見出し画像

女性向けコラーゲンプロテイン製品開発に向けた市場調査2024年【企業、顧客ニーズ、素材、トレンド】

アメリカではプロテインの一種としてコラーゲンがブームですが、「コラーゲン=カラダのもと」という認識が広がり、肌・髪・筋肉・関節などのマルチベネフィットが評価されています。

日本のプロテイン市場ではニッチですがポテンシャルは高く、差別化戦略の一つとして面白いので紹介します。


拡大、多様化するプロテイン市場

明治の調査によるとプロテイン(粉末・顆粒)の市場規模は635億円です。そのうち、明治シェアは34.3%(約217億円)となっています。

明治:決算資料

プロテイン粉末・顆粒だけでなく、タンパク質補給全般を含めた市場全般で見ると安定的な成長をしており、富士経済によると2023年タンパク補給食品の国内市場 2,580億円(2022年から2.4%増)となりました。

引用元:PR TIMES

かつては、プロテインはボディビルダーやスポーツ選手などプロユーザー向けというイメージがありました。
しかし、コロナ禍で健康意識が高まる中、コロナ太り対策で運動するようなライトユーザーにも拡大し需要が拡大しました。

その結果、プロテインへ求める価値が多様化していき、近年の女性向けプロテインの進化は凄まじいと言えます。

もう少し具体的に、女性のプロテインニーズを深掘りしましょう。

ネスレヘルスサイエンスの調査「日常的にプロテインサプリメントを摂取する25〜54歳の女性1,161名」を見ていきましょう。

その調査によると、女性がプロテインを飲む目的は筋肉をつけるだけでなく美肌・美髪・疲労回復・体型の維持など様々な目的で飲んでいます。

つまり、女性は「筋肉に必要な栄養素=タンパク質」ではなく、「体に必要な栄養素=タンパク質」というイメージを持ってる事が伺えます。

PR TIMES

プロテイン市場が大きくなることで、女性がプロテインへ求める価値が多様化していき、それぞれのニーズに最適化されたプロテインが増えてきました。

従来はホエイ、ソイが定番でしたが、コラーゲンペプチドを配合したプロテインが少しずつ増えてきています。

どういった背景でコラーゲンプロテインが増えてきたが、調査データをもとに整理していきましょう。

まずはコラーゲンプロテインという商材を仕掛ける側である、日本一のコラーゲンメーカーである新田ゼラチンの研究を見ていきましょう。

プロテイン素材、コラーゲンの強さとは?

コラーゲンプロテインに用いられるのは吸収率の高い「コラーゲンペプチド」です。

体内への吸収率の低い「コラーゲン」は主に化粧品・人工皮膚に利用されており、体内への吸収率の高い「コラーゲンペプチド」はサプリメントに用いられます。

コラーゲンペプチドは美容効果は主な用途ですが、関節・筋肉機能回復のスポーツ・ロコモ用途でも利用されつつあります。

決算資料より引用

コラーゲンペプチド=「美容」というイメージがありますが、美容だけではなく骨・関節・筋肉・認知機能など多様な機能に関する研究報告があります。

決算資料より引用

また、新田ゼラチンの調査によると、消費者はコラーゲン=美容だけでなく筋肉・腱・睡眠・腸活など多様なニーズをコラーゲンに求めていることがわかっています。

決算資料より引用

このようにコラーゲンペプチドの美容以外の価値を高める研究が進んでおり、「筋肉・腱のケア」「関節や骨のケア」といった用途はスポーツ・筋トレと相性がよく、プロテインともシナジーがあることが見えてきます。

コラーゲンペプチドの機能として、美容だけでなく、スポーツ・筋トレでのニーズとも合う

新田ゼラチンはプロテイン用途のコラーゲンペプチド“イージープロテインBBP”を販売しています。
(2024年現在は特設サイトに繋がらないので、終売?)

「コラーゲンペプチド」は乳清タンパク質や大豆タンパク質など他のタンパク質原料と比較し、低粘度で溶解性に優れているため水へ溶けやすく、スポーツドリンクのようなクリアな味わいが特徴です。

そのため、コラーゲンプロテインは、飲みやすさを売りにした製品を目にします。


プロテイン市場の中で差別化としてのコラーゲン
2024年現在プロテインブームですが、毎月新商品が続々投入される厳しい環境です。
そんな市場環境の中、差別化の1つとして「コラーゲン」が注目されていると言えます。

「肌」「筋肉」「骨」「関節」といった多様な機能を持つコラーゲンは魅力的な素材の1つと言えるでしょう。

市場に流通しているコラーゲンプロテインは「美容用途」「骨関節(2型コラーゲンを配合した)」に分かれますが、主に「美容用途」が多く流通しています。

さて、メーカー目線での整理でしたが、次はユーザー目線の整理をしていましょう。

コラーゲンに求める、顧客ニーズとは?

