重度知的障害/ 自閉症/ 主人の涙
フォローワーさんの記事を読んで、1年前の今頃の出来事を思い出しました。
今年の夏前に主人が適応障害と診断されました。普段あまり愚痴や弱音を吐かない人です。
主人の会社の部下で、中村さんという年の近い男性がいました。
会社で1番主人と仲が良かった人です。
しかし数年前に喧嘩をして、業務上以外は口を聞かない状態が続いていました。
それまではお互い励まし合いながら頑張ってきた仲だったので、主人はそれから何となく元気がありませんでした。
去年の年末頃。
主人の様子を見て
「あれ?」
と思うことが何回かあったのです。
黙っている時に心がここにあらず、というか、何か考え事をしている感じでした。
そして顔つきに違和感がありました。
ある日、主人が私に話をしてきました。
去年の11月頃にやっと中村さんと和解したとの事でした。
「良かったね」
と私が伝えても、主人は元気がありません。
和解してからというもの
中村さんは日に日に痩せていき、見ていて心配になったそうです。
中村さんはステージⅢの癌を患っていることが判りました。
そしてテレワークという形で実質休職となりました。
しかし主人が
「無理するな」
と伝えても、テレワークで働き続けていたそうです。
それから中村さんは6月に手術を受けることになりました。
命を掛ける大きな手術です。
中村さんは久しぶりに会社に挨拶をしに来ました。
始めは雑談をしていたそうですが、
「皆、俺のことを忘れないでくださいね。」
冗談交じりの口調で最後に一言、そう言われたそうです。
「その言葉が忘れられない 」
主人は泣いていました。
自分の母親が亡くなった時も気丈に振る舞っていた主人です。
この中村さんの話を私にしてきた時点で、我慢してきた感情が溢れ、よほど辛かったんだと思いました。
そして、中村さんは術直後に帰らぬ人となってしまいました。
会社に行っても空席の中村さんのデスク。
中村さんの私物を処分し、その後何事も無かったかのように通常業務に戻る。
まるで元から中村さんが存在していなかったかのような日常になってくる。
それが凄く寂しくて悲しい。
主人は会社に行くのが辛いと言い出し、不眠になっていました。私は診断書があれば少し主人も休みが取れるかと思い、医者に診てもらうよう勧めました。
私自身は中村さんと会ったことはありません。でも主人から常日頃色々と話を聞いていました。
仕事のできるヤツが入社してきて頼りになる。
お金がなくてお昼休みに御飯食べないから、また奢ってやった。
本社から俺に着いてきて支社に異動した。
同じ時期に子供ができた。
中村さんのお子さんが小さな頃は、お子さんが書いた可愛らしい年賀状が毎年送られてきていました。
私が見えない部分の主人の人生を、長いこと一緒に歩んで支えてきてくれた人でした。
今は主人は仕事復帰しています。
「 俺のことを忘れないでくださいね。」
主人は一生、中村さんのことは忘れないと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました m(._.)m
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