女の子がゾンビで踊る刑事!?異色のミステリーADV『Zombie Police』ができるまで
みなさんはじめまして。
まず、この記事に興味をもっていただき本当にありがとうございます。
Zombie Police(ゾンビポリス)では原作、制作に関わるその他色々を担当しています。(全部書くと肩書きが長いことになるので詳細は割愛します。)
まずは自己紹介
この記事を書いている人間の自己紹介からさせてください。
私は新卒でゲームの開発会社にゲームプランナーとして就職してから
その後はプロデューサー/ディレクター/プランナーをしていてあっという間に10年が経ちました。
今年からロブスタジオ株式会社という会社の代表をやっています。
Zombie Policeは2024年8月8日にSteamにて発売されたミステリーADVゲームです。
Zombie Policeは合同会社オルタシウス様と共同で発売しました。
もし興味がありましたらぜひチェックしてみてください。
https://store.steampowered.com/app/2825070/Zombie_Police/
▼公式HP
会社辞めて…よしなんか作るか!
少し長めの前置きをここで書いておきます。
私個人の話で長めなのでスキップして読み進めていただいて構いません。
話はちょうど1年前、2023年秋に遡ります。
勤めていた会社を辞めることになりました。ここ2年ほどはオリジナルIPのタイトルの立て直しに奔走し、一定の成果も出たのですが、2023春頃を目処にそのタイトルの担当でもなくなり、次に向けてどうするかのタイミングでした。
他からお誘いなどもいくつかいただきましたが、ここ数年間ずっと中規模以上のゲーム開発や運営をしていた私がやりたいことは2つありました。
1.自分で責任を負う形でオリジナルIPが作りたい
2.極めて小規模なゲーム開発がしたい
少し解説します。
1.自分の責任を負う形でオリジナルIPが作りたい
→元々私は大手版権のタイトルをいくつか経験がありますが、
やはり大手さんのタイトルになると関わる人数も多くなりますし、何より歴史がありますので新たなことをしていくにはいくつものハードルが存在します。
もちろん歴史や伝統に反することをしてしまっては、IPそのものの毀損に繋がってしまうので、当然ではあるのです。
オリジナルIPもいくつか経験がありますが、色々と新しいことがしやすいですし、その行動自体が歴史を作れるという面があります。
2.極めて小規模なゲーム開発がしたい
→ゲーム開発というのは年々その規模と難易度が上がっています。
スマホゲームも初めは数人で作っていたタイトルも多かったのですが、今ではどれだけ小さくても数十人は必要で、予算も億単位のお金が必要になっています。
私もこの10年ゲームを開発しながら色々な経験をしました。その10年でたどり着いた仮説が”ゲーム開発の始まりは優秀な少人数で行うべきでは?”ということでした。
最初から多く集まり開発規模が大きいと、どうしても無難だったり間をとったアイデアが尊重されがちになるのは経験上感じており、おそらく自分が10年やって長けていたのは日常の面白さを使ったアイデアや面白い人間を切り取ることだったので、それらを反映しやすい環境の方がうまくいくという実感がありました。
なによりエンタメ、特にゲームにおいて無難が1番あかん。ということや、不足感を覚えながら環境も人間も成長していくのが一番ゲーム開発には適している環境なのかもしれないと思っていました。色々な方向性のタイトルを作りたい!というのもあります。
ということで、会社を辞めてから1ヶ月、早速作ることにしました。
まずはフリーゲームを。
▼犯人はヤス
https://novelgame.jp/games/show/8996
ちょうど生成AIも話題になっていたので、2つ検証してみることにしました。
・超短期間でどれくらいのゲームが作れるのか
・生成AIってどうなのか(何が得意なのか、どう使えるのか)
「犯人はヤス」というゲームでした。
有名なネットミームをテーマにして、作ってみたゲームです。
制作期間1週間ほどで妻と2人で作ったゲームなのですが、実況いただいたり嬉しいコメントをいただけるなど予想を超える反響をいただきました。その節はありがとうございました。
▼話せばわかる!コンビニ強盗
https://novelgame.jp/games/show/9075
次に、話せばわかる!コンビニ強盗というゲームを紹介します。
私の体験をベースにした作品で、
犯人はヤス以上に大きな反響をいただきました。本当にありがとうございます。
同時に、クリエイティブ部分に生成AIを活用するのは、まだ時期尚早だということも感じた作品です。
他にもコンセプトを変えて何作品か作り、検証を進めていきました。もし興味ある方は遊べる状態にしていますので、ぜひ遊んでみてください。
ゾンビが先輩で女の子で刑事やってるって…面白いんじゃない?
