【読書記録6】「蒼剣の歪み絶ち」
(いちおうネタバレ注意)
いまだに公式サイトが落ちたままの電撃大賞第30回金賞受賞作品を読みました。以前読んだ魔女首に次ぐ作品です。
以下あらすじ。
ヴァニットなる呪物に囚われたキャラたちが、別の意味でそれに囚われている組織、墓上の巣≪グレイブネスト≫と繰り広げるバトル作品。
純粋なキャラの魅力、という点では魔女首に後れを取っているが、各々の人物の背景にある事情や思想は手堅くまとめられていて、完成度の高い一作。
ヴァニットに人格を上書きされてしまったがために消失した旧友佐倉を助けるべく、奮闘する主人公伽羅森。彼は、人格を上書きされた存在としてのヒロインアーカイブとともに、ヴァニットの起こす事件へと立ち向かっていく。
はたして彼は、相棒のアーカイブを消去し、佐倉を助けることができるのか? という点がこの作品の魅力。
ストーリーとしては慎重で繊細な展開で、落ちとしても納得のいくものだった。よくある二人のうちどちらを助けるか、というのを、一つの肉体でやろうとしたところにこの作品の個性がある。
順当に面白い作品で、うまくまとまっているので今後どう展開してするか(いろんな意味で)気になるところ。
キャラへの感情移入という点ではまずまずだった。そう思うと「人類すべて俺の敵」は案外感情移入できた作品だったのではなかろうか? とも思われてくる。
本書は、地の文の運びがうまく読みやすいので文章力も評価できるだろう。
というわけで、電撃大賞の金賞受賞作「蒼剣の歪み絶ち」の感想終わり。電撃大賞受賞作なので、完成度には太鼓判が押せる。要チェック。