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『グランツーリスモの疑問を検証』 #2 トルクと出力の関係について

皆さんこんにちは。lassi443です。

今回も疑問の検証をしていきたいと思います。
第二回目は、トルクと出力の関係について、書いていこうと思います。

これはグランツーリスモに限った話でなないのですが、
トルクと出力(馬力)の二つの関係について、分かっているようで、分からないと感じている方は多いのではないでしょうか。私も良く分かりません(笑)

少し調べてみると、トルクは加速に関係していて、出力(馬力)は速度に関係していて、トルク × 回転数 = 出力になるとのこと。

やはりイメージしにくいですね。
ちょっと勉強してみましたので、検証を踏まえて、深堀してみたいと思います。

間違いを恐れず書いていきたいと思いますので、間違った内容があってもお許しください…。(コメントいただけると幸いです。)
よろしくお願いします!


トルクについて

トルクと馬力の関係性はイメージしにくいですが、トルク単体で考えれば、分かりやすくなります。

今回は、「スズキ カプチーノ '91」を題材にします。
この車の、トルク・馬力曲線は以下の図のようになっています。

カプチーノの性能曲線
セッティング画面にて、パワーが変わるパーツを選択すると、グラフが表示される

2本の線のうち、灰色の線がトルクの線になります。
4000rpmあたりをピークに徐々に下がっていっているのが分かるかと思います。

実際に走らせてみると、確かに、回転数が高まるにつれ、加速が鈍っていき、9000rpmに近くなると、それがとても顕著に感じられます。

では、トルクが一番高い、4000rpmあたりの回転数を使って走れば、速く走らせることができるのでしょうか?
検証していきます。

2000m タイム検証してみる

どの回転数でシフトアップしていくと、速いタイムが出せるのか、検証してみます。
今回の検証では、「スペシャルステージ・ルートX」にて計測します。

カスタムレースで、グリッドスタートにすることで、停止状態から、2000mのラインに到達するまでのタイムを計測しました。

結果は以下のようになりました。

  • 4000rpmでシフトアップ:1'02.450

  • 5000rpmでシフトアップ:1'00.233

  • 6000rpmでシフトアップ:58.900

  • 7000rpmでシフトアップ:58.183

  • 8000rpmでシフトアップ:58.633

  • 8500rpmでシフトアップ:1'00.050

結果を見ると、4000rpmや5000rpmでシフトアップするより、7000rpm前後でのシフトアップの方が早くゴールにたどり着きました。

トルクとギア比の関係性

なぜ4000rpmより7000rpmの方が早い結果になったのか。
そこにはトランスミッションによる、変速が影響しています。

4000rpmが一番トルクが出ているという話をしましたが、これは、エンジンが発生させるトルクの話であって、実際にタイヤを回転させる力(トルク)を考える場合には、その間に挟まるトランスミッションが大きく影響します。

簡単な式にすると以下のようになります。

「エンジンのトルク × ギア比 = タイヤを回すトルク」
※簡略化するため抵抗などは考えないものとします。

ギア比は今回の車両では、以下のようになっています。

  • 1速:3.478

  • 2速:2.021

  • 3速:1.352

  • 4速:1.000

  • 5速:0.790

例えば、エンジンは4000rpmで9kgfmのトルクが出ていますが、
2速で4000rpmの時、タイヤを回すトルクは、
 9kgfm × 2.021 で約18kgfmとなります。
4速で4000rpmの時、タイヤを回すトルクは、
 9kgfm × 1.000 で、9kgfmとなります。

同じ回転数でもギア比が違えば、タイヤを回すトルクは、大きく違うわけです。

車を速く走らせるためには、この「タイヤを回すトルク」を高い状態を保って、シフトアップしていく必要があります。

最適なギアチェンジのタイミング

では、各回転数・各ギアごとに「タイヤを回すトルク」を算出してみます。

まず、先ほどの性能曲線のグラフを、以下のサイトで、数値化します。

使い方を知りたい方は、検索してみるとすぐ、出てきます。

すると以下のように、何回転の時に、どのくらいのトルクが出ているか数値化できます。

画像からトルクの値を抽出

その次に、このデータを使って、回転数と各ギアの出力(タイヤを回すトルク)を表にします。

各ギアにおけるタイヤを回すトルクを表にする

ギアチェンジをした際に、回転数が下がるため、これも表にまとめます。

回転数の変動を表にする

そうすると以下のような簡単なツールが作成できます。
変速したい回転数を入力すると、ギアチェンジ前と後の「タイヤを回すトルク」を比較することができます。

4000rpmでのギアチェンジの場合

4000rpmでギアチェンジをした場合で見てみると、1速から2速に変速した場合、トルクは半減してしまっています。
つまり2速になった瞬間に加速が半減してしまっているのです。
1速のままで、4000rpmよりもっと高い回転数まで回せば、30kgfm、29kgfm、28kgfm・・と徐々にトルクは下がるものの、まだまだギアチェンジするより強い力がでるので、もったいないですね。

8000rpmでのギアチェンジの場合

逆に8000rpmまでエンジンを回すと、変速する前より、変速後の方が、トルクの値が大きくなっています。
つまりギアを上げた方が、強い力が出るということになります。

よって、この「変速前トルク」と「変速後トルク」がほぼ同じになるタイミングでギアチェンジしてあげれば、無駄なく加速ができる、つまり一番速く加速できるとなるはずです。

最適なギアチェンジタイミング

入力する回転数を色々変えてみたところ、表のような回転数でギアチェンジすると、良いのでは、ということになりました。

では、実際に走らせて、本当に速くなるのか検証してみましょう。

2000m タイム検証 パート2

最適なギアチェンジタイミングを計測する前に、7000rpm前後のタイムを、もう少し細かく計測してみました。

  • 6500rpmでギアチェンジ:58.566

  • 7000rpmでギアチェンジ:58.183

  • 7250rpmでギアチェンジ:58.216

  • 7500rpmでギアチェンジ:58.050

  • 7750rpmでギアチェンジ:58.040

  • 8000rpmでギアチェンジ:58.633

一定の回転数でのギアチェンジでは、7750rpmの「58.040」が最も早いタイムでした。

では、導き出した最適ギアチェンジで走ってみます。
スタートして、まず1速から2速に7800rpmでギアチェンジ、
その次は7600rpmでギアチェンジ・・・といった具合で加速していきます。

2000mタイム計測スタート
2000mに到達

気になるタイムは、「57.700」!

文句なしの一番のタイムが出ました!
良い結果が出て良かった…(笑)

トルクと馬力の関係性

ここまでの検証で、「タイヤを回すトルク」を最大化することが大事であることが分かりました。

ところで今回の最適なギアチェンジタイミングの回転数の変化を見ていると、あることに気が付きます。

ちょうどぴったり「馬力の曲線の、高いところ」を使って走っていたんです。

つまり、同じギアで比較するならば、4000rpmが一番勢いよく加速するが、
ギアチェンジしていくことを考慮すると、馬力が高い領域を使うことで、速く走れるということになるんですね。

よって、停止状態から加速する場合には、トルクが高いところに合わせて、スタートし、
ギアチェンジは、馬力の高い範囲に収まるように、タイミングをとればよいということになります。

だから、トルクと馬力の2つのグラフが必要だったのか…

まとめ

今回はちょっと長文にになってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
分かりにくい部分もあるかと思いますが、理解の一助になれたら光栄です。

また新たに疑問点が出てきたら、調査をしたいと思います!

ここまで読んでいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願いします。

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