こうして2023年にいくつかのフリーゲームを何本か作りノウハウや知見が溜まってきたので、そろそろ本格的なゲームの企画をある日考えていました。作品のキャラクターも頭の中でちゃんと動くようになっていたので、ぜひ彼らも登場させたいと思っていましたが、やるとしても華のある映えるセンターが必要。
そして、ミステリーのADVゲームがやっぱり1番面白い気がしてきました。”かまいたちの夜”や”逆転裁判”というゲームが昔から好きでしたし、先ほど述べた小規模で作る最初のゲームとしては1番適したジャンルでした。
そんなことを考えながらお風呂に入っていると、ふと思いついたのが
ゾンビが刑事やってたら面白い世界なのでは?でした。ゾンビは敵になることはあってもあまり味方になることはない存在。ゾンビの刑事がやることといったら?というと思いついたのが、高所から落ちた死体の状況を自ら再現する。事件が解決したらゾンビダンスで踊る。その他アイデアが色々湧いてきました。
企画が良い時はアイデアが勝手に膨らんでくるものなのです。これは良いかもしれない。
パッと浮かんだ名前は”屍 明美”。これがゾンビ刑事(デカ)の誕生の瞬間でした。
個性的な刑事というアイデアは、こち亀が大好きな私の引き出しに眠っていたのかもしれないですね。
こうして浮かんだ早速アイデアをまとめることにしたのが2023年末〜2024年初頭。”ゾンビ刑事”の企画書ができあがったのでした。
ゾンビで人間ではないので苗字は”屍”
死んでることをあんまり気にしていないくらいの明るいイメージで”明美”としました。
ゾンビ刑事がZombie Policeになっていくまで
はじめに、Zombie Policeに関しては生成AIを一切使わずにクリエイティブを作っています。
フリーゲームではどうしても手が足りないので、背景などを生成AIに頼らざるを得ませんでしたが
今の生成AIはあくまでクリエイティブな人間のブースターとして使うのが1番効率的で、代替手段にできるものではない。というのが私の現段階での見解です。それにはもう少し進化が必要です。
ゾンビ刑事の企画書をシナリオのプロにみていただくことにしました。そこで企画書を読んでいただいたのが、今まで数々の名作を生み出してきたシナリオプロ中のプロ。シナリオライター叶 希一さん率いる、合同会社オルタシウスさんでした。知り合って以来、非常に懇意にしていただいてたこともあり”ゾンビ刑事”の企画を話したところ、非常に興味をもっていただきました。その後もアイデアが膨らんでいったのでやりましょう!となりましたので、2社でやることになり、私も起業して仲間を集めることにしました。
そうしてるうちに、オルタシウスさんから世界観のアイデア案が届き、確認してみると自分のアイデアをベースに深掘りしてうまく拡げてくれた、一見ふざけてそうで、なかなかシリアスな事象も書かれている世界観が書かれていました。す…すげえ…。ゲームプランナーやプロデューサーとして従事していたものの、シナリオを書くなどの仕事はほとんどなかった私はシナリオプロの仕事を思い知りました。その上、犯人はヤス、話せばわかる!コンビニ強盗のキャラクターも出す方向でお願いしたのですが、とても収まりの良い形で盛り込んでいただきました。
Zombie Policeのシナリオを執筆してくれたのは、オルタシウスさんのライターである灰上 実秀さんです。
世界観テキストを読み進める中で、エナドリ好きの神父刑事という文字を見つけました。自分たちのアイデアにはなかった超多属性なキャラの登場に、これは面白いゲームになりそう。良い世界観のゲームになりそうだなあとワクワクしてきました。
結果的にモブキャラまで個性的。というなかなか他では見ない世界ができあがったように思います。田村刑事のツッコミが追いつかないくらい個性的なやりとりをぜひゲームで遊んでみてください。
今回、イラストをお願いしたのは弊社イラストレーターの丸金 にくです。
ゲームのイラストの仕事は初めてだったそうですが、1ヶ月くらいかけてまずはゾンビ刑事、明美のデザインをお願いしました。結果、すごく良いイラストデザインがあがってきました。少し懐かしいながらも現代的なキャラデザイン。という無理難題をさっと描いてくれて感謝してます。
サウンド担当の畠中 弦にも無理難題を言いました。80年代を彷彿とさせるポピュラーなダンスミュージック、でも2020年代の技術で。という注文に応えて作ってくれたのがOPにもなっているテーマソングです。音楽はゲーム開発の最後の方に作ることが多いのですが、音楽はゲームの世界コンセプトとして固めるのが重要だと感じていたので2人で先んじて作ることにしたのでした。
結果、この音楽を聴いて一気に画面デザインのイメージを固めることができたので、このアプローチは正解だったように思います。畠中さんに感謝です。
実はZombie Policeは背景のクオリティがすごいんです。しかもアニメーションまでします。実際にゲームで確かめてみてください。これを実現したのはオルタシウスさんの背景デザイナーの南雲 ミハル。さんです。ものすごくゲームのリッチ感を演出してくれています。
しかも背景、動きます。アニメーションはオルタシウスさんのVAUGEさんによる匠の技。ぜひ実際のゲーム画面でご覧ください。
そして京都のとある場所をモチーフにした背景も描いてくれました。ぜひ遊んで目撃してください。
画面構成のUIやタイトルロゴなどのUI部分は個人的に仲の良かった実力派、合同会社オクトさんにお願いすることにしました。結果めちゃくちゃおしゃれでカッコいい画面になりました。デザイン、ありがとうございます。
企画から発売まで6ヶ月!?なぜ短期間開発に挑戦したのか?
