するべきときに、する失敗
たくさん失敗して、たくさん学んで、素敵になるの。
すべては糧になる。
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善良で正直な知人の、そのおてんばな娘さんの話を聞いていた。
写真に映るくりくりした目のティーンエイジャー、その子は化粧品がとにかく好きで。
お小遣いはぜんぶ化粧品に使ってしまうのよ、と
ちょっと困ったように、笑い話にしたい感じに知人はぼやくのだった。
高校生なんてお化粧する必要ないのにねと、年上の彼女はやれやれといったかたちに言うのだけれど
わたしはその娘さんの情熱に、なんとなく自分のことも思い出して、
娘さんのそれ、止めないであげてくださいねと、
そのとき彼女に言ったのだった。
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だってどんなことも、加減を知るまではたくさん経験をする必要がある。
お化粧とか、お洋服とか。書くことや歌うこともきっとそう。
足りなかったり、やり過ぎてしまったり、何度もそういう場数を踏んでこないと、自分の納得するものには近づけない。
自分の昔を思い出しても、やっぱりそうだった。
よくあんな気力があったものだと思うほど、考えて、失敗して、それでまた試行錯誤して。
流行の顔になりたくて、似合わないお化粧をしようとしたり
一度も着ないお洋服をうっかり買ってしまったり
したい髪型を上手く伝えられなくて、全く違う風にされて落ち込んでみたり
失敗したと感じたことってきっと、忘れているだけでもっとあると思う。
でもそういうことを過ごしてきたからこそ、ようやく自分のいいところを際立たせるようなお化粧が身についてきたし、似合う洋服も分かってきたし、そしてそれら自分なりのセオリーに反するようなものも、身につけられる芯のようなものができてきたのだ、と信じている。
最初から上手にやれる人もきっといたのかな。
でもあの試行錯誤と失敗の日々は、ずいぶん暇を潰してくれた。おかげで自分がどういうものだか、おぼろげながら掴もうとしている。
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ガール、どんな分野だろうと構わないよ。試行錯誤と失敗は、できるときにしておいた方がいい。
正確に言えば、する情熱があるときに。
たくさん経験して、たくさん転んで、それでどんどん素敵になっていけばいい。
あのときどうしてあんなことばかりしていたのだろうと思ったとしても、その日々はかならず糧になる。
それは自分に要るものいらないものを見分けて、
自分自身というものを、もっとくっきりさせていく作業だから。
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