🍵眞葛焼を愛してやまないnoteにようこそお越しくださいました🥰🥰
🍵今回は、横浜市南区大岡に工房をかまえる、沖縄の陶工の荒井実さまからお話を伺ったご報告の最終回となります。
🍵今まで、荒井さんのバックボーン、沖縄のやきものの歴史とその技術、沖縄のうちなーんちゅの生活やその生き方をお聞きする事ができました。最後に私がお尋ねした質問が、眞葛焼、果てはやきもの界の今後に触れることであり、荒井さんの陶工としての姿勢が最も表れるお話になります。
今まで荒井さんのお話を読んで下さった方にこそ、最後まで読んで頂きたい回になります。
💡必見‼️‼️しかしちょっと長い💡
沖縄のみならず民窯に薫陶を受けて来た
「鳥取、島根は民芸の現場が多い」
そう語る荒井さんは、民芸運動に強く感化された出西(しゅっさい)窯の「用の美」に、強く共感しているそうです。
出西窯を学ぶ上でとても参考になる記事を見つけたので、一部引用したいと思います。
引用元リンク:出雲観光協会 https://izumo-kankou.gr.jp/1697
(出雲観光協会の民芸運動や「用の美」の説明も大変分かり易いので引用します)
民芸運動とは
道具としての器
荒井さんは、まごうことなく沖縄の民芸の陶工さんです。このような歴史背景があり、民陶や工芸品の役割への考え方は、現代の社会的な風潮にマッチしています。
私はこの民芸の本質に強く惹かれると共に、眞葛焼が時代に逆行しているから絶えてしまったのではないかと、戦々恐々としました。
眞葛焼が絶えた一番の理由は横浜大空襲です。戦後四代香山を名乗った智之助さんは、襲名後に四代永誉香齋さんなど親族縁者の力を借り復興に努めました。その努力は並みならぬものだったはずです。技術習得の努力も、眞葛焼の普及啓発もしていたはずです。それなのに、智之助さんが、最後の香山になりました。憶測で物を言うのは不敬ですが、何故眞葛焼は絶えたのか、今後の普及活動の上で考えなくてはならないことでもあります。
眞葛焼を推し、その普及啓発活動の一環としてこの取材を行いましたが、荒井さんのお話は、眞葛焼はおろかやきものそのものに疑問符を打つお考えへと、展開していくのでした……
ECOにシフトする世の中の端っこにやきものはある
荒井さんは、他の方々(眞葛焼最大の功労者山本博士さま、リサイクル粘土第一人者安諸一朗さま、横浜市陶芸センター所長の立花隆之さま)と同じように、全国各地で年々痩せていく鉱床を案じておられました。沖縄の粘土も枯渇の危機がせまっており、ご自身も、器を作るべきじゃない、という考えが強まりつつあるといいます。
荒井さんは、『新しく生み出すことの可能性を否定したいわけではない』とことわった上で、
『質素でいい』と思う人が増えたのです。
私は横浜のやきもの、とりわけ眞葛焼のために何が出来るか考えた時、普及活動の初期には夢見ていた復興が、いかに実現困難か想像もつきませんでした。ただきっと出来ると、無邪気に夢をみていました。
実際、色々な方からお話を聞き、国内の陶芸そのものが下火であり、この時代にそぐわない生産活動なのだと分かってきました。その事実は痛ましく、なんて切ないのでしょう。
やきものはこれからどうしていけばいいのか
産業流通も、工業というのはECOにシフトしていくし、していかなくてはならない。やきものはカーボンを減らすためにも、世界中で止める必要がある。やきものはECOにシフトする世の中の端っこにある、社会全体のため陶工は自分達の行動をセーブする必要があると荒井さんは言います。
眞葛焼についてのお考えも話してくださいました。
私の、横浜の陶工の横の繋がりを作りたいという考えはあながち間違ってはいないようです。
ただ、問題は仮に繋ぐまで出来たとして、何をするかです。陶芸そのものの意義が崩れつつある現代で、時代に逆行する作陶というジレンマを抱えた国内の陶作家さんたちを鼓舞して、新しい何かを作ろうという作戦は、なんだか初めから破綻している気がします。
ECOにそぐうであろうリサイクル粘土に飛びついた私は、今は沖縄の『生がけ』という一度焼の方がECOな気がしています。しかし、生がけと、眞葛焼の高浮彫のような装飾は相性が悪く、民陶と横浜焼の思想の乖離も解決する必要があります。
課題だらけです。現在流通している眞葛焼と、美術館に保存されている眞葛焼を愛で守ること以外に、出来ることはないのでしょうか。
今日も廃棄された陶磁器が、一生消えない陶片となって、この世界のどこかに打ち捨てられていきます。
安諸さんの目指す物原を資源にするアイデアが、これからの日本で焦点になることを願うばかりです。
ああ……なんだろう、この無力感。私が眞葛焼と香山翁を愛しているのは変わらないのに。
さいごに
荒井さんは沖縄の陶工さんですが、今は暫定的に横浜にいらっしゃるそうなので、私の発足した『横浜のやきもの愛好会』の会員第一号になって頂きました!!👏パチ👏パチ👏パチ👏
荒井さんには他にも色々お話を頂きましたが、完全に全ての話題を記事に取り上げられないのは残念です。せめて一部でも、断片的にメモしておこうと思います。
荒井さま、お忙しい中、本当に貴重なお時間をありがとうございました!!
これからのこと、陶芸とどう向き合っていくべきなのか、深く考える機会を頂き、心から感謝します。
参考資料:出雲観光協会 https://izumo-kankou.gr.jp/1697
『荒井陶器工房①~④』の記事は、荒井陶器工房の荒井実さまから全てお目通し頂いた上でご許可を頂き投稿しております。ご協力くださりありがとうございました。
ご紹介いただいた本も記録として貼っておきます。
余談。
旦那さんに荒井さんの取材のお話をしたら、
「人が何か作る時点で、ECOじゃないんだよ、もうすでに」
と言っていて、ああ…確かに…と思いました。