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【読書感想文】ブルーピリオド1〜15巻


ブルーピリオドを読んだので、感じたことを残しておく。


自分の感性と、
身近な人からの褒め言葉をよすがにして
美術の世界へと飛び込む主人公、矢口八虎(やぐちやとら)の葛藤や成長を描く作品、ブルーピリオド。

わたし自身が、同じように

花でなにかを表現するのが好き
友だちや恩師が褒めてくれた

ということをよすがに、
フラワーアレンジメントの世界に飛び込んだので、
美術部の課題や仲間との切磋琢磨の中で
七転八倒、へこんだり前を向いたりする主人公に
刺激を受けて、
もっともっと刺激をもらいたくて、
手にとってみた。

(”よすが”って変換しようとしたら、まず『縁』がでてきてびっくりした。八虎くんが「一番大事なもの」というお代で『縁(えん)』をテーマにしていたので。わたしは『寄す処』のイメージだった。『縁』の方が八虎くんにもわたしにも合ってる)


1番印象に残ったセリフはこれ。

「何者かになる権利はあっても
義務はない…と思います…」

ブルーピリオド10巻 高橋世田介のセリフ


胸が締め付けられるようにぐっと来た。
最近のわたしは、ずっとこの言葉を誰かに言ってもらいたかったのかもしれない。

最近出会ったお花屋さんで、
ひとりでめちゃくちゃ営業も制作もがんばってる女性がいて。

わたしはただ作るのが好きで、
自分が作ったものを売り込むのが苦手だ。

作る場を確保するために営業する、という発想すらなかった。

ハングリーさが全然ちがう。

でも、お花だけで生計を立てるならそれくらいの覚悟と熱量と行動量が必要と気づかせてもらった。

でも、わたしにはとても真似できない。

わたしにとってのフラワーアレンジメントとは?
趣味?副業?本業?
在り方を捉え直す必要性を問われたようだった。

そこから手が動かなくなった。

めちゃくちゃがんばる本業一筋か、
そうでなければ趣味で、みたいに
ゼロか100みたいな極端な思考になっていた。

そんなときに現れた、登場人物の高橋世田介くんのこのセリフ。

何者かになる義務はない。

何者かにならなきゃと思わなくてもいい。

ブルーピリオドのキャラクターたちも、
美術を観るのが好きな人
教え、導いた人の成長が自分の喜びである人
などなど
アートへのかかわり方は人それぞれだ。

『本当にお花が好きならこうあるべき』
という幻想に囚われず、
わたしにとって心地の良い在り方を見つけていきたいと思った。




印象に残ってるもう一つ。

「ソレが本当に伝えたいことにピッタリくるのか
吟味して
検証して
繰り返して
君が選んだものが
君の作品になるの」

ブルーピリオド8巻 猫屋敷教授のセリフ


わたしは時々、ファンアートと称して、
好きな小説や音楽をモチーフに作品を作っている。

インスピレーションで浮かんだ映像をリースやアレンジメントに落とし込んでいくだけなのだが、

もし、作品を「アート」と呼ぶならば。

テーマはなにか?
リース、アレンジメント、その他、
テーマを表現するのに何が最適なのか?
ドライフラワー?アーティフィシャルフラワー?生花?
どうしてそれを選ぶのか?

今まで漠然と直感で選んできていたことが、
こういった本質を質す問いに応えうるものになっているのか?

もしアーティストとしての資質を磨いていくのなら、
こういう視点は大切だなと感じた。

頭でっかちもよくないし、
正解なんてないのに考えすぎて完成しないのもなんか違うと思うが、
こういう多角的に深掘りしていく姿勢は、
作品の説得力を増してくれると感じた。

以上。
さて、最新刊買わないと。

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