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「コンプレックスは財産を生む」
「足りない、足りない、まだ足りない」
かつての私が思っていたことだ。
大学に行けなかったことのコンプレックス。
仕方がないこととはいえ、私は学びたかった。
奨学金など絶対に行けないということはなかったかもしれない。
だが、ただでさえカツカツな生活の中、卒業してから返していかなくてはならないお金。
また、不安要素が増えるだけだ。
行かないことを選択する。
そこから、出てきたのが大学に行けなかったということに対するコンプレックス。
それを補うためにしたこと。
「資格の取得」
20代は取れるものを手当たり次第に取った。
すでに結婚もし、仕事もあったので、夜に勉強し、睡眠時間が3時間は普通であった。
最初に結婚した相手は自営業だったため、朝早くかつ経理的な仕事もしなければならなかった。
そんな状況で頑張れた要因は、
「負けたくない」という気持ちからである。
生まれや育ちで道は決まらない。
その思いだけだ。
当時の私は、たいして頭もよくないくせに、親のお金で大学に行ってのほほんとしている人に負けたくない。
何不自由ない暮らしなのに、横道にそれる人達の甘え。
恵まれているにもかかわらず、文句を言う人が許せなかった。
気持ちがやさぐれていて、表面しか見ていかなったからだ。
今ではわかる。
恵まれているように見えても、その中にも様々なことがあることを。
そして、「足りない」という気持ち。
どんなに資格を取っても、仕事ができると言われても、「まだまだ足りてない」の思いが強かった。
足りない、足りない、足りない。
もっとやらないと、もっとやらないと。
こう思っていた理由は、今ではわかっている。
自分が持ってるものを見ずに、人と比較し、ないものを補おうとしていた。
もともとたくさん持っているにもかかわらず。
今ではよかったと思える。
あの環境であの状態があったからこそコンプレックスが生まれた。
このコンプレックスのおかげで、すごいパワーが生み出され資格を取り、仕事のスキルを積み上げた。
おかげさまで、50代半ばになっても派遣の仕事が切れずにいただけている。
もし、〜なら、などということは言っても仕方がないが、恵まれている環境であったら何もしなかったであろう。
元来は怠け者であるからだ。
今では過去のすべてに感謝している。
コンプレックスがあったからこそ、様々なものを手に入れることができた。
このコンプレックスは、乗り越えたものの一つでしかないが、乗り越えた私だから言えること。
「コンプレックスは財産を生む」