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くやしいはなしを くわしく

 私がここで指南めいたことを書いているのを、「何を偉そうに!」と、苦々しい思いで読んでいらっしゃる方もいると思います。

 多分その方は、私より年齢も若く、聞き取りにもタイピングにも自信のある方でしょう。 私自身、聞き取りは「知ってるから聞こえる、知らない言葉は周辺から拾い上げて無理やり聞き取る」というスタンスを、この仕事を始めたときから続けてまいりました。 タイピングは速いか遅いか自分でも分かりません。というのは、とにかく単語登録が多いのと、変換キーを叩く頻度が多いこととで、タイピングテスト的なものでエラーが出やすく、計測が難しいからです。 昔のワープロを買ったとき付録で付いてくるテキストみたいに、○分以内で打ち込んだもののミス率が何%、みたいな単純な仕様だったらいいんですが、現代のタイピングの考え方に合わないらしく、これはもう諦めています。

 これで続けてきて、ご信頼いただいて仕事にありつけているので、自分のやり方にそこまでの問題はないと信じていたところ、トンデモ駄目出しを食らって落ち込んでおりましたが、そんな私に「人の打った原稿を直してほしい」という依頼が参りました。

 「音無しでざっと見ても聞き取りミスが多いのが分かる」ということでしたので、私もざっと見たところ、「ああ、なるほど…」と、一目瞭然の箇所が多いことに驚きました。多分、音声認識システムを使ったのでは(で、見直ししていない)?と思われる箇所が随所に見られるのと、句読点の打ち方がおかしいことが特徴的で、固有名詞の聞き取りも大変残念な内容でした。

 あとは「×実態経済→○実体経済」「×社長が変わる→○代わる」「×企業のホーム担当→○法務担当」「×しょうがない→○しようがない」的な、ありがちな表記ミスが目立っておりました。 というよりも、ミスだとは思っていないかもしれませんが…。

まあ何が言いたいかと言いますとですね。

 私はこんな日本語認識の方に仕事を奪われている、あるいは同じ金額で仕事をさせられているんだなという現実を突きつけられて、結構心穏やかじゃないわけです。 なじみのライターさんで、私の得意分野を割と振ってくださることが多いので、これも文字起こしから私に依頼があってもおかしくなさそうな内容でした。

「キーッ、あんた、浮気したわね!?」「しかも趣味の悪いオンナ(この際、起こした人の実際の性別は関係ありません)選んじゃって、恥を知りなさい!」 などといきり立つ、なりふり構わない古女房みたいな感じで仕事しております。(さらにぶっちゃけると、多分ダンナが浮気してもここまで怒りません)

 で、修正の仕事なので、普段の一から文字起こしよりは負担も小さく、そこまでの報酬は要求できません。 先方も、この形での依頼は初めてとのことですので、一応時給換算で普段の作業より少し低めに設定し、「必要があればtoggleかポモドーロタイマーのスクショも送ります」とだけ添えましたが…何だかなあ。

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