素晴らしい仲間が集まってくる中、開発は急ピッチで進んでいきます。
予算やボリュームを考え、用意した期間はなんとたったの6ヶ月。しかも3ヶ国語翻訳対応というゲーム開発としては通常では考えられない小さな規模と短い期間です。
故に後戻りが発生すると、そのまま全員が遅れていくことになるので、なかなかプレッシャーのかかる状況でのディレクションやシビアなシーンの連続でした。なるべくバグが出ないような仕様になるよう心がけていましたが、それでもバグは出ます。知り合いや友人にデバッグ応援を要請し、ゲームを磨いていくことにしました。
果たして企画から半年で完成させられるのか。というのも今回1つのチャレンジでした。
なるべく予算や時間をかけず、シンプルで短くまとまった面白いものを作る。というコンセプトでもあったので、開発メンバーそれぞれのスプリント力が問われるので個々にかかる負担はかなり大きい環境だったと思います。
ずっと長い間作り続けるのも大変なのですが、開発期間が短いというのはそれだけで単純に忙しいです。エンジニアも専任者がいない中、私が兼任してメンバーが作ってくれた素材を深夜にゲームへ実装する状態でしたが、そういった中でも完成していくゲームの手応えはすこぶる良いものでした。
並行してPVなどもスタッフである妻が1人で作りました。
それでも妥協せずにいいPVができたと思います。
無事開発が完了し、2024年8月8日にSteam向けタイトルとして
Zombie Police ~ゾンビ刑事と踊るクリスマス~
を無事発売することができました。
Zombie Policeをもっと知ってほしいと心から願っています。
Zombie Policeは私たち開発陣もとても愛しており、皆様の反応などを日々ありがたく拝見しております。
今回、なぜこの記事を書いたかというと、
こうして創り上げた『Zombie Police』をどんな形でも、もっといろんな方に存在を知って欲しいと考えています。実況などがNGのミステリーゲームも多いですが、Zombie Policeは製品版も全編実況OKで収益の可否なども問いません。理由は少しでも多くの方に知って欲しい&遊んでいただければきっと面白いものになっているから。です
※無料の体験版で1章が丸々遊ぶことができる理由です。
本作にとどまらずZombie Policeをシリーズとして続けられるよう、私たちも精一杯努めますし、まず第一歩として続編が作れるように最大限努力したいと思っています。
実現するには皆様の応援が必要です。経営面だけでなく、応援いただけることが開発陣にとって1番のモチベーションになります。
今後もZombie Policeに関する様々なことを企画中ですので、今後にもご期待ください。
1人でも多くの方にZombie Policeを知っていただけますと開発チームとしてこれ以上の幸せはありません。どうかよろしくお願いいたします。
まとめ&ここが良いよZombie Police!
・奇抜な設定と、個性豊かなキャラクターたちを二社協業で創り上げた
・ハイクオリティなグラフィック、サウンド、ストーリー
・たった6ヶ月で完成させた開発チームパワー
・現在Steamで好評発売中!無料体験版でZombie Policeの世界を体験しよう!https://store.steampowered.com/app/2825070/Zombie_Police/
▼グッズなども今月から発売しております!
気に入っていただければぜひお買い求めください。
https://lobstudio.booth.pm/
わたしのことは、屍 明美…いや
ゾンビ刑事と呼ぶといいよ!
おわり