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金のわらじ女房
こんにちは、須恵村です。
今回はひとつ、言葉の小ネタなど。
私と旦那は1歳4カ月違いで、私の方が年寄りです。
だから2、30代の頃は(まだ人付き合いがよかったせいもあり)時々「キンのわらじですね~」とからかわれましたが、心の中で「間違ってんぞ」と思いつつ、ヘラヘラと「はぁ、まあ…」と調子を合わせていました。
それを言うなら、「カネのわらじ」でしょっ、と。
また、これを誤用というか読み間違える人は、大抵「年上の女房は」といいますが、これも厳密には「一つ年上」です。
一つ年上の女房は、金のわらじを履いてでも…というのは、固くて丈夫な金物のわらじを履いて根気よく探す価値があるというのが正しい解釈のようで。
想像というか勝手な解釈ですが、「一つ年上」に限定するのは、謡曲『高砂』の「お前百までわしゃ九十九まで 共に白髪の生えるまで」あたりから来ているのでしょうか、この年齢差なら同じようなタイミングで天に召されるでしょうから。
旦那は、(若い身空で気の毒に)出合い頭に私と結婚したようなところがあるので、金のわらじを履く暇もなかったと思われます。うふふ、お気の毒様。
間違って覚えられている言い習わしというのはよくありますし、ナンチャラ警察ではありませんが、「それちがーう!」と突っ込むように訂正するのが趣味の方もそこそこいらっしゃいます。
新聞の誤報とその訂正記事みたいなもので、間違った方は広く伝播するのに、訂正の方はなかなか広がらないのが現実ですね。
文字起こしの場合、「明らかに間違っている場合は入力者の裁量で正しく直して」というオーダーの場合もありますが、「年上の女房はキンの草鞋を履いて…」と言われた場合、“金”の方はともかく、年上は「一つ年上」に訂正すべきかどうか、悩ましいところです。
ちなみに、6年前と少し古いのですが、こんな動画も。
それもフランスのマクロン大統領の奥様を例に引いての話だったので、やはりダブルミステイクのようです。