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【クリエイターの法務】続・ゆっくり茶番劇(ドワンゴ声明を受けて)商標権侵害の要件とは

ドワンゴが声明出しましたね。概ね、予想していた通りのところですが、商標権侵害ってわかりにくいので、今回はそのことについて。

※23日に商標権放棄って報道がありましたが、こういった話は今後もあるかなと思いますので、そのまま記載してます。

1 商標権侵害の要件

   商標権侵害が成立するためには、①侵害者の標章が登録商標と同一・類似であること、標章が使用されている商品・役務が登録商標の指定商品・役務と同一・類似であること、侵害者の標章使用が商標的使用であることが要件とされています。

2 ①登録商標と商品が同一・類似、役務が同一・類似

⑴ まず、標章自体が同一・類似でなければならないので、双方を比較検討することになる。類似か否かという基準については、外観・観念・称呼に取引の実情を参しゃくして判断するとなっています。
 具体的な比較対象について、ドワンゴはタグとなっている365種類について判断していますが、おおよそ外観について「ゆっくり●●」という形式は、ゆっくりという言葉自体には物事の進む速度などが早くはないという意味合いしかありませんし、識別性があるとはいいがたいと考えられます。
 そうであれば、ゆっくり●●という語と外観で類似するとはいい難く、想起する観念についても、ここの●●の部分では類似しない、称呼も同様にということが言えると考えます。
 とはいえ、デットコピーに近いものであれば類似(というかもはや同一)家の判断が分かれるとの判断したところです。

⑵ 次に、登録商標の指定商品・役務と同一類似というハードルです。
 今回ですと、第41類ですが、ここで示しているのは「サービス(役務)」になります。ざっくりいうと「教育・訓練の提供・娯楽・スポーツ及び文化活動」とされています。

上記ページがわかりやすいと思いますが、娯楽の提供は第41類と考えると相応に妥当します。

インターネット上での動画提供なども含んできますので、そういう意味でインターネット上のサービス(役務)というものですと、この第41類をして区分として選択することになります。

3 ②商標的使用

商標的使用って何かって話ですが、商標はあくまで自分の商品・役務と他人の商品・役務とを区別するために使用するもの(これを商標の自他識別機能といいます。)ですから、商標として使用されないならば、この商標が持っている機能を侵害されちないのであり、商標侵害とは言えないだろうという考えからかかる要件が定められています。

例えば、「オールウェイズ・コカコーラ」というキャッチコピーに関連して、「コカ・コーラ」のロゴ左上部に「オールウェイズ」と表示することがオールウェイという商標権を侵害するかと争われた裁判では、ここにいうオールウェイズという表記は販売促進キャンペーンの一環であるキャッチフレーズの一部として認識され、商品特定機能・出所表示機能として使用されているものとはいえないと判断し、商標権侵害を否定しました。

商標的使用にあたるか否かは、需要者が被告標章を自他商品・役務識別標識として認識するか否かによって判断すべきものであり、その判断においては、その表示の自他商品・役務識別力の強さ、表示の付された位置、他の商標が使用されているか等の諸般の事情を総合的に考慮する必要がある。

茶園成樹 商標法354頁

ジャンルの一つやカテゴリーというところもそうですが、ほかのタイトルも含めて記載することで商標的な使用という余地を減殺する意味合いがあるのかなというところです。

4 結論

以上ですが、商標的な使用の要件との関係で、ドワンゴ(相談した法律事務所)は、見解を出したのではないかとも思いました(ずれてたらすみません💦)

いずれにせよ、ゆっくりという語と茶番劇という語それぞれによる識別力は決して高くないと考えられますので、同一の商標を使用しない限り、商標権侵害とは断定しにくいと考えられます。

そういう意味でも、ダイレクトな利用は控えたり、商標的な使用という判断に疑義が出るような形で使用するということが対策としてあるところです。

しっかし、ブランド品に限らず商標のことが多く話題に上がるようになったなぁとしみじみ。

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