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箱入り息子。
わたしは「箱」。あなたの思い通りに詰め込まれてきた。
これが常識だからと、あなたの納める世界の普通をわたしに教え込んだ。
こうするのが普通だからと、常識という物差しの使い方を体験させた。
わたしには怒りに思える感情を、愛情だというらしい。
わたしには不自由に思えることが、自由にさせていることらしい。
そんなあなたに従ってみた。
わたしには、比べるものが無かったから。
わたしの世界は、あなたの納める世界の中にあると思っていたから。
そんなあなたに従っていた。
涙はこぼれたけど、それ以外はすべて押し込んだ。嫌な気持ちも、楽しい気持ちも、逃げたい気持ちも、痛い気持ちも。全部ぜんぶ、押し込んだ。
だって、わたしは「箱」だから。しっかり蓋のついた箱だから。
なのにどうしてあなたは、わたしより無能なのか。
どうして、どうしてなんだ。
あなたの「ゴミ箱」のわたしより、無能なのか。
ああそうか、おまえは「ゴミ」なのか。ああそうか。
じゃあ、もうわたしに詰め込む権利はない。ゴミは捨てる。
だって、わたしは「ゴミ箱」だから。
わたしの納める世界の中に、お前の世界はある。
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