「コラーゲンプロテイン=女性が運動をして綺麗になりたいから飲む」はなんとなく浮かびますが、コラーゲンサプリとどう違うのでしょうか?

コラーゲンプロテインのターゲットを調査するために、まずはどの年齢層に、コラーゲンが刺さるか?という部分から見ていきましょう。


コラーゲンに関心があるのは、どの層?

花王が実施した、「顔の肌のための美容成分に関する調査」を見ていきましょう。
年代ごとの興味関心のある成分を見ると、若年層(20〜30代)はアンチエイジング・日焼け予防を目的にビタミンCに興味があります。一方で、高齢層(50〜60代)ではコラーゲンに興味が移っています。

また、コラーゲンは20代では5位ですが、年齢を重ねるほどランキングが上がっていきますね。

PR TIMES

若年層(20〜30代)の間は「肌荒れ」などの軽めの悩みですが、高齢層になると「たるみ」「シワ」「ほうれい線」などの深い悩みに変わります。

その結果、年齢を重ねていく結果、求める美容成分が「ビタミンC」→「コラーゲン」へと変化していくのでしょう。

コラーゲンに関心があるのは、中高年層の女性でした。

それもそのはずです。
年齢を重ねると体内でコラーゲンを作りだす力が衰えていきます。
ある研究によると、20代から減少の加速がはじまり、50代では20代の時の70%程度まで減少するそうです。

次世代コラーゲンラボより引用

ただ、現時点での調査ではコラーゲンプロテインではなくて、コラーゲンサプリでも解決できる問題です。

もう少しコラーゲンプロテインへ求める価値を深堀していきましょう。

コラーゲンサプリではなく、コラーゲンプロテインに求める価値は?

コラーゲンプロテインへ求める価値を理解するには、グローバルニュートリショングループの武田 猛 (たけだ たけし) 先生のコラムが理解の助けになります。

アメリカではプロテインの一種としてコラーゲンがブームですが、「コラーゲン=カラダのもと」という認識が広がり、マルチベネフィットが評価されているというのです。

欧米でのコラーゲンブーム
欧米ではプロテインの一種としてのコラーゲンがブームです。日本とは違って、コラーゲンはまずフィットネスの人たちを中心に知られるようになり、今では美肌など美容に欠かせないビューティープロテインとしても拡大中です。
コラーゲンが髪や爪、血管、さらには内臓、腱、関節などカラダ中に存在するという認識が先にあったので、筋肉にフォーカスされがちなプロテインと比べて、効果の幅が広いと考えられて支持されているのです。

https://jisedai-collagen.jp/column/column_04.html

今後は、日本でもコラーゲンが「カラダのもと」として認知されれれば、コラーゲンプロテインというコンセプトは広く受けいられそうですね。

コラーゲンプロテインを販売するプレイヤー

残念ながら定番商品もなく市場もニッチのため、強いプレイヤーは見当たりません。
そのため、Amazonで人気のあるコラーゲンプロテインの商品をいくつか見て、定性的に評価します。

「VICOLA」

人気フィットネスYouTuber Miyakoが監修したプロテイン「VICOLA」です。
Miyako氏は1991年生まれなので年齢は32歳のため、購入層は自宅でトレーニングをしてる・30代女性と考えられます。

コラーゲンサプリよりもずっと多い、コラーゲン量なのでお肌もプルプルになりそうです。

◆商品説明「VICOLA」
コラーゲンペプチド20000mg配合:1杯(30g)あたり20gのたんぱく質、20,000mgのコラーゲンペプチドを配合しています。コラーゲンは肌の弾力やハリ、髪や爪の健康に重要な栄養素です。
さらに、1杯あたり5gの食物繊維が含まれており、健康的な消化をサポートします。

水でもダマにならず、溶けやすいので、手軽に摂取できます。

11種のビタミン配合の栄養機能食品:ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、Eをはじめとする11種類のビタミンをバランスよく配合。健康的な体を維持するのに必要な栄養素を補給します。

