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"古"くはない"古細菌"という生き物

「古細菌」という生物分類があります。「古」という字はついていますが、古代に絶滅した細菌ではなく、ちゃんと現存している細菌です。

現在、地球上の生物は
・ヒトなどを含む真核生物
・乳酸菌などを含む真正細菌
・古細菌
の3つに分類される、という説が有力になっています。

なんとなく、生物は「動物・植物・微生物」くらいに分類されるのかな、というイメージはないでしょうか。実は生物の遺伝子を調べていくうちに、微生物は非常に種類に幅があること、それに比べれば「動物」と「植物」の違いなんて大したものではない(同じ真核生物にまとめられる)、ということがわかってきました。

3つの分離群のうち「古細菌」は、40数年前に提唱された比較的新しい分類群です。見た目は真正細菌と同じような感じ、でありながら真核生物のような仕組みも持っている、そんな存在が「古細菌」です。

古細菌は高温であったり特殊な環境に生育しています。特殊な環境に生息する微生物は、まだまだ研究途上。世の中には発見されていない古細菌がたくさんいるのでは、と言われています。

古細菌の中の一つにThermococcus kodakaraensisという微生物がいます。鹿児島県小宝島で発見されたので、「kodakara」という名前になっています。この微生物が持つ酵素は熱に強いことが特徴で、今何かと話題の「PCR」の検査精度向上に役立っています。

人によって「古」という字がついた名前をつけられた「古細菌」。PCRの精度を向上させたThermococcus kodakaraensisのように、秘めた能力を持った菌が「今を」生きていると思うと、ロマンを感じざるを得ないところではあります。


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