詩歌によせて42
親と子
とどめおきて 誰をあはれと 思ふらん 子はまさるらん 子はまさりけり 和泉式部
子と母をこの世に残しておいて、死んだ小式部はどちらを不憫(ふびん)に思っているだろうか。子の方がまさるであろう。そう、自分も親よりも子への愛情が深かったのだよ。
小式部内侍は和泉守橘道貞と和泉式部の娘である。小式部内侍の百人一首の歌である、「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立」は良く知られている。
意味は、大江山を越え、生野を通って行く丹後への道のりは遠いので、まだ天の橋立の地を踏んだこともなく、また、母からの手紙も見ていません。
親と子をこの世に残してあちらに旅立たねばならないという状態では、やはり子の行く末を気にするのは、だれしものことであろう。それほどに、自分の血がつながった子供は可愛い。私自身も子煩悩である故に、良く分かる。