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罵詈雑言を浴びせてきた友人と久々の再会。
2024年12月12日。
週末は20年来の友人たちとお茶会をした。6人全員で集まるのは数年ぶり。
豪邸を持つ友人宅は、毎年ながら大きなツリーが広いリビングにドーンと聳え立っていた。いつも豪華で美しい邸宅だけれど、更に華やかになってテンションが上がる。
しかしながら、片付ける時の大変さを思ってしまうのは元主婦の性なのか。
あーやだねー。
そうそう、このメンバー内にいるのだ。私に罵詈雑言を浴びせてきた友人が。
私の持ち物を見て「どこで買ったの?同じものを買いたいから教えて」とよく聞かれた。コートやバッグの内側のブランドタグを写真に撮ったり、「同じストールを買ったから、あなたがよくやっている巻き方を教えて欲しい」と言ってくるちょっと変わった友人だったけど、会いたい会いたいと言ってくれるので好かれていると思っていた。
ある時突如話の中で、「それって自慢?」と言われて驚いた。
その後すぐに私の離婚のことを言い始め、「そんな相手と結婚したあなたがいけない!」に始まって、ひたすら否定的な言葉を頭のてっぺんから湯気をシューシュー吹き出すが如く、激おこぷんぷん丸になって誹謗中傷してきたのだった。
びっくりした。
所さんじゃなくても目がテンだ。そして彼女はなぜ怒っているのか?
もう一人横にいた友人も、彫像のように固まっていた。
それでもぷんぷん丸は止まらない。独演会の如く「私があなただったらこうした!」「もっとこうすべきだった!」をぷんぷん熱弁していた。
私は反論せずに、「なるほどね」「そうかー」を繰り返した。
その心の内は怒りではなく、「どうしちゃったの?」という心配と、信用して話した自分を反省し、素敵な人だと思っていたので落胆した気持ちが不二家ノースキャロライナのように渦巻いていた。
もう何も話すまい。彼女とはここで決別なのだ。これまでの楽しい時間をありがとう。Adios amigos.
「そうだね」と返事をしながら、私の心は彼女から離れて無限の荒野へと旅立っていった。
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そろそろ紅葉も見納めか。
午後の光に木々のシルエットが絵画のよう。
時間と共に変化する落ち葉の色は、今だけのもの。
その日以来、彼女とは久しぶりの再会。
「10キロ以上ダイエットした」と言っていたけど、やつれていて急激に老けて見えた。
お喋りで、明るい笑い声が好きだったけれど、無口でぎこちない笑顔。みんなに対してオドオドしているように見えた。
私は「これは彼女の前で話しても問題ないか」と会話の内容に気を使い、当たり障りないことしか話さなかった。
あああ、以前は気を許して話ができるメンバーだったのにー!
ギター侍以上に「残念!」と思いつつ、私も含め、人は変化するものだから仕方がない。
それよりも、今の時間を満喫したい、集まれることに感謝したい、そう思ってこの優雅な時間を楽しむことにした。
お茶会の帰り道、激おこぷんぷん丸を前に彫像になった友人が、
「実はその後、私も彼女にひどい言葉を延々と言われたの」と驚きの告白をしてきたのだった。
「母の話をしたら『それはおかしい』とか『私ならこうする』って、聞いてもいないアドバイスをしてきたのよ。母のことを『そんな歳まで生きて、子供に迷惑かける気が知れない』とも。あの日のétoileちゃんみたいに、私も『なるほど』って返したけど本当に気分が悪かった。だから今日みたいな集まり以外で、彼女と会うことはもうないと思う。」
そんな人じゃなかったのに、彼女に何が起こったのか・・。(小泉今日子の「少女に何が起こったか」を思い出した人は50代以上とみた)
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この琺瑯の鍋は大きさ違いで持っている。
コンロから食卓へそのまま出せるので、ズボラーズのメンバーとしては大助かり。
美味しいもの好きな叔母からもらった鯖の味噌漬けを焼いたら、
追い剥ぎにあったように皮が剥けてしまった。
多くの人が、悲しみや苦しみで心が押しつぶされそうになった経験をしている。
たった一人、光のない冷えきった深海の底で、この地獄からどうやったら逃れられるのかと暴れるようにもがきながら、誰にも知られないように阿鼻叫喚の声を密かに上げる。
目を覆い、耳を塞ぎたくなるような出来事、悔やんでも悔やみきれない体験、消すことができたらどんなに楽かと思う悪夢のような記憶。
それでも生きていく。
何もなかったような顔をして。
そんな苦しみが少しでも軽くなることを願いつつ、黙って寄り添い聞いてあげる人でありたい。その辛さを一緒に抱きしめ、例えほんの一瞬でも暖かな温もりを感じて欲しいと思う。
ぷんぷん丸は気がついていないけれど、彼女は自分の心を満たすために、スッパリとよく切れる刃物で私たちの心を切り捨てたのだ。
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