ALLUP CPIプロテイン

運動後にスポドリ感覚で飲めるコラーゲンプロテイン。
CPIプロテインはWPIホエイプロテインよりもトレーニング効果が高いことのエビデンスもとっており、次世代プロテインという点を訴求しています。

こちらは筋トレ、スポーツ中でも飲みやすいプロテインという新しい飲用シーンを生み出してる点が優れていますね。

市場ではWPC、ソイプロテインというのが主流になっていますが、味が濃く、どろどろとした飲み心地なので、運動後やランニング後、汗をかいた後に飲みにくいと悩む方も多くいらっしゃいました。しかし独自開発したCPIプロテインは、「コラーゲンペプチド」という新しい原材料を使うことで、その悩みを解決。サラリとした飲み口で、運動後でもゴクゴク飲める、スポーツ飲料のようなプロテインが誕生しました!

PR TIMES

バイタルプロテインズ コラーゲンペプチド

アメリカ売上No.1コラーゲンサプリメントで、日本ネスレが販売しています。
コラーゲンペプチド100%で、明治のアミコラのような製品。
そのまま飲むよりは、コーヒーなどの飲み物に混ぜて飲みます。

ピラティスなどのフィットネスをしている30〜40代の女性に支持されています。

“コラーゲン”は私たちのからだづくりの土台となるタンパク質の一種です。からだの様々なところに欠かせない“コラーゲン”は、美容や健康維持のために摂取を心がけたい大切な成分です。“コラーゲン”を手軽に生活に取り入れ、人々の前向きで充実した毎日をサポートしたいという想いから、2013年にアメリカで誕生したブランドが「バイタルプロテインズ」です。「バイタルプロテインズ」の製品はアメリカのスーパーマーケット、USDA(米農務省)認証のオーガニック食品ストア、化粧品店、通信販売などで幅広く販売され、コラーゲンカテゴリーでアメリカ売上No.1のブランド(※1)となっています。日本においても2021年7月より「バイタルプロテインズ コラーゲンペプチド」の販売を開始し、美容や健康に関心の高い層を中心に多くの方にご愛用いただいています。

PR TIMES

「コラーゲンプロテイン=これだ」というコンセプトはまだありません。
コラーゲンに強い関心があるのは中高年層女性(40〜50代)であることを踏まえると、この層はコラーゲンサプリを使うイメージになります。

一方で、コラーゲンプロテインはもう少し若い30代で運動習慣のある女性に刺さるイメージになりますね。
コラーゲンを取りたい人はコラーゲンサプリを購入して、プロテインの中から美容向けを探すと「コラーゲンプロテイン」に行き着くという感じでしょうか。

女性向けプロテイン=ソイなどの植物性というイメージがありますが、コラーゲンという選択肢は増えていきそうですね。

ちなみに、タンパク源としてのコラーゲンは、どんな価値があるのでしょうか?
コラーゲンはアミノ酸組成の偏りが大きく、必須アミノ酸のトリプトファンが0%であるため、「食品中のたんぱく質の栄養価を示す指標」であるアミノ酸スコアが0。
そのため、筋肉を大きくしたい人は「コラーゲン」をあまり選ばないのですが、美容目的で運動をするユーザーは「アミノ酸スコア」を基準に選ばないので、十分な選択肢になるんですね。
むしろ本質的な「カラダの元=コラーゲン」という認知のされ方が大きいかもしれません。

コラーゲンプロテインの強みとは?

最後にコラーゲンプロテインの強みを、まとめましょう。

高い認知度:コラーゲンという素材は認知度が高く、年齢を重ねるほどニーズがあります。

マルチベネフィット:美容、骨、筋肉などの多様な機能がコラーゲンペプチドは報告されている。

新しい選択肢:筋トレを問わず、健康・美容のために摂取するのであればコラーゲンというのは選択肢として魅力です。

飲みやすい:さらっとした飲み心地から、ソイ・ホエイのプロテインが飲みにくい人にもおすすめできます。

健康志向の消費者に人気:美容や健康、アクティブライフスタイルを強く意識した消費者層に人気がでつつあります。

以上、商品開発の参考になれば幸いです。

関連記事


ここから先は

0字

■なにをするコミュニティか ・「売れてる健康食品のプロダクト戦略」を調査します。 ・健康食品開発レ…

【全記事閲覧】スタンダードプラン

¥500 / 月

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?