【短編】心を無くした、おりこうさんのみーちゃん
*……*……*……*……*
「おりこうさんで待っててね。一生懸命お仕事頑張ってくるからね。帰ってきたらいっぱい遊ぼうね」
大好きなパパ。
面白くて、優しくて、おっきなおててで頭をなでてくれるパパが大好き!
みーちゃんはおりこうさんで頑張るぞー!
遊んだおもちゃも、きちんと片付けて、ママのお手伝いもしたよ。
「みーちゃん。ママもお仕事いってくるね。そろそろ大好きなパパが帰ってくるからね。おりこうさんで待っててね」
うん!ママのご飯はいつもかわいくてうんとおいしい。
ママもパパも、だーいすき!
だから、おりこうさんでいつも待ってるんだ。
「ただいま、みーちゃん。かわいいみーちゃん。おりこうさんで偉かったね」
ママもパパも、いっぱい遊んでくれるんだ。
でも、いつもどっかに行っちゃう。
どうして、バイバイしなくちゃいけないの?
寂しいな寂しいな。
寂しくて、いっぱい泣いちゃった。
いっぱい駄々もこねて、ジタバタしておこりんぼになっちゃった。
「みーちゃん。どうしてそんなに困らせるの?みーちゃんのために頑張っているのに。だからみーちゃんも頑張らなくちゃだめじゃない」
「そうだぞ、みーちゃん。ずっと大好きだから、一人でもたくさん楽しんで待っていてよ」
そっか、みーちゃんが悪いんだ。
みーちゃんは「おりこうさん」じゃないとダメなんだ。
一人でも大丈夫!みーちゃんは、一人でも強いんだぞー。
「みーちゃんは、やっぱりおりこうさんね。かわいいみーちゃん。だいすき」
ママもパパも、みーちゃんを抱きしめてくれた。
温かいな。ほっとするな。
おりこうさんだと、ほっとできるんだ。
でも、おりこうさんをすればするほど
うんと、寂しくなるのはなんでだろう?
もう、おりこうさん疲れちゃったのに。
そうか。ママもパパもいなくなる前に、みーちゃんがいなくなろう。
先にいなくなっちゃえば、ママとパパはいなくならないじゃん。
やっぱり、みーちゃんはおりこうさんだ!
あれ?パパもママもいなくなっちゃった。
おりこうさんにしても、
駄々をこねても、
いなくなっても、
やっぱり寂しいんだな。
みーちゃんが、寂しくならない方法は……
おりこうさんでいれば、少しは寂しくないんだな。
「おりこうさんで待っててね。一生懸命お仕事頑張ってくるからね。帰ってきたらいっぱい遊ぼうね」
はい。おとなしく待ってるね。
*……*……*……*……*
《《 あとがき 》》
「誰かから愛されること」を人生の目標にしてたら、ずっと誰かの人生を生きる「おりこうさん」
おりこうさんにして、都合がいい誰かになってる時って、モヤモヤして、ずっと続けると心が死んでっちゃうような気がします。
長く不倫してる場合は、
「もったいない」
という思考がどこかで働いたりも…。
でも、自分は愛してくれない人を失うけれど、彼は愛してくれる人を失う。
「もったいなくない」でしょう?
「一瞬の幸せでも、何もないよりはまし」
でも、一瞬の幸せは、大きな寂しさをうむだけだと思います。
「ここまで、頑張ってきたんだから一緒になりたい」
でも、相手が定年になって、奥さんから熟年離婚を切り出されて「迎えに来たよ」で、笑顔で迎えられますか?
一緒になったら、病気が発覚して、彼の親の介護も彼の介護も全部背負えますか?
それでも一緒になりたいですか?
自分ではなく、白馬の王子様(おオジサマ)と幸せになることを最終目標にしていませんか?
どんな恋人を見つけたかが、人生ではありません。
耳タコだけど、自分が自分を幸せにできないと、人を変えても同じこと。
でも、それが難しい!
これまでの価値観を変えるのって本当に大変なんですよね。
私ごとですが、娘が私の誕生日に、私の大好きな漫画の名台詞をもじって、メッセージカードをプレゼントしてくれました。
「◯歳、諦めたらそこで試合終了ですよ」
嬉しかったなあ。ずっと飾ってあります♪この気持ちをずっと忘れずにいたいものです。
あなたの上に、心が満たされる幸せが訪れますように。
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