
医療機関・医学部等における教育材料として有益であるのみならず、海外における気候変動と健康に関する熱量の高さも伝わってくるところです。お役に立てば幸いです。
【国際機関】
WHO: Communicating on climate change and health: Toolkit for health professionals
WHOから、気候変動と健康に関する理解を深めるためのツールキットが公表されています。
【アメリカ合衆国】
Americares: Climate Resilient Health Clinics
健康・開発に重点的に取り組む世界的なNPOであるAmericaresから、異常気象に関し、最前線で対応している診療所やその患者向けの気候変動対応ツールキットが提供されています。
Alliance of Nurses for Healthy Environments: ANHE Climate and Health Toolkit
看護師向けの気候変動対策のリーダーシップをサポートツール、リソース等の情報が提供されています。基礎的な知識からコミュニケーションツールまで、様々なリソースが提供されているようです。
American College of Physicians: Toolkit: Climate Change and Health
米国医師会から、医師・医療コミュニティが、二酸化炭素排出量を削減し、気候変動の影響を緩和し適応するための取り組みを支援するためのツールキットが提供されています。
Stanford University/University of Washington: Medicine for a Changing Planet
スタンフォード大とワシントン大とが共同で公表している医師向けのケーススタディ(臨床事例)集です。ケースを通じて、具体的な主訴やリスクファクター、検査・診断のポイントといった実践的な知識を得ることができます。
Climate Resources For Health Education
コロンビア大学を始めとした大学・医療機関による気候変動と健康に関するコンソーシアム、the Global Consortium on Climate and Health Education (GCCHE)が提供するプラネタリーヘルスに関する教育リソースです。
【イギリス】
Royal College of Physicians: Green Physician Toolkit
イギリスの英国王立内科医協会(RCP)からも、健康と気候変動に関するエビデンスをまとめ、医師が日常診療でとることのできる行動を提案するツールキットが公表されています。
【カナダ】
Canadian Health Association for Sustainability & Equity (CHASE): Climate Change Toolkit for Health Professionals
カナダの非営利団体からも、医療従事者のための気候変動対策ツールキットが公表されています。このツールキットは、気候変動対策に積極的に関与したいと考える医療従事者が活用できるリソースを提供しており、8つのモジュールから構成されています。
おわりに
現段階で筆者が見つけたツールキットをまとめてみましたが、WHOだけではなく、アカデミアを含めた欧米の様々な医療関連団体(特にアメリカ)からリソースが提供されており、関心の高まりを改めて実感しました。また、大半のツールはこの1~2年に公表され、2024年に公表されたものもいくつかあるため、急速にclimate and healthへの注目が高まっていることがうかがわれます。
日本の医療従事者やヘルスケアに携わるステークホルダーにおいても、このような現状を把握し、日本においてどのような行動を取っていくかスピーディーに検討する段階に来ているように思います。
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