すみっこ

弁護士。数年の実務経験の後アメリカ留学。ハーバード大で公衆衛生学修士(MPH)、スタン…

すみっこ

弁護士。数年の実務経験の後アメリカ留学。ハーバード大で公衆衛生学修士(MPH)、スタンフォード大で法学修士(LLM)を取得。2024年秋よりアメリカの大学に研究員として勤務予定。パブリックヘルス(公衆衛生学)、プラネタリーヘルス、医療政策、MPH/LLM留学などについて語ります。

最近の記事

【医療政策①】アメリカの保健医療システムの課題

日本の保健医療制度を論じる際に、アメリカの例が引き合いに出されることが度々あるように思われます。気になったのが、その中で「市場原理を取り入れたアメリカの医療は効率的で素晴らしい」という論調が見られることです。 しかし、本当にアメリカの医療は効率的なのでしょうか。アメリカで医療政策の授業を受け、数々のデータを見てきた自分としてはむしろアメリカの保健医療システムは非効率な印象です。 それ以外にも、現実のアメリカの保健医療システムは多くの問題を抱えており、その状況は極めて深刻で

    • 【MPH/LLM留学②】スタンフォード大学ロースクール法学修士(LLM)プログラムの概要

      今回は、スタンフォード大学ロースクールの法学修士(LLM)プログラムについてご紹介します。スタンフォードLLMは規模が小さいせいか、他のロースクールと比較するとあまり情報が出回っていないように思います。 LLMプログラムを終えてみて、スタンフォードのプログラムや環境はとても素晴らしいものだと感じたので、より多くの人にその魅力を知ってもらえる機会になれば幸いです。 スタンフォード大学ロースクールの概要スタンフォード大学は、アメリカ合衆国カリフォルニア州に位置する総合大学で、

      • 【パブリックヘルス総論②】パブリックヘルス(公衆衛生)の意義とその魅力

        パブリックヘルス(公衆衛生)とはなにか? 「公衆衛生」と聞いて、最初に何を思い浮かべるでしょうか? 多くの人が、「コロナウイルスの水際対策」「下水道の整備」「手指消毒」といったものを連想するのではないでしょうか。これらは、確かに公衆衛生に関連する具体例ですが、これらのイメージは「衛生」(英語では sanitation や hygiene)という言葉が持つイメージに強く引っ張られているように思います。「衛生」という単語は、「国家による健康管理」や「感染症対策」といった意味合い

        • 【MPH/LLM留学①】MPH留学先にハーバード大学公衆衛生大学院を選んだ理由

          こんにちは。アメリカやイギリスを始め、海外では多くの公衆衛生大学院が設置されており、MPH留学に当たり、どの大学院を選択するか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、海外MPH留学についてご相談を受ける際、「なぜすみっこさんはハーバードを選んだのですか?」と聞かれることが非常に多かったですし、志望理由を説得的に言語化することは出願書類作成にあたって最も重要なポイントの1つだと感じます。 そのため、今回は、私がハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Ch

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          【パブリックヘルス総論①】「健康」とはなにかーその定義・意義を考えるー

          はじめに現代社会において、「健康」「ヘルスケア」「ウェルビーイング」といった言葉は、日常的に使用されています。厚生労働省の「健康日本21(第三次)」や経済産業省の「健康経営」などの諸政策、さらには様々な企業による健康関連サービスの展開など、産官学が様々な「健康」に関する取り組みを進めています。 しかし、これほど「健康」への関心が高まっているにもかかわらず、その本質的な意味や内容について深く議論されることは少ないように思われます。この記事では、WHOによる定義をベースに、「健

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          noteの開設にあたって

          はじめまして、すみっこと申します。このnoteでは、パブリックヘルス(公衆衛生学)に関する情報や知見を皆さまにお伝えしていきたいと思います。 私は都内の法律事務所で弁護士として働いていますが、いったん休職してアメリカの公衆衛生大学院と法科大学院(ロースクール)に留学し、公衆衛生学修士(MPH)と法学修士(LLM)の学位を得ました。今年の秋からはアメリカの某大学医学部で研究員として勤務する予定です。 noteを開設した理由noteを開設したのは、パブリックヘルス(公衆衛生学

          noteの開設にあたって