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Events|Taito Kauppa / フィンランドの工芸 〈感じたものを実りに。 jitsuさんのものづくり〉

現在開催中の「Taito Kauppa / フィンランドの工芸」。表参道店では、日本の作家により継承されているフィンランドの伝統的な工芸を集めてご紹介しています。

今回の展示が当店では初めてのご紹介となる作家、サーミブレスレットを制作するjitsu・堀口 嘉実さんに、創作活動や作品に込めた想いを伺いました。

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2018年より、糸や羊毛、革、紙などのさまざまな素材を使用した作品を制作するjitsuさんは、アーティストであり、子育て中のママでもあります。

ー忙しい日々の中で創作活動を行う、その原動力の源はどこにありますか。

「幼い頃から何かを作ることが大好きで、常に手を動かしていたように思います。自身にとってものを作ることは特別なことではなく、創りたいと想う気持ちとその作品に関心を寄せてくださる方がいて、今があります。」

創作活動は、jitsuさんにとって自然な流れなのですね。


シンプルで洗練されたデザインでありながら、どこか柔らかな雰囲気を併せ持つ、jitsuさんの作品達。また、素材の質感を活かした作品も多く見られます。

ーデザインの発想はどのようなところから生まれてくるのでしょうか。

「日常の中にある何気ない景色やモノの色彩や質感、線、形。時には、子供達が創り出す作品からインスピレーションを得ています。」

インスタグラムで時折窺える日常の様子からも、作品に繋がる世界観を感じます。そして、お子様も現在の創作活動において欠かせない存在ですね。


ーウォールハンギング、ペインティング、アクセサリーなど、多岐にわたって作品を制作されていますが、共通する想いやテーマがありましたら、教えてください。

「全て独学ではありますが、造形的なものづくりである事を大切にしています。そこにあるだけで、見ていて楽しくなるもの。暮らしにそっと寄り添い、心に潤いをお届けできましたら嬉しいです。」

今回の展示ではその中から、主にサーミブレスレットやその素材を使ったペンダントをご紹介させていただいています。

ー北欧の先住民・サーミ族の伝統工芸品であるサーミブレスレットを制作するようになったのは、どのようなことがきっかけだったのでしょうか。

「子育てが少し落ち着き、何かを制作したいと思っていた頃、先住民の歳を重ねたしわくちゃな手首に着けられていたサーミブレスレットを紙面で見て、心動かされました。」

「創りたいけれど、関わりのない自身が伝統のあるものをつくって良いのかと悩んでいた時、サーミの方にお会いする機会に恵まれ、『ぜひこの文化を広げてください』とのお言葉をいただきました。彼らに敬意を払い、ひとつひとつ丁寧にお作りしています。jitsuのサーミブレスレットやペンダントが皆様のお守りとなりましたら幸いです。」

遊牧生活を送っていたサーミ族にとって、トナカイは特別な存在であり、生活そのもの。そのトナカイの革や角、民族衣装に使用されるウールフェルトに装飾を施したjitsuさんのサーミブレスレット。サーミ族と彼らの伝統を想い、心を込めて制作される作品からは、温もりと優しさが感じられます。


ー最後に、jitsuさんの作品をご覧になるみなさま、手にされたみなさまへメッセージをお願いします。

「柔らかなトナカイ革のブレスレットは、肌馴染みが良く、愛着を持って着けていただくうちに、ご自身だけのブレスレットになっていきます。その経年変化や風合いをお楽しみ下さいませ。ご縁をいただけましたみなさまに、心より感謝を申し上げます。」

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展示にあたり、色々なやりとりをする中で、いつも丁寧で親切、温かな対応をしてくださるjitsuさんのお人柄に触れ、jitsuさんの独特な世界観や作品の魅力の理由が、少し垣間見えたような気がしました。

作品の展示販売は、7月24日(日)まで行っております。近くにいらした際は、ぜひ実際に手に取り、ご覧になってみてくださいね。


jitsu
1975年生まれ。岐阜県出身。2018年よりjitsuスタート。心動かされた素材を手に独学で糸もの、saamiのアクセサリーを中心に制作活動。時には絵を描き、紙ものデザインも務める。
instagram:@yoshi.horiguchi