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ハラスメント。内部通報窓口なんて使っちゃいけない

タイトルがほとんどオチなのですが、私は実際にとある民間企業の内部通報窓口を使ってみました。

  • 内部通報窓口も結局〈会社の一組織〉に過ぎない

  • ハラスメントを立証する責任は〈通報者〉にある

  • 明らかな身体加害・暴力は警察へ相談を

こんな理由から、内部通報窓口なんて使っちゃいけない、とお伝えしたいです。

内部通報窓口は通報者の味方ではない

内部通報窓口は一見、公正で独立した機関のように思われがちですが、実際には会社の一部に過ぎません。会社の利益や評判を守るために設置されている場合が多いです。

内部通報窓口も会社の一組織であり、〈通報者の味方ではない〉のです。

内部通報制度を紹介される際に「気になることがあれば、相談してください」と言われることがよくあります。

しかし実際に相談を持ちかけると、かけられる第一声は「それは大変でしたね…」という励ましの言葉ではなく、「証拠を出せ」という事務的な言葉なのです。

通報者にのしかかる〈立証責任〉

通報者は、自らが受けたハラスメントを立証し、つまり証拠を集めて実際にハラスメント行為があったことを明らかにしなければなりません。

証拠はあるのか?

ハラスメントの証拠を集めるのは、非常に難しいです。

客観的な証拠としては、録音があります。しかし、実際にセクハラやパワハラを受けている最中に「よし、録音しよう」というシチュエーションにはなかなかなりません。

他の証拠としては、保存したメールがありますが、よほどうかつな人でない限り、証拠として残るメールでパワハラやセクハラを行う人は少ないのではないでしょうか。

多くは〈口頭〉〈行動〉でのハラスメントである印象です。そうすると、証拠を残すのが難しくなります。「いつ」「どこで」「誰が」がはっきりわかる客観的な証拠が残りにくいからです。

証拠を説明する心理的負担

私も実際通報してみて感じたことですが、通報する際には「どこで」「誰が」「何をした」という事を具体的に説明する必要があります。

ハラスメント行為を受けただけでもショックなのに、ショックな出来事を第三者である通報窓口に事細かに説明するのは、心理的負担が特に大きいです。

特にこれがセクハラ被害だった場合、振り返りたくもないことを、具体的に根掘り葉掘り聞かれるのは、相当な心理的負担です。

しかも、相手が真摯に対応してくれればよいのですが、かつてNHKで特集番組も組まれた「セカンドハラスメント」のように、バッシングされたり協力を得られなかった場合、かえって心理的負担が大きくなってしまいます。

通報者は守る、わけがない

内部通報窓口は「通報者を守ります」というのがお決まりのセリフです。

ところが、ハラスメント行為の関係者が少人数であって、関係者の聞き取り調査が必要な場合、どうやったって「誰が通報した」というのはバレバレです。

内部通報窓口の対応者は、客観的な事実把握のために、関係者の聞き取り調査を必ず行う、と思っていた方がいいでしょう。

そのため、通報したことで職場での立場が悪化したり、逆に報復を受けるリスクが大いにあることは、十分に承知しておく必要があります。

ハラスメント行為が認められても厳罰にならないことも

たとえハラスメントを立証できたとしても、必ずしも加害者に厳しい処分が下されるわけではありません。

会社の内部での調査や処分は、不透明であり、結果的に加害者に対する処分が軽微なものになることも少なくありません。

私は通報窓口の担当者から「どんな処分を望みますか?」と聞かれたので、「加害者を僻地へ転勤させてほしい」と伝えてみました。

ところがその担当者からは、「加害者はポジションがあるので、それはできない」と突っぱねられてしまいました。私はガックリを通り越して、ズッコケてしまいました。

結局私のケースでは「通報窓口からの注意」という、非常に軽微な処分で終わってしまいました。

「通報の事実があったことを役員に伝えてほしい」という要望もしていましたが、それも却下されてしまいました。

いや、ハラスメント行為が事実だったかはさておき、〈通報〉があったのは事実だから伝えろよ、と思いましたが。

内部通報で厳罰になるケース

私には、内部通報窓口の担当者と印象に残ったやりとりがあります。

それは「パワハラと認定するかはケースバイケースなので、確実にパワハラだという案件でないと我々は厳正な処分ができない。明確に暴力行為があった、身体加害があった、という場合は別だが」という、担当者の言葉でした。

この担当者はずいぶん正直に話してくれたなあと思いましたが、つまり「殴られた」「触られた」「精神疾患の診断が出た」という誰の目にも明らかな被害がないと、内部通報窓口としても動けない、ということなのです。

明らかな身体加害・暴力は警察へ相談を

明確な身体的暴力や加害行為があった場合は、迷わず警察に相談すべきです。

内部通報窓口に相談したところで、必ずしも警察に繋いでくれるとは限りません。「社内でなんとなく揉み消される」可能性があるなら、直接警察へ相談することをおすすめします。

まとめ:ハラスメントを受けたら、どうすればいいのか

今回は民間企業の内部通報窓口を使ってみた、私の体験談でした。

では、実際ハラスメント行為を受けたら、どうしたらいいかというと

  1. どこへ通報するにしろ、客観的な証拠を残しておく

  2. 明らかな身体加害は、まず警察へ相談を

  3. 内部通報窓口は過度な期待をしない

これが私の結論です。

ハラスメント行為を受けて、この記事に辿り着いた方にはまず「それは大変でしたね…」とお伝えしたいです。そして、不要な負担を強いられないために、この記事が少しでも参考になれば幸いです。


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えびふらい|食品会社辞めました
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