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ポエム・エッセイ

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ポエムのまとめです。わたしの頭の中は、こんな感じです。
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2023年3月の記事一覧

期待

なぜ音楽は、こんなにもズルいのだろう。 不意に大好きな曲のイントロが聞こえただけで、いやイントロの最初の一音だけで、うれしい。その音がどんなふうに空気の上で弾んだかは好きな曲なればこそ分かってしまうから。 そして、少なくとも気持ちの半分くらい、意識の半分くらいは、寄り添うことに躊躇うことなく身体をあずけてしまう。そう、あなたとわたしは、知った仲なの。 この「半分くらい」というのもズルい。 もしも、聞いた瞬間にすべてをもっていってしまうような乱暴者だとしたら、もっと好き嫌いが

裏道

裏道を通っている。 只、それだけのことが、言葉にするとなんだか悪ことをしているような気にさせる。  よりスリリングで、秘密があるような。 辿り着く場所にも、なにか表面的にはわからない意味を持たせるようで、他の角度からも覗いてやるという気にさせる。 そんな「道」を通っている。 もう、こんな風にしてしまうと、さらに懐疑心が刺激されることだろう。 でも、いくらひねった見方をしても、先にあるのは「現実」だけなのだけれども。 現実から現実に行くだけの道であることは、変わらないこと

刺激を求めて

わたしたちは、本当に生きているのか確かめながら生きている変な生き物だ。身体のあちこちを刺激して、その感覚を必死になって確かめている。 たとえば、暇な時間があれば大小様々な光を放つ機械を開発して、目から光を当ててみては、脳の反応を確かめている。 鼓膜を震わせるためにも、多種多様な道具を使う。 筋肉を壊して治ったあとを想像するために、綿密なスケジュール管理をして、実行する。 また、わたしたちはこすり付けて摩擦を感じるのがすきなはずだ。 ノドの奥を擦って旨味を感じるなどと言って

シャッポをかぶる

朝はすごく寒いけど、ぼんやり始まることは無くなった。 寝る時間が早いからだろうけど、眠くなるのだかしかたない。寝るのは好きだしね。 20代の頃は、徹夜でカラオケ、麻雀、ゲーム、海外ドラマといくらでもできたし、途中で寝落ちしてしまう友達を茶化して起こしたりもした。 子供の頃は不思議だった。おじいちゃんは、なんで朝早く起きているのだろうかと。 でも、いまはわかる気がする。 単純にスッキリするのだ。 これに気が付くのに随分かかったなと思い、おじいちゃんをすこし思い出す。 わた

白鳥と雪

飛び立つときはさ、戻ることは考えないんだ 次の場所に気持ちを ゆっくりと羽をうごかす 重いなら、思い出をすてるんだ 思い出と思い込み その選別が力になるはず きみの記憶力は、そんなにわるくない 大事な思い出は、羽根に生え変わっているから 寂しいなんて考えない 飛び立つ日の陽の光は、眩しく綺麗で