皆勤賞を貰わない人生。
朝、ラジオ体操帰りなのかなと思われる親子を見る。
ああ、夏休みに入ったのかと思うと同時に、付き添いの親の多さに驚く。
ニュースで見るような事故から守れるようになのだろう。それは分かるし、ポジティブに考えれば朝から親子で過ごす仲の良い家族なのだろうから、良いことだ。
自分の子供時代を思い返すと、付き添いなんてほぼ居なかった。
体操を行う公園の近所のオジサンが一人と、町内会長のオジサンがラジオを持って来るだけ。そんな感じだった。
それにラジオ体操に行けば体操が終わってからの蟻の巣観察が、わたしのなによりの楽しみだった。だから、二時間は帰らないのは当たり前だったので、付き添いなんて来られても困っただろう。
そういうときの親は、「早く帰ろう」と言うのが仕事である。
夏休みのラジオ体操の役割も、休みだからいってダラダラしてないで学校があるときと同じようにさっさと起きて、どっかに行けということだと解釈していた。違ったのだろうか。
毎日、ラジオ体操なんかに付き添ってくれるなら、代わりに毎日どこかに遊びに連れて行ってくれと思っただろう。
朝早く起きて「一休さん」の再放送を見てラジオ体操に行く。その後、蟻の巣観察をするというのは、父親が会社に出勤するのと何ら変わらないルーティンワーク。
それを思うと、母親と楽しそうにラジオ体操から帰ってくる姿の今の子達のほうが人生を楽しんでいるようにも見える。
比べても仕方ないことだけど、そんな世界を壊さぬように細心の注意でクルマで側を通る。
それくらいはしてあげようと思えるオジサンになれたのは、懸命に蟻の巣観察をしていた成果かもしれない。
昔はラジオ体操を皆勤賞だと文房具をもらえた気がする。今でもそうなのだろうか。
まあ、貰ったことは無かったけど。
子供でも、毎日行くほど退屈な夏休みじゃなかったからね。今のほうが、よほど皆勤賞をとってしまいそうなのが何だか情けなくもある。