父母の恩愛

 父母の恩愛の深さを説いたお経があることを、前の日記で書いた。誠に自分という存在があるのは父母のおかげであるし、その父母はそれぞれの父母の恩愛を受けて生まれてきたのである。さらに、ずっと遡ると、膨大な人数の祖先があって、ようやく自分がここにいるのだと分かる。
 このことに考えが及べば、自殺がいかによくないことか自ずと分かるのである。なにも特定の宗教上の禁止事項だからとか、小難しい理屈などなにも必要がない。
 父母の恩愛を受けて、延々と受け継がれた命が、我々の中に流れていることを感じるだけで、どんなに辛いことがあっても、命が終わるときまで必死で生きなければならないと、心底思えるのだ。
 愛されないで生まれる命などあるはずがない。父母との関係がよくなくても、たとえば祖父母との関係がよかったとか、兄弟の愛が深いとか、さまざまな愛があるはずだ。
 毎日多くの命が消えていくが、一方では新しい生まれてくる命がたくさんある。これらの新しい命が、幸せに暮らすことができるようにと祈るのが今の我々にできることではあるまいか。
 

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