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シャッポをかぶる

朝はすごく寒いけど、ぼんやり始まることは無くなった。

寝る時間が早いからだろうけど、眠くなるのだかしかたない。寝るのは好きだしね。
20代の頃は、徹夜でカラオケ、麻雀、ゲーム、海外ドラマといくらでもできたし、途中で寝落ちしてしまう友達を茶化して起こしたりもした。
子供の頃は不思議だった。おじいちゃんは、なんで朝早く起きているのだろうかと。
でも、いまはわかる気がする。

単純にスッキリするのだ。
これに気が付くのに随分かかったなと思い、おじいちゃんをすこし思い出す。

わたしは、おじいちゃん子だった。そう、自分では思っている。
今だったらDIYと呼ばれるようなことが好きで、大工さんの親戚に図面の描き方を教えてもらい観音開きの車庫を作っていた。いつでもスラっといい姿勢で、きれいに洗濯されたワイシャツ姿が印象に残っている。わたしをなにかと外に連れ出して、山や野原で虫取りを教えたり、川で魚やカエルを見せたりと自然にふれあう機会を増やしてくれていた気がする。
そうかと思うとインドアな面もあり、本を読んでいるイメージも強い。おじいちゃんは寝る前、寝室のベットで手製のブックスタンドを使っていた。水木しげると妖怪を教えてくれたのも、おじいちゃんだった。わたしが自分から、はじめて買ってほしいとお願いしたのも妖怪図鑑だった気がする。
子供のわたしは、知らない遊びを次々に教えてくれて、ちょっと悪い事というか危険なことも教えてくれるので楽しかったと記憶している。
やること全部が面白かったわけではない。将棋の面白さは最後まで分からなかった。
でも、物知りで「なんでも知っているんだ」と漠然と感じていた。

優しいのとはちょっと違う。
今思うと、結構ヒステリックだし物腰が柔らかいタイプではない。
ただ、嫌なものはイヤだときちんというし一人でも行動力があるので、頼りになる兄貴タイプなのかもしれない。そのせいで、乱暴者だという印象をもっている保守的な人からはいい顔されない行動もあったような気がするが、わたしはそんなところも好きだった。

なぜだかお笑い芸人は下品だからと嫌っていた。世間では好感度があるとされる明石家さんまですら、テレビに映るとすぐにチャンネルをかえた。
本人もひょうきんなところは多かったし、映画の「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」は好きそうだった。日曜の夕食時の「笑点」は、すこし馬鹿にしている感じだった。
これは昔の人の感覚なのかはわからないけれども、映画俳優の下に落語家、そのずっとずっと下にお笑い芸人をみていたようだった。
この変なこだわりがあるところも含めて、「洒落てる人」だった。

おじいちゃんは、帽子のことを「シャッポ」と呼んでいた。
やっぱり、洒落た人だったと思う。

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