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【読書記録6】「蒼剣の歪み絶ち」

 (いちおうネタバレ注意)
 いまだに公式サイトが落ちたままの電撃大賞第30回金賞受賞作品を読みました。以前読んだ魔女首に次ぐ作品です。
 以下あらすじ。

少年は「生きたい」と願った──願いの代償に、運命を破滅させる魔剣に。

《歪理物》──この世界の歪みを内包した超常の物体。

伽羅森迅が持つ蒼剣もその一つ。願いの代償に持ち主を破滅させる《魔剣》に「生きたい」と願った彼は、生きながら周囲をも呪う運命を背負わされた。

《本》に運命を縛られた無機質な少女・アーカイブと共に彼は《歪理物》が関わる凄絶な事件と戦いの日々へ身を投じる──彼の歪みに巻き込まれ、アーカイブの依り代とされてしまったあの少女を救うために。かつて希望を見せてくれたあの少女を……。

「絶対に助ける。……たとえそれが、アーカイブを消すことになっても」

二人の呪われた運命の歯車は、一人の女子高生と《文字を食らう本》に出会い、急速に回り出す。
その先に待つ未来は破滅か、それとも──。

最後の1ページまで最高のカタルシスで贈る、第30回電撃小説大賞《金賞》受賞作。

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 ヴァニットなる呪物に囚われたキャラたちが、別の意味でそれに囚われている組織、墓上の巣≪グレイブネスト≫と繰り広げるバトル作品。

 純粋なキャラの魅力、という点では魔女首に後れを取っているが、各々の人物の背景にある事情や思想は手堅くまとめられていて、完成度の高い一作。
 ヴァニットに人格を上書きされてしまったがために消失した旧友佐倉を助けるべく、奮闘する主人公伽羅森。彼は、人格を上書きされた存在としてのヒロインアーカイブとともに、ヴァニットの起こす事件へと立ち向かっていく。
 はたして彼は、相棒のアーカイブを消去し、佐倉を助けることができるのか? という点がこの作品の魅力。
 ストーリーとしては慎重で繊細な展開で、落ちとしても納得のいくものだった。よくある二人のうちどちらを助けるか、というのを、一つの肉体でやろうとしたところにこの作品の個性がある。
 順当に面白い作品で、うまくまとまっているので今後どう展開してするか(いろんな意味で)気になるところ。
 キャラへの感情移入という点ではまずまずだった。そう思うと「人類すべて俺の敵」は案外感情移入できた作品だったのではなかろうか? とも思われてくる。
 本書は、地の文の運びがうまく読みやすいので文章力も評価できるだろう。
 というわけで、電撃大賞の金賞受賞作「蒼剣の歪み絶ち」の感想終わり。電撃大賞受賞作なので、完成度には太鼓判が押せる。要チェック。

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