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書評集「Read, watch n sleep well.」

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本・映画・ドラマ・アニメのレビュー。書評中心に週2~3ペースで更新中
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#メンタルヘルス

病んでから、何年もずっと小説が読めなかった―ハン・ガン『菜食主義者』

ハン・ガンと私の病と ハン・ガンの作品の最高傑作、いや韓国の現代文学すべてにおける金字塔と名高い『菜食主義者』を読んだ。 しかし、私にとってこの作品は最高傑作以上の意味を持っていた。 というのも以前『ギリシャ語の時間』を読んだとき私は閉鎖病棟にいて、しかも措置入院中だった。拘束され一切身動きが取れない中数日を過ごした後、処置室から閉鎖病棟に移った私は、論文や『十二国記』全巻とともに『ギリシャ語の時間』を読んで、三か月にわたる入院期間を過ごした。 『菜食主義者』は、突如

傷に寄り添って生きる:2023年初秋の読書記録

長らく更新をおやすみしていました。 引っ越しなどでバタバタしていて、ようやく最近ゲーミングパソコンを購入して執筆環境を整えることが可能になりました。 最近は今まで精神状態上読むのが難しかった本を読むのが楽しく、積読をひたすら崩す日々でした。読んだ本を紹介します。 歴史 1.小野寺 拓也,田野 大輔『検証 ナチスは良いこともしたのか?』 史学専攻の人間としては読まねばという一冊です。今年のSNSにおける歴史本の台風の眼ですね。 もともとナチに関しては多少読んではいたので